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【QAあり】ロココ、営業利益は前年比+492.3%の急成長 高付加価値のServiceNow事業が引き続き牽引
2025年12月期第2四半期決算説明
長谷川一彦氏:みなさま、こんばんは。株式会社ロココ代表取締役社長の長谷川一彦です。どうぞよろしくお願いします。
当社は1994年6月に設立されました。私は滋賀県大津市出身ですが、「滋賀県出身」と聞くと近江商人を想像する方が多いと思います。近江商人はもともと近江八幡出身の方を指す言葉ですが、私は大津出身ですので、真の近江商人ではありません。ただし、「三方よし」の理論は非常に大切だと思っています。
ロココという社名をつけた理由は、私自身が大津で成長し、母方の家が大津・坂本で石垣積みをしていたことに由来します。
企業理念

スライドの写真は、「穴太衆」「野面積み」という積み方です。石垣積みは、大きい石や小さい石をいかに活かして積むかが基本となっています。
私は1994年6月に1人でこの会社を設立しましたが、会社を大きくしていくには、多様な人々が集まり、それぞれの個性をいかに活かすかが重要です。大きい石もあれば小さい石もあるように、創業以来、石垣積みの基本に倣い、その考えを貫いてきました。
私どもは「社心」を掲げています。通常の会社では「社是」や「社訓」といった名称が多いですが、当社の場合は「社の心」と書いています。
社心の真髄には、「信頼はすべての礎なり」という理念があります。さまざまな石がうまく積み上がることで、礎が強固なものになれば、たとえお城を作っても石垣が崩れません。このように基礎の重要性を示した社心となっています。
画像の石垣は、大津にある日吉大社のもので、その奥に比叡山があります。比叡山についてはあまりご存じない方もいるかもしれませんが、千日回峰行を修めると「阿闍梨」という地位を授けられます。
阿闍梨という地位は、天皇陛下から御褒美を賜った際にも土足で上がることが認められるほど、神に近づいた存在とされています。この石垣の向こう側には、阿闍梨の方々が住んでおり、きれいな石垣の積み方を後世に伝えるため、現存するかたちで積まれています。
お城はこれよりもさらに高く石垣を積み上げているわけですが、石垣が壊れたという話はあまり耳にすることがないと思います。滋賀県の草津から八日市までを結ぶ新名神高速道路は非常に高い場所を通っていますが、その一部では石垣を使用して、高さ80メートル下の基礎部分を頑丈に積み上げています。これも「穴太衆」「野面積み」が評価される要素の1つです。
また、社章には「心」を最も大切にしたいという意図から、象形文字で右肩上がりを表した成長の姿を取り入れています。
私どもの会社は、人を非常に大切にする思いを持っています。大きい石、小さい石と例えましたが、人それぞれの個性があります。その個性を活かし続けたいという基本的な思いが、ロココという社名に込められています。
会社概要

現在、社員数は776名で、男女比率は男性60.9パーセント、女性39.1パーセントです。女性社員が増加しており、幹部も女性が7人ほど在籍しています。そのため、部長以上の管理職にも女性が多く含まれています。
日本国籍の社員は全体の86.5パーセントですが、13.5パーセントは外国籍の方々です。当社では、日本人であれ海外の方であれ、性別も関係なく、働きやすい職場環境を整えてきました。
沿革

当社はこれまで右肩上がりで成長してきましたが、その成長の基盤にはITサービスマネジメント事業があります。この事業は、コンピューターの運用管理において最も重要な部分をお客さまに代わって担うところから始まっています。
セグメント別業績

