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*12:05JST Jトラスト Research Memo(5):3ヶ年計画は現状を前提にした保守的な計画で、上振れを目指す
■Jトラスト<8508>の中長期の成長戦略
● 3ヶ年計画の概要
3ヶ年計画「J TRUST VISION」(2025年12月期〜2027年12月期)では、最終年度に営業収益1,568億円(2024年12月期比287億円増)、営業利益174億円(同112億円増)、税引前利益182億円(同99億円増)、親会社の所有者に帰属する当期利益114億円(同54億円増)を目指す。Jトラストロイヤル銀行の株式保有比率55%の関係で少数株主利益を控除すること、繰越欠損金がなくなり税金がかかるようになることなどから、親会社の所有者に帰属する当期利益の増加は営業利益の増加と比較して小さくなるものの、年平均成長率で約22%の成長を計画する。この3ヶ年計画は正式な中期経営計画ではなく、達成可能と考えられる保守的な業績予想だが、事業セグメント別に営業利益計画を開示している。中期的な収益及び利益目標を示すことは、企業の将来の業績予想に基づいて投資を判断する投資家にとって重要であると弊社では考えており、今後の進捗状況に注目したい。
計画達成に向けた事業ポートフォリオとして、日本金融事業(保証事業・債権回収事業・カード事業(割賦))及び不動産事業を着実に成長させるとともに、国内証券事業、海外事業(韓国金融事業、東南アジア金融事業)を大きく伸ばす計画である。国内証券事業を除く日本金融事業を「安定成長事業」と位置付け、利益を創出しながら事業規模を着実に拡大していく。また国内証券事業、東南アジア金融事業を「成長期待事業」と位置付け、グループのさらなる成長を図る。さらに、韓国金融事業を「再構築事業」と位置付け、課題解決により利益拡大を見込んでいる。
(1) 日本金融事業
保証事業・債権回収事業の安定成長により、2027年12月期に営業利益75億円(2024年12月期比5億円増)を見込み、安定的な利益計上により同社グループ全体の業績を下支えする計画だ。具体的には、安定的な保証事業と債権回収事業を主軸に、カード事業(割賦)の加盟店拡大による割賦売掛金の増加により収益増を見込む。証券事業では預かり資産の拡大を図り、地域金融機関との連携などを通じて富裕層向けプライベートバンキングビジネスを拡大する。Jトラストグローバル証券は、2024年12月末時点で4,092億円の預かり資産を2029年12月末までに1兆円にすることを目指す。Jトラストグローバル証券の業績貢献は、2025年12月期予想のみ日本金融事業の営業利益に織り込んでいるが、2026年12月期以降の計画には織り込んでいないことから大きなアップサイドが期待される。預かり資産1兆円達成時には、30~35億円程度の営業利益を見込んでいる。
(2) 韓国金融事業
韓国金融事業における再構築や引当金の戻入等による回復によって、2027年12月期に営業利益55億円(2024年12月期比46億円増)と、再成長を計画する。韓国では貯蓄銀行2行(JT親愛貯蓄銀行、JT貯蓄銀行)及び債権回収事業を運営している。貯蓄銀行は主に個人や中小企業向け融資を中心として貸出業務を行う金融機関であり、貯蓄銀行79行のうち、同社グループの貯蓄銀行2行合計の総資産額は業界6位(2025年6月時点)である。貸出残高は底を打った状態であり、今後は厳格な貸出審査を維持しながら、黒字計上に伴う資本の拡大とともに貸出残高を増やす方針だ。両行とも預貸スプレッドは改善傾向にある。不良債権比率は、JT親愛貯蓄銀行が引当金控除後で低水準を維持しており、JT貯蓄銀行はやや高いものの不動産等の担保で保全済である。2025年12月期からは貸出残高の増加に伴う収益増を中心に成長し、2026年12月期以降は貸倒関連費用の減少と貸付利息収益率の改善により、利益が大きく改善する見込みである。
(3) 東南アジア金融事業
