*11:06JST プロパスト Research Memo(6):小川建設の子会社化に伴い、2026年5月期の業績予想を修正する予定
■プロパスト<3236>の今後の見通し
1. 2026年5月期の業績見通し
2026年5月期は、売上高23,140百万円(前期比16.9%減)、営業利益1,925百万円(同42.2%減)、経常利益1,600百万円(同43.4%減)、当期純利益1,120百万円(同42.8%減)と、期初予想を据え置いている。中間決算がおおむね計画どおりに推移したことから、現時点において通期予想の修正は行われていない。
今後の日本経済は、米国の通商政策等による不透明感があり、一部で足踏みが見られるものの当面は内需がけん引する形で、緩やかな回復を続けることが見込まれる。しかしながら、東欧や中東における地政学リスク、円安や資源価格の上昇に伴うエネルギー価格や食料品の価格上昇の継続などによる消費者マインドの下振れ、世界的な金融引締め等による海外景気の減速などが、景気の下押し圧力となる可能性がある。
同社が属する不動産業界においては、地価及び建築費の上昇が継続しており、新築マンション価格の先行きは不透明である。仮に販売価格の上昇が鈍化した場合、コスト増の転嫁が困難となり、利益率が低下する懸念がある。一方、金利上昇に伴う需要低下への懸念も存在するが、供給が限られる都心部の駅近物件は価格の先高感もあり、需要は引き続き底堅く推移するものと見込まれる。このような環境下において、同社はこれまでと同様に首都圏エリアの利便性の高いレジデンス用の物件を中心に、売却想定価格やバランスシートの健全性を意識しつつ、より厳選した物件取得を行う方針である。
具体的には、需要が見込める物件を厳選して取得するとともに、賃貸開発事業の完成予定物件並びに現在保有するバリューアップ物件の売却を推進する。利益については、地価及び建築費の上昇などのコスト増を考慮しているが、同社は従来より期初予想を保守的に策定する傾向があることから、通期予想を上回る決算となる可能性が高いと弊社では見ている。なお、同社は例年計画を早期に達成するために、収益が上期に偏重する傾向がある。また、同社の売上高は顧客への引渡しをもって計上されるため、早期に上がる収益と時の経過とともに発生する費用とのタイミングのずれが生じることから、四半期ごとの業績を見た場合は、業績に偏重が生じる傾向にあることにも留意が必要である。
2025年10月にシノケングループ傘下にあった小川建設の株式51%を取得して子会社化したことに伴い、同社は第3四半期より連結決算に移行する。子会社化の影響は精査中であるが、業績予想を修正し、2026年5月期第3四半期決算の開示に合わせて発表する予定である。不動産ディベロッパーである同社が、ゼネコン事業の小川建設をグループ化することで、内製化によるコスト削減や事業展開の拡大、経営資源の効率化といったシナジーが期待される。
事業別では、分譲開発事業については、賃貸開発物件として予定していた物件を分譲開発事業へ変更するプロジェクトが進行中だが、開発には3年程度の時間を要するため、2026年5月期での売上高の計上予定はない。賃貸開発事業では、通期で22プロジェクトの販売を計画している。これまでは、好立地などを背景に、コスト増を売却価格へ転嫁することでおおむね吸収してきた。しかし、現在は不動産価格の上昇以上に、資材高や人手不足、工期延長に伴う建築費の高騰が継続している。費用負担の増加により、今後は利益率が低下する見込みである。バリューアップ事業については、前期に進めた在庫削減に伴い、2026年5月期の販売予定案件数は3プロジェクトとなっていたが、中間期までに売却を完了している。
2027年5月期以降も、堅調な業績を継続する見通し
2. 2027年5月期以降の業績見通し
不動産業界では、マンション価格の上昇に伴う契約率低下が懸念されるものの、低水準で推移する住宅ローン金利が下支え要因として期待される。国土交通省「建築着工統計調査報告」によると、先行指標となるマンションの新設住宅着工戸数は、2024年度には前期比5.0%増の105,227戸となった。もっとも、2000年代初頭の200,000戸を上回る水準と比較すれば、依然として低水準である。特に近年は、都心部におけるマンション価格の高騰に伴い、契約率の低下や販売戸数の減少が見られる。