当社の事業は、大きく2つの部門から成り立っています。1つ目の柱はITO&BPO事業で、当社の主要な収益源となっている部門です。
第1にITサービスマネジメント事業があります。取引先の大半が上場企業およびそれに準ずる企業となっています。具体的には、約80パーセントがそのような企業との取引であり、さらにこれらの企業とはすべて直契約を締結しています。
創業当初は1人で会社を立ち上げたため、2次請けや3次請けのようなお誘いもありました。また、当時は直取引が実現しないのではないかと感じる場面もありました。それでも、当社のサービスをより深くご理解いただくためには、直接の取引が不可欠と考え、困難な状況でも直取引を維持してきました。
特に、ITサービスマネジメント事業は当社の人材の宝庫です。イチから育成し、基本的にお客さまにいかに満足していただけるかを中心に事業展開をしてきました。この事業には現在、パナソニックやソフトバンクを含む企業向けに対応する約450名の人員がいます。
第2に、カスタマーコミュニケーション事業があります。この事業は、24時間365日いつでもお客さまのお問い合わせに対応することを可能にした、当社独自のシステムを基盤としています。お客さまがお困りの際、いつでも安心していただける体制と対応可能な能力を持つ、コールセンター・BPOサービスです。
第3に、イベントサービス事業があります。この事業では、大手企業のライブチケットの配席や配信を行っています。具体的には、抽選から配席までを手掛け、例えば3人で応募した場合でも席がバラバラにならないようなシステムを構築しています。現在はイベント事業にとどまらず、美術館をはじめとした施設にもサービスを展開しています。
さらに、「熊本城マラソン」では例年1万人の応募がある中、当選者3,000人の抽選を行っています。昨年のゼッケン番号を持ってきて、「今年も抽選に受かったから走りたい」と虚偽申告をする方がいるのですが、そのような場合も顔認証を活用し、当選者の管理を行っています。
福岡県にある「17LIVE HKT48劇場」の入場にも、当社の顔認証技術が用いられています。300人ほど収容可能なスタジオにおいて、みなさまが顔認証でスムーズに入場できる仕組みです。ボディチェックに時間がかかる場合はありますが、顔認証を活用することで、本人確認がスムーズに行える状態が整っています。これが現在のライブチケット配席管理システムです。
第4にソリューション事業があり、自社製品の顔認証システムを提供しています。多くの大企業が顔認証を導入しているのと同様に、当社でもトップクラスの顔認証技術をさまざまなユーザーにご利用いただいています。
後ほどご説明しますが、クラウドソリューション事業の中のHRソリューション事業では勤怠管理システムを提供しており、こちらもユーザーが顔認証を利用して勤怠管理を行っています。
自動顔認証システムについては、現在、多くの企業が競争を繰り広げています。当社の顔認証システムは、これまで1.5メートルの距離で顔認証を行う仕様でした。しかし、1.5メートルで顔認証を行う場合、歩いている方が顔を違う方向に向けると焦点が合いにくいという課題がありました。
当社では、この問題を克服するため、80センチほどの距離で顔に焦点を素早く合わせる技術を採用しています。他社がコンマ数秒の間におよそ100回の認識を行う仕様であるのに対し、当社では200回の焦点調整を行うことが可能です。この技術により、誤認識を防ぎ、精度を大幅に向上させることができています。
さらにクオリティを向上させるため、今年1月7日からポーランドに進出しました。ロココポーランドでは、新卒で採用したポーランド人のカツペル・ラジコウスキを代表に任命し、この者を中心に開発に取り組んでいます。
トピック:ポーランド進出