経済成長に伴うインドネシアとカンボジア両行の成長継続によって、2027年12月期に営業利益53億円(2024年12月期比38億円増)を計画する。厳格な与信審査や貸倒引当を維持するが、インドネシアの増資による貸出増により利益の上振れが期待される。
Jトラスト銀行インドネシアでは2024年12月期第4四半期には複数の大口の貸出債権が一括完済された影響があったものの、貸出残高は安定して増加傾向にある。ただしバーゼル規制※の関係上、今後について同様のペースで貸出残高を伸ばすには資本増強が必要な状況である。そこで日本の銀行・企業や現地企業など、同社グループ外からの増資を基本とし、増資のタイミングに合わせて貸出を実施する。2027年12月期の営業利益計画には貸出残高の増加に伴う増収増益を見込んでいるものの、インドネシア事業の資本増強による成長可能性は織り込んでいない。このため、増資が実現すれば計画の上振れ要因になる。
※ 自己資本比率や流動性比率に対する国際統一基準であり、金融機関が取るリスク量に対する制限。
カンボジアでは、コロナ禍以降に中国からの不動産投資が減少した影響により同行の営業利益は買収前の25〜30億円の水準に戻っていないが、引き続き安定した利益を計上している。首都プノンペンでは中断していた建設工事の再開・着工の動きもあり、資金需要の回復が期待される。Jトラストロイヤル銀行では、事業環境の落ち着きを踏まえ、貸出残高をコントロールする方針から徐々に増やす方針へ転換する。担保物件の競売や法的手続き等による回収とモニタリングを強化し、不良債権の抑制に取り組む。
(4) 不動産事業及び投資事業
不動産事業では安定的な事業拡大を目指し、2027年12月期に営業利益11億円(2024年12月期比8億円増)を計画する。投資事業では、裁判関連費用の負担が減少する一方、回収は最低限を見込むことで、営業損失4億円(2024年12月期比11億円の損失減少)を計画している。回収が進んだ場合は、計画を上回る可能性がある。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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● 3ヶ年計画の概要
3ヶ年計画「J TRUST VISION」(2025年12月期〜2027年12月期)では、最終年度に営業収益1,568億円(2024年12月期比287億円増)、営業利益174億円(同112億円増)、税引前利益182億円(同99億円増)、親会社の所有者に帰属する当期利益114億円(同54億円増)を目指す。Jトラストロイヤル銀行の株式保有比率55%の関係で少数株主利益を控除すること、繰越欠損金がなくなり税金がかかるようになることなどから、親会社の所有者に帰属する当期利益の増加は営業利益の増加と比較して小さくなるものの、年平均成長率で約22%の成長を計画する。この3ヶ年計画は正式な中期経営計画ではなく、達成可能と考えられる保守的な業績予想だが、事業セグメント別に営業利益計画を開示している。中期的な収益及び利益目標を示すことは、企業の将来の業績予想に基づいて投資を判断する投資家にとって重要であると弊社では考えており、今後の進捗状況に注目したい。
計画達成に向けた事業ポートフォリオとして、日本金融事業(保証事業・債権回収事業・カード事業(割賦))及び不動産事業を着実に成長させるとともに、国内証券事業、海外事業(韓国金融事業、東南アジア金融事業)を大きく伸ばす計画である。国内証券事業を除く日本金融事業を「安定成長事業」と位置付け、利益を創出しながら事業規模を着実に拡大していく。また国内証券事業、東南アジア金融事業を「成長期待事業」と位置付け、グループのさらなる成長を図る。さらに、韓国金融事業を「再構築事業」と位置付け、課題解決により利益拡大を見込んでいる。
(1) 日本金融事業
