YCPホールディングス(グローバル)リミテッドのニュース
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【QAあり】YCP HD、1Qは売上・利益で前年同期および期初予想を上回る マネジメント・サービス事業は500人体制目標に採用強化
はじめに: JDR ( 日本型預託証券 ) とは

石田裕樹氏:みなさまお忙しいところ、お時間をいただきましてありがとうございます。グループCEOの石田裕樹です。YCPホールディングス(グローバル)リミテッド2025年12月期第1四半期決算のご説明をしたいと思います。
私どもは、YCPホールディングス(グローバル)リミテッドというシンガポール法人で、JDR(日本型預託証券)という新しくできた制度を活用して、東京証券取引所に上場しています。
みなさまは、当社の株式をお持ちいただいているわけではなく、市場で取引していただく際にも、株式を売買していただくのではありません。株式を預託証券というかたちにして取引所に上場させていますので、預託証券をみなさまで売買していただくかたちになっています。
今月、株主総会をシンガポールで実施しました。先月末に日本のJDR受託者のみなさま、日本における株主のみなさまへの説明会を行いました。みなさまに直接株主総会に出ていただくことはできないため、説明会を通じてみなさまの議決権行使指図権を行使いただきました。
みなさまの議決を三菱UFJ信託銀行に指図していただき、みなさまがお持ちのJDRの口数・持分数に応じて、株主総会に出席した三菱UFJ信託銀行が、みなさまに代わって議決権を行使するという枠組みで運用を行っている会社となっています。
投資参考指標のご案内

2021年12月に上場して以来、東京証券取引所やさまざまなメディアのみなさまと改善にあたってきていますが、一部でJDR銘柄の情報が適切に開示されていないことは認識しています。このような四半期の業績開示のタイミングで、現状での投資参考指標を整理して、みなさまにお伝えしています。
かなり直ってきているという認識は持っています。例えば時価総額が昔は適切に出ていませんでしたが、現在は「Yahoo!ファイナンス」等で見ると時価総額が適切に表示されるようになりました。ただ一方で、PERやPBRが適切に反映されていない、表示されていないという問題は認識していますので、引き続き東京証券取引所のみなさまとともに改善にあたって、関係各社に働きかけていきたいと考えています。
スライドにお示ししている数字が、現状での投資の評価になっています。
会社概要

会社の概要です。YCPホールディングス(グローバル)リミテッドは、シンガポール企業です。2021年12月に東京証券取引所に上場しました。
現状では、470名ぐらいのプロフェッショナルが在籍しています。このプロフェッショナルとは、いわゆるコンサルタントのことで、スライド右側に記載のとおり、日本と東南アジアで今100名ずつぐらい、インドではすでに200名を超えるぐらいの規模になっています。引き続き成長著しいインドや東南アジアでの規模の拡大、組織の強化を図っていきたいと考えています。
事業概要及び当社グループの報告セグメント

事業は大きく2つに分けられます。1つがマネジメント・サービス事業で、いわゆるコンサルティングの事業です。
コンサルティングの事業の中でも、特にお客さまの経営の現場に常駐し、実行支援を行います。机上の空論ではなく、実際に我々が描く戦略をお客さまのところに落とし込んでいくことを特徴としているサービスを、マネジメント・サービス事業という呼称で展開しています。
もう1つのセグメントは、プロフェッショナル・ソリューション事業です。4つの領域に特化した専門性の高いチームを構築し、それぞれの各領域で専門性の高いソリューションをお客さまに提供しているのが、プロフェッショナル・ソリューション事業となっています。
主にDX(デジタルトランスフォーメーション)をお客さまに展開していきます。サプライチェーンにおける調達や物流の最適化をご提案します。デジタルマーケティングのご提案も行います。あるいはサステナビリティへの取り組みを支援することもあります。
このような専門領域において、現状で、だいたい20名から50名ぐらいの人材をそれぞれのチームに配置し、お客さまに専門性の高いサービスを提供しているのがプロフェッショナル・ソリューション事業の特徴となっています。
スライド下段のプリンシパル投資事業についてです。創業間もない頃から自分たちで培ってきたコンサルティングのプラットフォームを活用しながら、実際に自分たちが投資をしたり、投資先に人材を提供したりすることに取り組んできています。
現状で言うと、ペットケア領域と戦略投資領域に取り組んでいます。従前はここにパーソナルケア領域があり、株式会社SOLIAという会社を育て、昨年12月に売却しました。そのため、パーソナルケア領域がなくなり、現在はペットケア領域と戦略投資領域に取り組んでいます。
引き続きプリンシパル投資事業では、規模のある投資先については一部売却も進めていき、重点的には、マネジメント・サービス事業とプロフェッショナル・ソリューション事業に注力し、事業の成長を加速させていきたいと考えています。
円ベースによる過年度の業績推移