当社の場合、上場する前は優秀な人材をなかなか採用できませんでした。現在いるメンバーを採用できた背景には、早稲田大学大学院の北九州キャンパスが関係しています。
ここで吉江修教授と出会い、海外からの入学希望者を対象に、吉江教授のテストを経て合格した者のみが大学院の授業を受けられるという取り組みを進めてきました。
このような中で、私はこれまで33ヶ国を訪問しました。その中にはロシアも含まれます。サンクトペテルブルクからウラジオストクまで25日間かけて滞在し、35社のロシアのIT技術レベルを確認しました。また、イスラエルも視察し、技術レベルの高さを知ることができました。どちらの国も今では行くことができません。
このような経験を踏まえ、海外から多様な人材を当社に迎え入れ、彼らが活躍できる場を作りたいと考えました。東南アジアでは、ミャンマー、タイ、ベトナム、フィリピンの4ヶ国を訪れましたが、一番英語力が高く、ITに強いフィリピンの人たちにテストを受けてもらい、採用しました。
タイにおいてもトップレベルの人材が当社に興味を持っています。日本でいう東京大学や京都大学に相当する実力を持つメンバーの中から、早稲田大学を受験し、北九州キャンパスを主席で卒業した人物が、現在、当社で開発業務に従事しています。
中国からの採用も行い、そのメンバーは現地の開発分野で活躍しています。ブラジルの方は早稲田大学を受験して入学・卒業した後、現在は他社で活躍していますが、このように多国籍の外国人学生に早稲田大学を受験していただき、当社に入社して技術開発に携わってもらう努力を続けてきました。
その結果として、ポーランドからも新たな人材が加わり、1月に拠点を設立しました。4月22日には設立記念セレモニーも行いました。
スライド左側には、ウッチ市副市長が当社のキャラクターである「Dくん」「Xちゃん」を持っている写真もあります。この副市長は、ロココのポーランド進出を全面的に支援してくださっています。これを機に、ポーランドの高い技術レベルを持つ人材とともに、この地域でさらなる開発を進めていきたいと考えています。
右下の写真に写っているのは、現在の駐ポーランド日本国大使です。この方をはじめ、ロココを応援してくださる方々の支援を受け、今後も活動を拡大していきます。これがソリューション事業における顔認証システムのトピックです。
セグメント別業績

2つ目の柱が、クラウドソリューション事業です。スライド右下にServiceNow事業とありますが、こちらはクラウドソリューション事業とITO&BPO事業を含めた7つの事業の中で最も右肩上がりで成長を続けており、過去4年間で30パーセントほどの成長を維持しています。
トピック:ServiceNowの安定的な成長

スライドに記載のとおり、ServiceNow社からの評価において、当社は顧客満足スコアで5点中4.64点を獲得し、トップの評価を受けています。顧客満足度については、昨年も今年も継続して同じ評価をいただいています。
ServiceNow事業がなぜ右肩上がりの成長を続られるかというと、ITサービスマネジメント事業の取引先がほとんど上場企業および大企業であるためです。「ServiceNow」は非常に高価な商品です。そのため、中堅・中小企業では導入しても十分な効果を上げることが難しいと言えます。
社員数が1万人以上の企業にサービスを提供することで評価が向上します。しかし、単にサービスを提供するだけでは効果が上がりません。
お客さま先に常駐している当社の社員は、効果を高めるために常に最善の方法を模索し、より満足していただけるようなシステムの運用に努めています。このような当社社員とお客さまとのコミュニケーションがあった上で、「ServiceNow」を導入することで初めて、大企業のコストを大幅に削減することができます。
このような現状をServiceNow社から見た時の満足度が、右肩上がりの成長に反映されています。したがって、1人当たりの売上を非常に高く設定することができ、利益も高いのが特徴です。ServiceNow事業を始動して13年かかりましたが、直近5年ほどは成長し続けています。
勤怠管理システムを提供するHRソリューション事業は約100社と取引があります。大きなユーザーとしてはりそな銀行やマルハンなどが挙げられます。また、関西ではUCC上島珈琲などにも導入いただいており、りそな銀行およびそのグループ全体では、約3万人に活用いただいています。
したがって、HRソリューション事業だけで約100社、合計で約10万人にご利用いただいていることになります。勤怠管理システムに顔認証機能を組み合わせることで、本人が出勤したかを明確化し、代理の出勤などを防ぐ仕組みを実現しています。
システムソリューション事業では、ソフトウェアの受託開発を行い、それをお客さまに納品するという、一般的な受託開発および納品体制を構築しています。
オフショア開発も手掛けており、フィリピンのセブ島とマニラに拠点があります。これら2つの拠点を合わせると、社員数は約80名です。特にセブ島では、「ServiceNow」の開発に協力しているメンバーが多く在籍しています。
グループ拠点

中国・寧波でのオフショア開発も行っています。寧波はかつての遣唐使や遣隋使が最初に港町として使用した地です。約30人のメンバーが在籍し、ServiceNow事業を展開しています。
トピック:松江BASE営業開始