保証事業・債権回収事業の安定成長により、2027年12月期に営業利益75億円(2024年12月期比5億円増)を見込み、安定的な利益計上により同社グループ全体の業績を下支えする計画だ。具体的には、安定的な保証事業と債権回収事業を主軸に、カード事業(割賦)の加盟店拡大による割賦売掛金の増加により収益増を見込む。証券事業では預かり資産の拡大を図り、地域金融機関との連携などを通じて富裕層向けプライベートバンキングビジネスを拡大する。Jトラストグローバル証券は、2024年12月末時点で4,092億円の預かり資産を2029年12月末までに1兆円にすることを目指す。Jトラストグローバル証券の業績貢献は、2025年12月期予想のみ日本金融事業の営業利益に織り込んでいるが、2026年12月期以降の計画には織り込んでいないことから大きなアップサイドが期待される。預かり資産1兆円達成時には、30~35億円程度の営業利益を見込んでいる。
(2) 韓国金融事業
韓国金融事業における再構築や引当金の戻入等による回復によって、2027年12月期に営業利益55億円(2024年12月期比46億円増)と、再成長を計画する。韓国では貯蓄銀行2行(JT親愛貯蓄銀行、JT貯蓄銀行)及び債権回収事業を運営している。貯蓄銀行は主に個人や中小企業向け融資を中心として貸出業務を行う金融機関であり、貯蓄銀行79行のうち、同社グループの貯蓄銀行2行合計の総資産額は業界6位(2025年6月時点)である。貸出残高は底を打った状態であり、今後は厳格な貸出審査を維持しながら、黒字計上に伴う資本の拡大とともに貸出残高を増やす方針だ。両行とも預貸スプレッドは改善傾向にある。不良債権比率は、JT親愛貯蓄銀行が引当金控除後で低水準を維持しており、JT貯蓄銀行はやや高いものの不動産等の担保で保全済である。2025年12月期からは貸出残高の増加に伴う収益増を中心に成長し、2026年12月期以降は貸倒関連費用の減少と貸付利息収益率の改善により、利益が大きく改善する見込みである。
(3) 東南アジア金融事業
経済成長に伴うインドネシアとカンボジア両行の成長継続によって、2027年12月期に営業利益53億円(2024年12月期比38億円増)を計画する。厳格な与信審査や貸倒引当を維持するが、インドネシアの増資による貸出増により利益の上振れが期待される。
Jトラスト銀行インドネシアでは2024年12月期第4四半期には複数の大口の貸出債権が一括完済された影響があったものの、貸出残高は安定して増加傾向にある。ただしバーゼル規制※の関係上、今後について同様のペースで貸出残高を伸ばすには資本増強が必要な状況である。そこで日本の銀行・企業や現地企業など、同社グループ外からの増資を基本とし、増資のタイミングに合わせて貸出を実施する。2027年12月期の営業利益計画には貸出残高の増加に伴う増収増益を見込んでいるものの、インドネシア事業の資本増強による成長可能性は織り込んでいない。このため、増資が実現すれば計画の上振れ要因になる。
※ 自己資本比率や流動性比率に対する国際統一基準であり、金融機関が取るリスク量に対する制限。
カンボジアでは、コロナ禍以降に中国からの不動産投資が減少した影響により同行の営業利益は買収前の25〜30億円の水準に戻っていないが、引き続き安定した利益を計上している。首都プノンペンでは中断していた建設工事の再開・着工の動きもあり、資金需要の回復が期待される。Jトラストロイヤル銀行では、事業環境の落ち着きを踏まえ、貸出残高をコントロールする方針から徐々に増やす方針へ転換する。担保物件の競売や法的手続き等による回収とモニタリングを強化し、不良債権の抑制に取り組む。
(4) 不動産事業及び投資事業
不動産事業では安定的な事業拡大を目指し、2027年12月期に営業利益11億円(2024年12月期比8億円増)を計画する。投資事業では、裁判関連費用の負担が減少する一方、回収は最低限を見込むことで、営業損失4億円(2024年12月期比11億円の損失減少)を計画している。回収が進んだ場合は、計画を上回る可能性がある。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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