当社は2011年の8月に創業し、14年が経ったところです。おかげさまで昨年は、200億円規模の事業を作ることができました。
昨年12月に株式会社SOLIAを売却したことに関して、当社は国際財務報告基準(IFRS)に則って決算を締めているため、売却する事業に関しては売上を過去2期分では外すのがルールとなっております。したがって、2023年度、2024年度に関しては、スライドのグラフで示した点線の中の53億円、65億円が、決算上の数値からはなくなり、昨年度の決算では約140億円という数字を売上として開示しています。
グラフの点線部分は株式会社SOLIAのこれまでの売上を示していますので、ご参考にしていただければと思います。
足元で言うと、140億円のうち約80億円をマネジメント・サービス事業とプロフェッショナル・ソリューション事業の売上として、昨年を終えることができました。別途60億円ぐらいが、動物病院事業や戦略投資領域の連結している子会社・投資先から上がっている収益となっています。
FY2025 第1四半期業績ハイライト

本年度の第1四半期の業績についてご説明します。まず売上に関しては、2,310万米ドルで約35億円を実現することができています。株式会社SOLIA売却を抜いた売上と比べて、前年対比で10パーセントの成長です。今期の計画値に関しても110パーセントで過達することができています。
営業利益も、1億8,000万円と昨年よりも成長させています。今年はかなり採用を加速させていき、チームを大きくしてより大きな売上を作ることに、プロフェッショナルサービス領域で取り組んでいる関係で、利益に関してかなり保守的に開示していました。しかし、2025年度第1四半期の業績では、計画に対して約2倍の数字を上げることができています。
FY2025 Q1 グループ連結業績

四半期の推移を示しています。グラフはドルベースだけになりますが、昨年、約2,000万米ドル、円で言うと当時のレートで28億円ぐらいだったように記憶しています。そこを35億円ぐらいと大きく伸ばすことができています。
特に、マネジメント・サービス事業がしっかりと伸びましたし、プロフェッショナル・ソリューション事業も、きちんと確実な成長を遂げることができました。グループとしては良いかたちで第1四半期を終え、2025年度に入ることができたと考えています。
日本地域のリーダーシップ強化

マネジメント・サービス事業は前年同期と比較して20パーセント成長することができたとお伝えしましたが、特に成長が著しいのは日本です。これまで3年ぐらい、マネジメント・サービス事業の日本チームは、収益性は非常に高いチームではありながらも、事業の拡大がそれほどスムーズに進んでいなかったのが実態です。
一方で、今年の1月にフロンティア・マネジメントというコンサルティング会社を経営していた松岡真宏氏に当社の日本地域の統括として参画してもらいました。松岡氏のリーダーシップのもと、新しいパートナークラスの人員を、昨年末から今年の4月ぐらいにかけて大幅に拡大し強化してきています。
まだ完全にその効果が出てきているわけではありませんが、第1四半期からすでに大きく事業を拡大させています。マネジメント・サービス、DXチーム、サステナビリティも、日本において非常に大きく業容を拡大することができたのが今期の特徴かと思っています。
加えて、今は青山一丁目に日本のオフィスを構えていますが、夏には赤坂周辺にオフィスを新設し、さらなる組織の拡大、お客さまに提供している価値の向上を図っていきたいと考えています。
マネジメント・サービス事業のご紹介

マネジメント・サービス事業についてご説明します。いわゆるコンサルティングの事業ですが、我々はお客さまの現場に常駐しながら、「インプリメンテーション」や「PMO型」と呼ばれる、経営の企業変革の実行支援を現場で行うことを特徴としています。
スライドの右側には、具体例として、M&Aの場合には数年かけてプロジェクトに入るということをお示ししています。M&Aのように大きな企業変革のタイミングで、当社の社員が10名から場合によっては30名ぐらいのチームを組んで、お客さまの現場に常駐し、非常に長いスパンでお客さまの経営の実行支援を行うことを特徴としています。
マネジメント・サービス事業の業績