8月1日に「松江BASE」を設立しました。地域再生・創生を目指し、人材確保を1つのポイントとして考えています。
IT業界全体が人手不足の状況ですが、ここでは取引先のユーザーとともに、現在12名のメンバーが「ServiceNow」の開発を進めています。オフショアセンターおよびニアショアセンターとして活用できる拠点を地域に設け、現地で採用することで、「大阪や東京には行きたくないが開発に携わりたい」という方々を支援しています。そして、地域で安心して働ける環境作りを進めています。
現在は福岡と松江に営業所がありますが、今後の拠点展開としては、稚内、広島、名古屋を考えています。名古屋ではトヨタ自動車との取引が実現したため、そこを起点にServiceNow事業のさらなる展開が可能になると期待しています。このように、「ServiceNow」を中心とした展開がけっこうできてきています。
2025年12月期 セグメント別売上高・経常利益予想

こちらのスライドには、ITO&BPO事業とクラウドソリューション事業の数字が記載されています。今期はさらに成長させることができるのではないかと考えています。
IT人材の採用と育成

人材の採用と育成についてです。スライド右側には、「Microsoft」などの開発資格保有者を記載しています。お客さま先の開発、および「ServiceNow」の開発においても技術者数をどんどん増やしているのが現状です。
トピック:ServiceNowの安定的な成長

スライドに記載のとおり、「ServiceNow」は安定的に成長しています。直近5年ほどは一貫して右肩上がりです。2025年12月期には、前年比プラス7社の61社となっていますが、今月も「ServiceNow」の取引報告が多く寄せられています。私からのご説明は以上です。
質疑応答:ServiceNow事業の第2四半期売上高について
「『ServiceNow』の成長に期待しています。この第2四半期は、第1四半期に比べて売上高が伸びませんでしたが、その理由を教えてください」というご質問です。
ServiceNow事業は、お客さまへの提案から納得いただくまでに一定の時間がかかる上、ニーズが多く、人材の育成にも時間を要しています。それだけ「ServiceNow」の評価が高いため、準備段階や人材育成に時間をかけて取り組んでいます。
第1四半期と比較すると、売上があまり伸びていないように感じられるかもしれませんが、第3四半期と第4四半期は業績を大きく牽引する見込みですので、ServiceNow事業の成長に期待していただいてよいと思います。
質疑応答:ロココの魅力について
「ロココの一番の魅力とは何でしょうか?」というご質問です。
当社は設立当初から、人を大切にすることを基本方針に掲げています。社員同士の信頼関係、お客さまとの信頼関係、そして株主との信頼関係を築くために、必ず約束を守ることを大切にしてきました。
これからも、みなさまの期待に応えられる会社を目指します。お客さまにご満足いただくことで社員が成長し、給与が上がり、売上が伸び、利益が伸びていきます。そして、その利益を株主に還元するという流れを大切にしていきます。
例えば、昨年は配当金を期末配当20円に記念配当10円を加え30円にしました。今年は期末配当25円をベースとしていますが、下期の成長にもご期待いただければと思います。私自身、みなさまの期待に応えられるよう全力を尽くしていく所存です。
質疑応答:上場への考え方について