こうした経済環境下において、同社では強みである創造デザイン力やプレゼンデザイン力を生かせる分譲開発物件の取得を進める。もっとも、東京都区部の分譲マンション平均販売価格は1億円を超え、一次取得層の購買能力を超える水準に達している。こうした価格高騰の影響から、当面、同社の取扱件数は限定的となる見通しである。しかし、分譲開発事業におけるカスタマー対応等のノウハウは、賃貸開発事業やバリューアップ事業にも活用できることから、引き続き重要な事業として推進する。足元では住宅ローン金利が上昇に転じており、分譲マンションの購入需要への影響が懸念される。一方、賃貸開発事業に投資する富裕層や個人投資家は、自己資金の割合が高く、金利上昇による投資意欲への影響は限定的と見られる。建築費高騰に対しては、VECD(バリューエンジニアリング・コストダウン)により機能や品質を維持しながらコストの最適化を図るとともに、工期を抑制した賃貸開発物件に注力することで事業拡大を図りバリューアップ事業の落ち込みをカバーする。さらに、バリューアップ事業では、引き続き割安な収益不動産を精査して取得を進める。なお、賃貸開発事業及びバリューアップ事業においては、投資ファンドが売却先に加わるなど購買層が拡大している。このため、同社では今後の収益拡大に向け、需要の底堅い駅近物件を中心とした仕入れを継続する。
現在のところ、不動産業界各社の業績は総じて好調である。同社では、引き続き事業エリアを厳選することで高収益の物件を確保する計画であり、都心部で駅近の好立地物件にターゲットを絞り、買い付けの意思決定を迅速に行うことで他社に先駆けて好物件の仕入れを可能にしている。同社のこうした物件の仕入力に、定評のある企画力・デザイン力を加えることで、それぞれの事業がうまく補完し合いながら、2027年5月期以降も堅調な業績を維持できると弊社では見ている。
また、同社では、サステナビリティへの取り組みを課題と認識している。近年、投資家が銘柄選択をする際の判断基準としての重要性が増しており、サステナビリティへの取り組みを明確に示すことが求められている。一方、同社は、現時点で中期経営計画を公表していない。これは、同社の事業規模では業績の変動性が高く、計画値の提示が投資家をミスリードする懸念があるとの経営判断によるものである。また、地政学リスクの顕在化やエネルギー・食料品の価格上昇に伴う消費者マインドの低下など、外部環境の不透明感が強いなか、同社としては特定の計画にとらわれず柔軟な経営判断を優先したとの意図も推察される。もっとも、同社の経営方針を明確化し、投資家や従業員が将来像を共有するためには、中期経営計画の策定並びに公表は有意義であると弊社では考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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1. 2026年5月期の業績見通し
2026年5月期は、売上高23,140百万円(前期比16.9%減)、営業利益1,925百万円(同42.2%減)、経常利益1,600百万円(同43.4%減)、当期純利益1,120百万円(同42.8%減)と、期初予想を据え置いている。中間決算がおおむね計画どおりに推移したことから、現時点において通期予想の修正は行われていない。
今後の日本経済は、米国の通商政策等による不透明感があり、一部で足踏みが見られるものの当面は内需がけん引する形で、緩やかな回復を続けることが見込まれる。しかしながら、東欧や中東における地政学リスク、円安や資源価格の上昇に伴うエネルギー価格や食料品の価格上昇の継続などによる消費者マインドの下振れ、世界的な金融引締め等による海外景気の減速などが、景気の下押し圧力となる可能性がある。
同社が属する不動産業界においては、地価及び建築費の上昇が継続しており、新築マンション価格の先行きは不透明である。仮に販売価格の上昇が鈍化した場合、コスト増の転嫁が困難となり、利益率が低下する懸念がある。一方、金利上昇に伴う需要低下への懸念も存在するが、供給が限られる都心部の駅近物件は価格の先高感もあり、需要は引き続き底堅く推移するものと見込まれる。このような環境下において、同社はこれまでと同様に首都圏エリアの利便性の高いレジデンス用の物件を中心に、売却想定価格やバランスシートの健全性を意識しつつ、より厳選した物件取得を行う方針である。
具体的には、需要が見込める物件を厳選して取得するとともに、賃貸開発事業の完成予定物件並びに現在保有するバリューアップ物件の売却を推進する。利益については、地価及び建築費の上昇などのコスト増を考慮しているが、同社は従来より期初予想を保守的に策定する傾向があることから、通期予想を上回る決算となる可能性が高いと弊社では見ている。なお、同社は例年計画を早期に達成するために、収益が上期に偏重する傾向がある。また、同社の売上高は顧客への引渡しをもって計上されるため、早期に上がる収益と時の経過とともに発生する費用とのタイミングのずれが生じることから、四半期ごとの業績を見た場合は、業績に偏重が生じる傾向にあることにも留意が必要である。