マネジメント・サービス事業の業績です。2025年度の第2四半期から第4四半期はそれぞれ今計画値としてお出ししているものになりますが、非常に良いかたちで第1四半期を終えることができています。昨年に比べると20パーセント弱ぐらいの成長になっています。
円ベースで見ても非常に大きく成長させることができています。日本のビジネスは非常に円安が進んだことで、ドルベースで見ると非常に減退していましたし、円ベースで見ても横ばいが続いていたところですが、今この局面に来て、非常に大きくビジネスを拡大できています。
昨年の第4四半期はワンタイムで大きなプロジェクトが一斉に入ってきたこともあって非常に業績が良かったのですが、そのワンタイムの大きなプロジェクトがなくても、安定的に経営することができたのが、この第1四半期の特徴になっているかと思います。
ちょうど損益分岐を大きく超えると、昨年の第4四半期のように利益も大きく計上することができますが、今期の第1四半期に関しては利益計上よりも採用費を相当かけて、チームを大きくすることに取り組んでいます。一部、東京オフィスの引っ越しによってかかる販管費の拡大も想定しながら、利益面に関しては計画値を出しています。
このままのペースでいくと第2四半期以降も過達で進行することができるのではないか、計画を上回るかたちで経営することができるのではないかと考えています。
また、東南アジアも非常に大きく業績を伸ばすことができています。インドは横ばいではありますが、この第2四半期以降で大きなプロジェクトがまた入ってくることを想定していますので、2025年度は非常に良いかたちでマネジメント・サービス事業はスタートすることができたと考えています。
プロフェッショナル・ソリューション事業のご紹介

プロフェッショナル・ソリューション事業についてです。マネジメント・サービス事業に関しては、一生懸命人を採用して人を育てて、お客さまに付加価値の高いサービスを提供することを特徴としていますが、一定の離職率もありますし、短期間で大きくスケールさせることがなかなか難しいのが特徴です。
一方で、特定のソリューション、特定の領域に特化したチームやプロダクトを開発すること、および、高いスケーラビリティを実現させていくことを目標として、IPO以降プロフェッショナル・ソリューション事業に取り組んできています。
特に、我々はお客さまのデータベースを7万件超有していますので、マネジメント・サービス事業で培ってきたデータベースを最大限活用しながら、さまざまな専門領域にアプローチしていき、垂直的にサービスを立ち上げることに取り組んできています。
プロフェッショナル・ソリューション事業の業績

プロフェッショナル・ソリューション事業の業績です。2025年第1四半期は4,600万米ドルと、約7億円の売上を上げることができています。スライドのグラフのとおり、サプライチェーン領域は昨年、第2四半期、第3四半期、第4四半期とかなり売上が落ちていたのですが、ここにきて挽回することができました。
特に拡大したのはDX領域で、主に日本ということになります。日本におけるDX領域のチームが大きく売上を伸ばすことができました。
また、サステナビリティ領域にも昨年の第4四半期から取り組んでおり、ここでもしっかりとした売上を上げることができ、大きく業績を伸ばすことができています。
2025年度第2四半期以降も、この流れを活かして、各領域をしっかりと成長させていきたいと思っています。マネジメント・サービス事業以外の、このプロフェッショナル・ソリューション事業に関しても、大きく成長の実現が期待できるのではないかと考えて、経営にあたっているところです。
ペットケア領域のご紹介

プリンシパル投資事業についてご説明します。株式会社SOLIAを売却したことによって、今一番大きなポートフォリオがこのライフメイト動物病院グループになっており、現状は10病院を運営しているかたちになっています。
ペットケア領域の業績

特に直近で病院を増やしたわけではありませんので、非常に安定的に経営を行っていますが、第1四半期は若干閑散期ということもあり、売上は6億8,000万円になっています。
第2四半期は逆に繁忙期に入っていきます。昨年は8億2,000万円でしたが、それを上回る業績を上げられるような経営を、経営陣にお願いしているところです。
戦略投資領域のご紹介

戦略投資領域についてです。例えば香港やシンガポールでの飲食のビジネス、シニア領域、それ以外でもいくつか、やや小型の新しい投資にも携わっています。
戦略投資領域の業績