「上場に対する思いを教えてください。直近ではグロース市場改革が騒がれていますが、スタンダード市場にも余波があると考えています」というご質問です。
私たちはスタンダード市場に上場していますが、7つの事業は当社の多様な展開によってさらに付加価値を高めていくことが可能です。アップセルやクロスセルができることも、当社の強みだと考えています。
また、当社の取引先は上場企業が中心です。上場企業の取引先からは、最初は運用管理や開発で1人から2人の注文をいただくことが多いですが、その後2人から3人と徐々に期待を高めていただき、当社のサービスに満足していただければ、さらなる発注や追加業務の依頼につながることがあります。
最初は、当時の松下電器産業(現・パナソニック)との取引で、4名からスタートしました。現在は100名以上のお付き合いとなっています。これは、お客さまが当社の技術力やサービスに対して、「もっとロココに任せてよい」と判断した結果です。運用管理のメンバーだけで100名ほどが稼働していますが、「『ServiceNow』も導入してほしい」「機器販売もすべて管理してほしい」といった要望により、アップセルで人数が増加し、クロスセルで異なる業務も拡大しています。
運用管理の周辺業務として、開発や顔認証、コールセンターの仕事について提案すると、「ロココならそんなこともできるのか」と評価をいただけます。最初は取引窓口が1つだったものが、徐々に横展開や上位展開で業務範囲が広がっていきます。
これが売上の成長につながっています。スライド7ページに記載のとおり、2025年12月期第2四半期におけるITO&BPO事業の売上高は28億2,200万円、営業利益は1億7,200万円となっています。売上高は前年比でプラス12.2パーセント、営業利益は前年比プラス492.3パーセントという成長を遂げています。これは、いろいろな付加価値を提案することによって事業を拡大できた結果だと思っています。
お客さま先に常駐する社員の人数を増やしていくことは可能ですが、人を増やすと、やはり人件費がかかります。しかし、顔認証システムは一度設定すれば、1人当たりの売上が継続的に上がり、あとはすべて利益となります。そのため、動画でも顔認証ができるような高いクオリティを常に維持することが重要です。
例えば、みなさまが海外旅行に行く時、入国審査でパスポートの顔写真をスキャンし、その後、自分の顔を写す場面があります。その際は静止している状態で行われますが、実はパナソニック製品を使用しています。市場シェアとしてはパナソニックが95パーセント、残りの5パーセントはNECが占めています。ただし、これには大きな装置が必要です。
一方、当社製品の場合、「iPad」1台だけでどのような会場でも利用可能です。非常に安価な設備で高い効率を実現し、コンサートだけでなく、美術館などさまざまな場所での利用が進んでいます。
これに対しては投資が必要ですし、経費もかかります。今期全体では、売上については間違いなく成長する見込みです。今もかなりの売上が上がってきています。一方で、これからのために利益を効率的に活用していきたいと考えています。
上場に対する思いとして、私はこの会社をおこす前に、コンピューターサービス(現・SCSK)で、社長の大川功氏のもとで経営を学びました。当時に培った考え方を軸に次世代の人材育成を進めています。
現在は大川氏の考え方に似たかたちで進めていますが、それを乗り越え、新しい情報産業の時代に進んでいきたいと考えています。大川氏が築き上げた情報産業社会の一部を担い、私なりに成長させたいと考えてこの会社を設立しました。
また、この会社で働くことで社員一人ひとりの自己実現が可能です。例えば、「今は運用管理をしているけれど、できればServiceNow事業に携わりたい」という人も、転職することなく実現できます。当社の離職率が低いのも、そのような仕組みが理由の1つです。

