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兵機海運のニュース
*12:04JST 兵機海運 Research Memo(4):バランスの良い事業ポートフォリオと機動的な営業活動が強み
■兵機海運<9362>の事業概要
2. 同社の強み
強みの1つ目は、同社が独立系海運会社ということである。海運業界には荷主である企業系列の海運会社が多いが、これらの会社は荷主との関係が硬直的になりがちである。同社はどこの系列にも属さない独立系であり、機動的に全方位に営業活動が行えることが強みである。
強みの2つ目は、バランスの良い事業ポートフォリオを構築できていることである。同社は内航事業、外航事業、港運事業、倉庫事業を展開している。この4つの事業を並行して手掛けることで、会社全体として収益の波が抑えられている。内航事業と外航事業の事業フィールドは「海」であり、港運事業と倉庫事業は「陸」である。「陸」は人的資本と設備が必要となるが、事業には安定感がある。「海」では内航事業が大口顧客との強固な取引関係から、大きな収益を安定して上げている。一方で、外航事業は国際情勢等も含め様々な要素が絡むため業績の変動要因が多いものの、独立系海運会社であるため、事業上の意思決定を迅速に行うことが可能だ。
同社は、長年の歴史のなかで培われてきた「独立独歩」の精神を重視している。内航・外航・港運・倉庫の各事業で、責任と使命感を持って事業運営を行っている。この4つの事業軸を持つことで、リスク分散はもちろん、将来的な事業拡大領域を検討できる選択肢を兼ね備えている。収益機会と見れば一気に当該領域へ経営資源を投入する一方で、リスクを認識した場合には一時的に事業展開を見合わせることができる。このように機動力を生かした柔軟な事業運営が、同社の収益力の源泉であり、最大の強みである。
燃料油価格高騰等の影響にさらされている一方で、適切なリスク管理を実施
3. リスク
同社の主要リスクは以下のとおりである。
(1) 傭船先の経営状況の動向
同社では、内航事業において貨物の輸送責任を全うするために、船舶の確保が課題となっている。同社は傭船先との協調体制を構築しており、船主が船舶を調達するに当たっては船主への貸付金の実行や金融機関に対する債務保証を請け負っている。このため、傭船先の経営状況によっては債務保証の履行、貸倒損失の発生といったリスクを負っており、同社の業績及び財務に影響を及ぼす可能性がある。これらのリスク回避のために、船主へのヒアリングや傭船先の財務諸表等の確認により経営状況の把握に努めている。
(2) 燃料価格の動向
燃料油価格は、世界的な原油需給や産油国の動向等により変動する。最近では2022年2月下旬以降のロシアによるウクライナ侵攻を受け、原油等のエネルギー価格が高騰している。燃料油価格の著しい高騰は、同社の業績及び財務に影響を及ぼす可能性がある。同社はこれらのリスクに対処するため、取引先に対し燃料コスト上昇に応じた運賃改定を依頼するなど、適正利潤の確保に努めている。
(3) 為替動向
同社の事業には外貨建取引が含まれるため、為替変動が損益に影響を及ぼす可能性がある。ただし、外航事業のドル建て売上と港運事業でのドル建て支払により相殺されるため、為替変動リスクは従来よりも抑えられていると見られる。
(4) 金利動向
同社の資金調達手段は間接金融に負うところが大きい。このため、金利スワップ取引による金利の固定化を進めている。変動金利で調達している資金については金利変動リスクを受ける可能性があるが、近年は金利水準が低位安定している。ただ、足元ではマイナス金利政策の解除などを受け、金利には上昇圧力がかかっている。同社は長短の金利動向を注視しつつ、最適な資金調達手段の選択に努める方針である。大型設備投資が必要な業種特性を踏まえると、今後も金利動向には注視が必要である。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 吉林拓馬)
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2. 同社の強み
強みの1つ目は、同社が独立系海運会社ということである。海運業界には荷主である企業系列の海運会社が多いが、これらの会社は荷主との関係が硬直的になりがちである。同社はどこの系列にも属さない独立系であり、機動的に全方位に営業活動が行えることが強みである。
強みの2つ目は、バランスの良い事業ポートフォリオを構築できていることである。同社は内航事業、外航事業、港運事業、倉庫事業を展開している。この4つの事業を並行して手掛けることで、会社全体として収益の波が抑えられている。内航事業と外航事業の事業フィールドは「海」であり、港運事業と倉庫事業は「陸」である。「陸」は人的資本と設備が必要となるが、事業には安定感がある。「海」では内航事業が大口顧客との強固な取引関係から、大きな収益を安定して上げている。一方で、外航事業は国際情勢等も含め様々な要素が絡むため業績の変動要因が多いものの、独立系海運会社であるため、事業上の意思決定を迅速に行うことが可能だ。
同社は、長年の歴史のなかで培われてきた「独立独歩」の精神を重視している。内航・外航・港運・倉庫の各事業で、責任と使命感を持って事業運営を行っている。この4つの事業軸を持つことで、リスク分散はもちろん、将来的な事業拡大領域を検討できる選択肢を兼ね備えている。収益機会と見れば一気に当該領域へ経営資源を投入する一方で、リスクを認識した場合には一時的に事業展開を見合わせることができる。このように機動力を生かした柔軟な事業運営が、同社の収益力の源泉であり、最大の強みである。
燃料油価格高騰等の影響にさらされている一方で、適切なリスク管理を実施
3. リスク
同社の主要リスクは以下のとおりである。
(1) 傭船先の経営状況の動向
同社では、内航事業において貨物の輸送責任を全うするために、船舶の確保が課題となっている。同社は傭船先との協調体制を構築しており、船主が船舶を調達するに当たっては船主への貸付金の実行や金融機関に対する債務保証を請け負っている。このため、傭船先の経営状況によっては債務保証の履行、貸倒損失の発生といったリスクを負っており、同社の業績及び財務に影響を及ぼす可能性がある。これらのリスク回避のために、船主へのヒアリングや傭船先の財務諸表等の確認により経営状況の把握に努めている。
(2) 燃料価格の動向
燃料油価格は、世界的な原油需給や産油国の動向等により変動する。最近では2022年2月下旬以降のロシアによるウクライナ侵攻を受け、原油等のエネルギー価格が高騰している。燃料油価格の著しい高騰は、同社の業績及び財務に影響を及ぼす可能性がある。同社はこれらのリスクに対処するため、取引先に対し燃料コスト上昇に応じた運賃改定を依頼するなど、適正利潤の確保に努めている。
(3) 為替動向
同社の事業には外貨建取引が含まれるため、為替変動が損益に影響を及ぼす可能性がある。ただし、外航事業のドル建て売上と港運事業でのドル建て支払により相殺されるため、為替変動リスクは従来よりも抑えられていると見られる。
(4) 金利動向
同社の資金調達手段は間接金融に負うところが大きい。このため、金利スワップ取引による金利の固定化を進めている。変動金利で調達している資金については金利変動リスクを受ける可能性があるが、近年は金利水準が低位安定している。ただ、足元ではマイナス金利政策の解除などを受け、金利には上昇圧力がかかっている。同社は長短の金利動向を注視しつつ、最適な資金調達手段の選択に努める方針である。大型設備投資が必要な業種特性を踏まえると、今後も金利動向には注視が必要である。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 吉林拓馬)
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