大きくグループの業績を変動させることがないように、一定のリスクコントロールをしながら投資活動にあたっています。
グループ全体の成長戦略

今期以降での取り組みですが、株式会社SOLIAの売却も含めて、今だいたい足元で現金が60億円ぐらいグループの中で貯まっています。
その60億円を最大限活用しながら、母体であるマネジメント・サービス事業の日本チームで引き続き積極的に人材を採用していきます。また日本以外においても、積極的にリーダーシップを含めた経営体制を強化します。
現状は250人でだいたい売上60億円ぐらいとご説明しましたが、いち早くここを500人体制にして売上100億円を作ることが非常に重要だと思って取り組んでいるのが戦略の1つ目です。
特に足元での資金は、プロフェッショナル・ソリューション事業で活用したいと思っていますが、4領域、あるいはそれ以外の領域に積極的に進出し、場合によってはM&Aも活用しながら、4領域が5領域、6領域と増えながら、それぞれで50億円から100億円の事業を作っていきます。
これを200億円ぐらいの塊にしていき、マネジメント・サービス事業の100億円とプロフェッショナル・ソリューション事業の200億円で、300億円ぐらいの事業を作ることが2つ目の戦略です。
その中で株式会社SOLIAを売却して、グループの中で資金を回収したのは非常に大きなマイルストーンになっています。ペットケア領域、あるいは戦略投資領域において投資している先の価値の最大化を図り、場合によってはそのような投資先の売却も行い、グループの中に資金を回収します。その回収した資金でグループの本業の成長を確実に実現させていきたいと思います。これを3つ目の戦略として掲げています。
2025 年 12 月期 中期経営計画 ( 円ベース )

数値面ではすでに開示していますが、中期経営計画を円ベースでご説明します。今期は、株式会社SOLIAを除いて145億円から150億円ぐらいの売上を上げる見通しを発表しています。すでに60億円のマネジメント・サービス事業を100億円に持っていくことをご説明しています。
足元で17億円のプロフェッショナル・ソリューション事業を、M&Aも含めて200億円ぐらいの規模にしていくことが非常に重要だと思っています。3年後の目標として開示しているマネジメント・サービス事業87億円、プロフェッショナル・ソリューション事業40億円は、M&Aを一切織り込まない数字ですので、積極的にさまざまなM&Aに取り組むことで、2領域あわせて300億円ぐらいの事業をいち早く築くべく、経営にあたっています。
株主還元の方針

上場してからは配当というかたちでの株主還元は実施していませんでした。昨年までは株主優待として、株式会社SOLIAのさまざまな商品を、株主のみなさまにご提供することに取り組んできました。
我々の本業であるマネジメント・サービスおよびプロフェッショナル・ソリューションを大きくしていくことが一番重要だと思っていますので、株式会社SOLIAを売却したタイミングで、本業から上がってきている経常的な利益の50パーセントを配当していくことを発表しています。
一方で、足元60億円の現金というお話をしましたが、この資金については、先ほどお伝えしたように、100億円、200億円の事業ポートフォリオを作るためのM&Aに活用したいと思っています。
どうしても使いきれない場合、ここの余剰資金については積極的にみなさまに一時的な還元も含めてお戻ししていきたいと考えています。
スライド下段にはすでに発表している今期の見通しを前提とする配当金の予想について示しています。今お伝えしたとおり、第1四半期はすでに計画値に対してプラスで推移していますので、より良いかたちで今期を進行させていき、配当数値に関してもできるだけこれを上回るかたちで上方修正できるよう、経営を進められたらと考えています。
質疑応答:松岡氏就任後の取り組みおよび評価について
「日本事業の立て直しに向けて新たに松岡氏を代表に迎え、パートナーを増員したとのことですが、どのような課題認識のもと、どのような狙いで体制を変更されたのでしょうか? また、松岡氏が就任されてから現在に至るまで具体的に取り組まれた内容と、改善スピードに対する石田社長の評価もお聞かせください」というご質問です。
立て直しということではなく、非常に大きく収益・利益を上げてくれているチームですので、まずは既存のパートナーがこれまで以上に活躍できることが一番重要だと考えています。
私がゴールドマン・サックスのプライベートエクイティの投資チームを経て、14年前に独立して会社を立ち上げて以来、日本地域では、私の前職であるゴールドマン・サックスを含め、さまざまなプライベートエクイティファンドのみなさまからいただいたお仕事を事業基盤あるいは顧客基盤の柱にして事業を拡大してきています。
引き続き、日本チームはそのようなプライベートエクイティファンドのみなさまとのお仕事が非常に大きいのが特徴になっていますが、もう少し大人の方々にパートナーとして参画いただくことによって、そのような方々が直接的につながっていて、ファンドの投資先ではない日本企業のお手伝いもしていきたいと考えています。
具体的にはそうした日本企業が事業の見直しを行う際のお手伝いというのもありますが、やはり我々が得意としているのは、そのような会社の海外展開だと思っています。これまではプライベートエクイティファンドが入って、その投資先の海外展開をお手伝いするのがよくあるパターンでした。
もう少しシニアのみなさまに入っていただいたことで、シニアのみなさまのネットワークを活用して、日本で成功されている企業の海外展開をお手伝いすることにチャレンジしていくべきだとの考えから、昨年の春ぐらいから松岡氏にアプローチして、仲間になっていただけないかとお願いし、このような体制で取り組んでいます。
今お伝えしたように、増員したパートナーやプロフェッショナルを通じて、非常に大きな、あるいは成熟した日本企業からたくさんの引き合いをいただいており、そうしたお客様からは「YCPグループは東南アジアにこんなに多く展開しているんだね」、「インドにこんなに大きなチームを抱えていたんだね」、「このようなコンサルティング会社があったんだね」といった声をいただいています。
松岡氏には非常にスピード感溢れるかたちで取り組んでもらっていますので、シニアの方が参画すれば組織にこのような変化が生まれるのかという学びを、日本だけではなく、東南アジアやインドなど、業容拡大するべき地域で活かしていきたいと考えています。
質疑応答:マネジメント・サービス事業の業績見通しについて