2025年10月にシノケングループ傘下にあった小川建設の株式51%を取得して子会社化したことに伴い、同社は第3四半期より連結決算に移行する。子会社化の影響は精査中であるが、業績予想を修正し、2026年5月期第3四半期決算の開示に合わせて発表する予定である。不動産ディベロッパーである同社が、ゼネコン事業の小川建設をグループ化することで、内製化によるコスト削減や事業展開の拡大、経営資源の効率化といったシナジーが期待される。
事業別では、分譲開発事業については、賃貸開発物件として予定していた物件を分譲開発事業へ変更するプロジェクトが進行中だが、開発には3年程度の時間を要するため、2026年5月期での売上高の計上予定はない。賃貸開発事業では、通期で22プロジェクトの販売を計画している。これまでは、好立地などを背景に、コスト増を売却価格へ転嫁することでおおむね吸収してきた。しかし、現在は不動産価格の上昇以上に、資材高や人手不足、工期延長に伴う建築費の高騰が継続している。費用負担の増加により、今後は利益率が低下する見込みである。バリューアップ事業については、前期に進めた在庫削減に伴い、2026年5月期の販売予定案件数は3プロジェクトとなっていたが、中間期までに売却を完了している。
2027年5月期以降も、堅調な業績を継続する見通し
2. 2027年5月期以降の業績見通し
不動産業界では、マンション価格の上昇に伴う契約率低下が懸念されるものの、低水準で推移する住宅ローン金利が下支え要因として期待される。国土交通省「建築着工統計調査報告」によると、先行指標となるマンションの新設住宅着工戸数は、2024年度には前期比5.0%増の105,227戸となった。もっとも、2000年代初頭の200,000戸を上回る水準と比較すれば、依然として低水準である。特に近年は、都心部におけるマンション価格の高騰に伴い、契約率の低下や販売戸数の減少が見られる。
こうした経済環境下において、同社では強みである創造デザイン力やプレゼンデザイン力を生かせる分譲開発物件の取得を進める。もっとも、東京都区部の分譲マンション平均販売価格は1億円を超え、一次取得層の購買能力を超える水準に達している。こうした価格高騰の影響から、当面、同社の取扱件数は限定的となる見通しである。しかし、分譲開発事業におけるカスタマー対応等のノウハウは、賃貸開発事業やバリューアップ事業にも活用できることから、引き続き重要な事業として推進する。足元では住宅ローン金利が上昇に転じており、分譲マンションの購入需要への影響が懸念される。一方、賃貸開発事業に投資する富裕層や個人投資家は、自己資金の割合が高く、金利上昇による投資意欲への影響は限定的と見られる。建築費高騰に対しては、VECD(バリューエンジニアリング・コストダウン)により機能や品質を維持しながらコストの最適化を図るとともに、工期を抑制した賃貸開発物件に注力することで事業拡大を図りバリューアップ事業の落ち込みをカバーする。さらに、バリューアップ事業では、引き続き割安な収益不動産を精査して取得を進める。なお、賃貸開発事業及びバリューアップ事業においては、投資ファンドが売却先に加わるなど購買層が拡大している。このため、同社では今後の収益拡大に向け、需要の底堅い駅近物件を中心とした仕入れを継続する。
現在のところ、不動産業界各社の業績は総じて好調である。同社では、引き続き事業エリアを厳選することで高収益の物件を確保する計画であり、都心部で駅近の好立地物件にターゲットを絞り、買い付けの意思決定を迅速に行うことで他社に先駆けて好物件の仕入れを可能にしている。同社のこうした物件の仕入力に、定評のある企画力・デザイン力を加えることで、それぞれの事業がうまく補完し合いながら、2027年5月期以降も堅調な業績を維持できると弊社では見ている。
また、同社では、サステナビリティへの取り組みを課題と認識している。近年、投資家が銘柄選択をする際の判断基準としての重要性が増しており、サステナビリティへの取り組みを明確に示すことが求められている。一方、同社は、現時点で中期経営計画を公表していない。これは、同社の事業規模では業績の変動性が高く、計画値の提示が投資家をミスリードする懸念があるとの経営判断によるものである。また、地政学リスクの顕在化やエネルギー・食料品の価格上昇に伴う消費者マインドの低下など、外部環境の不透明感が強いなか、同社としては特定の計画にとらわれず柔軟な経営判断を優先したとの意図も推察される。もっとも、同社の経営方針を明確化し、投資家や従業員が将来像を共有するためには、中期経営計画の策定並びに公表は有意義であると弊社では考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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