「マネジメント・サービス事業では、第1四半期と比較して第2四半期の売上と利益が落ち込む見込みとなっているようです。その要因を教えてください」というご質問です。
スライドに記載した数字は、あくまでも期首に立てた計画値であり、そちらは変更していません。第1四半期は期首の計画を約15パーセント過達したとお伝えしましたが、具体的には900万米ドルくらいの売上を想定していたところ過達したという状況ですので、第2四半期や第3四半期に入る中でも、計画値を超過しながら経営にあたっていきたいと思っています。
現状では、第2四半期に業績がすごく下がるという見通しはありません。一方、第1四半期は例年、日本企業が予算消化のため発注を急ぐ傾向があり、第2四半期に若干落ち込むことは過去にもありました。
現在、日本企業の3月末決算の影響を受けやすい日本国内での売上は全体の3割弱になっており、残り7割を占める東南アジアやインドは、第2四半期に下がるようなことはほとんどありません。さまざまな地域がある中で、決算時期の違いによる影響は、かなり分散・平準化されてきていると思います。
利益面も、第1四半期は本当はもっと低いと想定していました。背景にあるのは、採用をどんどんかけていったことです。日本オフィスのみならず、ジャカルタでもオフィスを移転させるなど、いくつかの拠点でオフィスの場所を変えて、トップファームを目指していくための投資を行っています。
利益面はかなり保守的に出していましたが、売上が想定よりも上がったことによって、現状では利益率も非常に良いかたちで進行することができています。決して現時点で第2四半期が下がる想定をしているわけではなく、期首において、第1四半期を含めて全体的に保守的に想定を作ったということです。
質疑応答:需要が飽和する日本市場における成長戦略について
「東京証券取引所に多数のコンサルティングファームが上場しているように、最近の日本ではコンサルティングの需要が飽和しているとも聞きます。今後の日本市場で、御社が成長し続けることは可能でしょうか? 今後の見通しや戦略を教えてください」というご質問です。
コンサルティング業界そのものは、かなり成長しています。引き続き日本市場においても拡大しているため、間違いなく市場としては大きくなっていると思います。
背景としては、日本市場全体における人手不足、あるいは残業管理を含む労務管理が厳しくなっている点が挙げられます。そのような中で、我々のような傭兵部隊を活用する企業側のニーズが増えています。
また、事業環境の変化がめまぐるしくなっています。昨年は生成AIが登場したことによって、「AIを使って事業をどのように行えばいいですか?」といったお問い合わせを、たくさんいただきました。
直近では、トランプ政権によって関税が変わったら、どのように生産拠点やサプライチェーンを変えていかないといけないのか、といった引き合いをたくさんいただいています。そのため、全般的な人手不足に加えて、世の中の流れが非常に速くなっていることから、コンサルティングのニーズはこれからも増えていくと思います。
そのような中で、当社がどのように生き残り、成長していくのかという点を申し上げると、1つは、当社がアジア全体で事業を展開しているため、日本企業のアジア展開における1番のサポーターになれるということ、もう1つは、デジタルやAI、M&A、サステナビリティなど、我々独自で知見を深めており、日本企業のニーズにも合致する領域で、きちんとした専門性を確保することによって、より良いかたちでサービスを提供していきたいと考えています。
質疑応答:日本市場における成長戦略について
「SOLIAの売却資金について、今後M&A等で活用していくと理解していますが、現状でどのようなパイプラインが積み上がっているか、可能な範囲で教えてください」というご質問です。
基本的には、プロフェッショナルサービスというマネジメント・サービス事業と、プロフェッショナル・ソリューションの事業で、M&Aを仕掛けていくのが現状の目標です。
当然、オーガニックで成長していくために、人を採用する、あるいは採用費をヘッドハンターに払うためにも、資金が必要になってきています。
M&Aについてより詳しくお話しすると、自分たちが取り組むべきであるのに、あるいは市場として伸びているのに手を出しきれていないアジアの地域として、例えば中東は、今すごくコンサルティング業界が伸びています。
また、アジアと呼ぶべきか、アジア・パシフィックと呼ぶべきかという話はありますが、オーストラリアという、今は資源の観点で日本企業が非常に注目している市場もあります。
中東やオーストラリアにおいて、我々がゼロから入って人を採用して行うより、すでにある、かつ我々と企業文化が似ているファームに対して、M&Aを仕掛けていくことがあると思います。
また、プロフェッショナル・ソリューション事業は、現在日本側で非常に良いかたちで、サステナビリティ領域の事業をローンチすることができていますが、これを東南アジアに展開するとしたら、どのような取り組みをすればいいのか。あるいは、DX領域やインタラクティブ領域、サステナビリティ領域、サプライチェーン領域の4領域に加えて取り組むべき新たなプロフェッショナル・ソリューションはなにか、など、取り組むべきと考えられるもの、あるいはシナジーは深いが手が伸びていないところを、M&Aを通じて時間を買うということに、積極的に取り組んでいるところです。
まとめると、地理的に特徴のあるファームに加えて、サービス面で非常にシナジーがあるファームを見ているところです。昨年から取り組んできているパイプラインで、すでに一定の合意に至っている案件もありますので、年内のできるだけ早いタイミングで、みなさまにもお示しできるような状況にしなければいけないと考えています。
質疑応答:プリンシパル投資事業とペットケア領域について
「プリンシパル投資事業は、ある程度の規模までいけば売却を検討するとのことですが、具体的にどのくらいの規模ですか? 現在運営しているペットケア領域は、すでに売却を検討するフェーズに移行しているのでしょうか?」というご質問です。
先ほどは規模とお伝えしましたが、どちらかというと成長ステージだと考えています。当社がグループの中でプロフェッショナルを送り込み、成長させることが有効だというフェーズもあれば、一定の事業成長のモメンタムがあり、「そのようなコンサルティングはもういいです。自分たちだけできちんと採用して、事業を作っていけます」といったフェーズに入っている会社もあります。
特に、SOLIAは60名くらいの規模になっていて、そろそろ新卒採用も始めるということでした。積極的に支援をするよりは、現行メンバーのさらなる活躍を応援するフェーズに入ってきたため、昨年12月に売却に至ったというところです。
現在残るペットケア領域は、当社が強く関与しなくても、すでに事業規模、あるいは経営体制として、経営メンバーが非常にしっかりと運営されているため、お任せできると思っているところもあります。
一方、「もう少し規模を大きくしたほうが、ライフメイトとして独り立ちしていく時に、より魅力のある会社になっていく」と思っていますし、「採用力やお客さまに対して、ライフメイトとはこのようなペットケア会社です」とお伝えするためにも、もう一段規模を大きくしないといけないと考えています。そのような支援をしながら、適切なタイミングで売却を検討していきたいと考えています。
質疑応答:戦略投資領域の業績や今後の投資先について
「戦略投資領域の業績を見ると、売上は横ばいの上に、第1四半期は若干減収、利益もほとんど出ていないようです。戦略投資領域は、若手コンサルタントの育成の場であるとは理解していますが、グループ全体の資本効率や投資回収率を考えれば、事業を続けるメリットはそこまで大きくないように感じられます。これまで以上に厳しい目線で、投資先を厳選管理していくべきではないでしょうか?」と言うご質問です。
100パーセントおっしゃるとおりです。明らかに伸びている、投資はうまくいくと思われる、と株主のみなさまにお伝えできる投資先については、しっかりと管理を行い投資を継続していきたいと思っています。
そうではない投資先があるというのも、おっしゃるとおりです。2025年度内にしっかりと区切りをつけることをグループ内で決断し、今投資管理を進めています。しっかりとした投資の目線を踏まえて、投資先の管理を行っていきたいと考えています。
質疑応答:JDR(日本型預託証券)所有者への対応について
「いわゆるアクティビストの方々がJDR(日本型預託証券)を保有されているようですが、どのような対話をされているのか、フェア・ディスクロージャーの観点を踏まえて教えてください」というご質問です。
アクティビストという表現が適切かわかりませんが、積極的に投資先と対話を重ねられる株主のみなさまが当社JDRを保有されていますので、我々としても積極的な対話の場を設けています。
先ほどご質問をいただいた戦略投資領域についても、非常に厳しく言われています。そのような対話を通じて、昨年12月のSOLIAの売却に至っています。どちらの投資先を、どのようなタイミングでどのようにするべきかについても、この説明会でみなさまにご質問いただいているとおりで、その内容は個人投資家のみなさまからのご指摘と大きく変わるところはございません。
株主還元についても、「このような考え方で配当したほうがいい」や、「このような考え方で自社株を保有したほうがいい」など、非常に厳しくご指導をいただいています。そのような対話を通じて、昨年度末に発表した還元策を打ち出していますし、我々としても、共感する部分は積極的に取り入れながら経営しています。
一方、時間軸に非常に厳しい投資家のみなさまもいらっしゃいます。時間軸が非常に重要だということは承知していますが、しっかりとした会社を作り、長期的に株価を上げていくことが一番重要なポイントだと思っています。
直近の3年間、IPOをしてから株価が良いかたちで推移しないことに対して、非常に責任を感じているところです。今期、株主還元を含めて積極開示している背景には、株価を改善しないといけないといった思いがあります。そのようなことも含めて、長期的にみなさまにお返しできるように取り組んでいくべく、そうした点も含めて、議論をしています。
質疑応答:JDRの情報表示について
「JDRの情報表示について、以前の決算説明会では2024年中には一定の改善があるはずとおっしゃっていました。『会社四季報オンライン』や証券会社のツールでは、未だに満足情報が表示されない状況です。東京証券取引所へ働きかけを続けていると思いますが、具体的な進捗はありますでしょうか?」というご質問です。
こちらは、引き続き改善が必要だと理解しています。東京証券取引所とも適宜情報連携をしていますが、十分ではないと認識しています。例えば「Yahoo!ファイナンス」で時価総額が適切に表示されるようになりましたが、まだ証券会社すべてが出揃っているわけではないことを聞いています。
いくつかの証券会社では、少なくとも時価総額はきちんと出るようになっていると認識しています。しかし、すべての証券会社がそのようなわけではありません。「会社四季報オンライン」に当社の情報が入らないと、みなさまの証券会社の取引プラットフォームにおいて、PERやPBRが表示されないと理解していますので、東京証券取引所のみなさまとともに、東洋経済新報社へ継続的に働きかけていきたいと考えています。
質疑応答:株価上昇のための施策について
「信用取引で保有している大口株主がいらっしゃるようですが、そのような株主への対策も兼ねて、今後の株価上昇のための施策を教えてください」というご質問です。
大口株主の方々からは信用取引で入っていると聞いていますが、すごく短期的に売却するニーズではなく、当社JDR全体の流動性を踏まえて、信用取引を行っていると説明を受けています。
当社が理解している信用取引で保有されている大口株主のみなさまからは、そのようなご説明をいただいているため、慌てて売却する方々ではないと認識しています。信用取引であること自体が株価に対してマイナスインパクトを与えるとは、考えていません。
一方、株価という面では配当や自社株買い、手元の現金をどのようなM&Aを活用し、先ほどお伝えしたように100億円プラス200億円の売上300億円の会社をどのように作るかということを、いち早くお示ししていくことが重要だと考えています。
質疑応答:今期の配当利回りについて
「今期の配当利回りを教えてください」というご質問です。
現状、年間の1株当たり配当金予想を13円と開示しています。こちらを前提とすると、2パーセント強になりますが、当社としては、13円を15円や17円にしていく必要があると考えています。
そのような中で、3パーセントくらいの利回りが作れる、あるいは見通しが15円や20円、30円となっていく中で、PERが改善されていき、株価そのものが公募の830円を上回る水準に出てくると、流動性も相当に出てきて、900円から1,000円くらいのタイミングで、より適切な評価、上場企業として適切な運営ができるのではないかと考えて、経営に取り組んでいるところです。
現状のさまざまな問題は、非常に大きな課題であり、責任を感じているところです。今期中に株主還元やM&Aの積極投下ということで、来年度以降の成長曲線をまったく異なるものでお示しできるよう、経営に取り組んでいきたいと考えています。
質疑応答:株主資本コストの認識について
「社長の真摯な姿勢に胸を打たれて保有を継続しています。現在、貴社の株主資本コストはどのくらい認識して経営されていますか?」というご質問です。
当社の株主資本コストは、現在7パーセントだと理解しています。先ほど配当利回り2パーセントから3パーセントに上げていくとお伝えしましたが、7パーセントの資本コストをミートできるよう経営する必要があると思っています。
一方、今期の予想で開示している見通しだと、ROEが5パーセントを下回ってしまっているのが現状です。危機感と言いますか、責任を非常に感じているところです。
昨年まで大きく利益に貢献していたSOLIAという利益の源泉がなくなったことによって、それ以外の事業だけで利益を出さなければならない一方、利益を出していたものが現金になったので、現金を使って新たな利益の種をグループの中に植え込むことができるようになりました。
具体的には、プロフェッショナルサービスの中で、よりシナジーの高いものに組み替えていきたいと考えています。
2021年12月にIPOして以降、2023年からポートフォリオの組み換えをやりますということで、昨年はSOLIA売却という1つのマイルストーンがあり、今年また新しく道筋をお示しできればとご説明しています。
新しい事業のポートフォリオを組み入れることによって、当社が示している計画値を、1.5倍や2倍にすることによって、予想のROEを引き上げていく必要があると考えています。
質疑応答:上場を継続する経済合理性について
「日本事業の経営体制刷新を受けて、一段ギアを上げた成長を期待しています。現状のように流動性が低い状況では、東京証券取引所で上場を続けるメリットよりも、上場時コスト等のデメリットのほうが大きいと思います。上場を継続する経済合理性はあるのでしょうか?
また、以前の説明会では、上場廃止や海外市場への鞍替えも選択肢にあるというお話でしたが、現状の流動性では真剣にその可能性を検討する段階にあるのではないでしょうか?」というご質問です。
今年は株主還元を実施すること、昨年SOLIAの売却によって回収した資金で新しいM&Aをお示しすることによって利益水準をもう一度上げる、という2点に注力しています。結果として、公募の金額を超える株価を期待し、実現させないといけないと考えていますし、上記2つの施策が実現すると、流動性もかなり改善するのではないかと期待しています。
一方、今取り組んでいる施策や積み上げている施策を示した時に、それでも株価や流動性がうまく改善されない場合には、おっしゃるとおり、よりドラスティックな資本市場との対話を検討することが必要になると思います。そのような際には、きちんとしたかたちで株主のみなさまに還元した上で、施策に取り組んでいく必要があると認識しています。
質疑応答:株主優待の実施について
「株価対策として、個人株主に訴求するためにも、あらためて株主優待を行うのはいかがでしょうか? 外国株やJDRは、ただでさえ注目を集める機会が少ないため、優待を実施して優待専門の雑誌などを通じて露出を増やすことも、有効だと思います」というご質問です。
優待か配当かについては、常々社内でも議論しています。現状で言いますと、昨年までは優待に取り組み、今年からは配当を行っていきますが、まずは両方取り組んでみて、適切な方法はどちらなのかを模索していきたいと考えています。
当社の本業はコンサルティングファームなので、SOLIAの場合には「おもしろい投資先がある」、「マーケティング戦略をお客さまにコンサルティングしている会社として、その専門性を活かしてSOLIAの事業を伸ばせる」、「そうして作った商品をみなさまにお届けする」という一連のストーリーがありましたので優待を実施しました。
例えば、現在の投資先には動物病院がありますが、ペットを飼っていない方も多いと思います。
しかしながら、当社のコンサルティングサービスの良さや専門性をもって、みなさまになにかお伝えできるような商品やサービスがあれば、改めて優待に取り組んでいきたいと思っています。
純粋に現金で還元するということであれば、配当が適切だと思います。例えば「QUOカード」のようなものを優待に取り込むことは、現時点では想定していません。
ストーリーがあるものであれば、優待として取り組み、そのようなものがなく、現金でお返ししたほうが良いのであれば配当ということで、いろいろと今チャレンジしているところです。翌年度以降の株主還元については、社内で議論して取り組んでいきたいと思っています。
石田氏からのご挨拶
経営陣一同、引き続き事業を大きく伸ばし、みなさまに支援をしてよかったと思っていただけるようにならないといけないと考えています。私自身は、会社を興してから1株も株を売っておらず、売り方もわかりませんので、みなさまと同じ利益の方向性を共有していると思っています。
より良い株価を実現し、みなさまに還元できるように経営に取り組みたいと思っています。ぜひ長期的にご支援いただければ幸いです。
IRの情報等も、積極的に配信しています。今取り組んでいるM&Aも、できるだけ早くみなさまにニュースとしてお伝えできるよう、進めていきたいと思います。IR情報を含めて、継続的にご支援を賜れればと考えています。
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