スライド5ページに記載のとおり、当社は大企業との取引が全体の80パーセントを占めています。エンジニアの離職率も業界平均の12.8パーセントと比べ、半分近く低い水準です。当社では、社員がしたい仕事を常に上司が聞き、新しい仕事に就くことについて双方が話し合いの上で、社員本人が望む仕事を任せる体制を整えています。
また、解約率が低いのも特徴です。取引の80パーセントが上場企業であり、これらの取引で解約はほとんどありません。
一方で、20パーセントを占める中小企業との取引では、例えば勤怠管理の場合、当社では企業ごとに適したシステムを提供していますが、より安価なサービスに移る場合があり、それにより解約が発生することもあります。それでも、全体的に見れば解約率は非常に低い水準となっています。
これらは、私自身がこの会社を設立し、いかにお客さまに満足していただけるかを中心に取り組んできた成果の表れではないかと思っています。
質疑応答:成長戦略について
「今後の成長戦略について教えてください」というご質問です。
当社の7つの事業は、1ユーザーが1部門とのみ取引するケースが非常に多く見受けられます。そのため、「ロココは『ServiceNow』を扱っていたのか」と驚くお客さまがいる一方で、「運用管理や勤怠管理も行っているのか」とお問い合わせをいただくこともあります。
実際、大企業のユーザーにおいても、当社が展開する7つの事業を十分に理解していない、あるいは認識していない場合が少なくありません。今後はこれら7つの事業を統合的にお客さまに提案していきたいと考えています。
また、本社のシステム部門のみと取引しているケースも多いです。例えば、パナソニックやLINEヤフーをはじめ、大企業の多くは子会社を抱えています。運用管理や開発、顔認証だけではなく、さまざまな分野を組み合わせて、子会社に対してもアップセルやクロスセルを積極的に推進していきます。
さらに、さまざまな分野で顔認証の利用が増えることで、売上が伸びるだけでなく、利益率も大幅に向上すると思っています。そのような事業展開を目指していきたいと考えています。
質疑応答:ITO&BPO事業の形態について
「アウトソーシングサービスは、下請け事業なのでしょうか? プロダクトの販売強化なども検討していますか?」というご質問です。
アウトソーシングで直接取引を行う例として、例えば、パナソニックでは運用管理を行っている方が当社以外にはおらず、当社がパナソニックに代わって運用管理をすべて行っています。そのため、決して下請けではありません。また、我々が積極的に提案を行うことでお客さまにも参考にしていただき、サービスをご利用いただくという流れになります。
我々は派遣会社と誤解されることがあります。当社では「お客さま先に常駐する」という言葉を使っていますが、その形式や形態は派遣会社に似ています。ただし、通常の派遣会社の契約では、派遣された業務以外の仕事を行う必要はありません。本人が自主的に行動する場合は問題ありませんが、派遣会社とユーザー間の契約では、定められた業務以外を行う必要はなく、業務がなければ何もしなくてもよいことになっています。
当社の場合は形態が異なります。個々の売上が上がる点は同じですが、より良い提案を行い、「ムダ・ムラ・ムリ」をなくすことで、お客さまに代わってコストダウンを実現し、いかに満足していただくかを社員に徹底的に教育しています。
取引の80パーセントを占める上場企業のお客さまを大切にするのは当然ですが、ユーザーに対しても社員と同様に接しています。「ムダ・ムラ・ムリ」があればこれをなくし、より合理的な考え方で運用管理を進めることを目指しています。決して下請け事業ではありませんので、その点は誤解のないようお願いします。
質疑応答:増配を検討する可能性について
「業績が上振れた場合、増配を検討する可能性はありますか?」というご質問です。
昨年は記念配当として、配当金を20円から30円に増額しました。ただし、今年も増配を行うと断言することはできません。インサイダー取引にも関わることですし、私個人の意向をどのようにご説明しても、増配をお約束することはできません。
現時点でのロココの成長や活躍、さらには売上の伸びを可能にする要素は、大企業の中に多く存在していると考えています。上場企業は約4,000社ありますが、そのような大手企業や官公庁を含めた広い市場で、当社独自の「ServiceNow」の営業力を強化することで売上を伸ばし、利益を出すことを目指しています。そして、利益を創出できれば株主へ還元したいという思いを持っています。
その点については、みなさまにどのように配当を期待していただくかを含め、ぜひご理解いただければと思います。本日のご説明を通じて、私の性格についても少なからずお感じいただけたのなら幸いです。
質疑応答:人材教育のポイントについて
「解約率の低さは人材による賜物なのでしょうか? 人材教育のポイントを教えてください」というご質問です。
当社では正社員を定期的に採用しており、昨年は32名、一昨年は38名を採用しました。解約率が低い要因の1つとして、取引の中で当社の社員がユーザーに代わって対応する中で、お客さまが当社の社員を非常に大事にしていただけることが挙げられると思います。
また、採用後は1泊2日の研修を通じて、ロココの現状や社員一人ひとりが抱える悩みや課題をお互いに理解し合える場を定期的に設けています。中途採用でも同様に1泊2日の研修を実施しており、同じ年に採用された同期という意識を持たせることで、社員がロココを好きになれるような教育を行っています。
嫌なことがあれば上司が迅速に状況を聞き取り、個々にフィードバックを行い、できるだけ社員が納得して働けるように努めています。
同期としてのチームワークを重視し、1年目研修、2年目研修、3年目研修といったかたちで、3年目までは継続的に研修を実施しています。また、5年目、10年目といった節目ごとにメンバーで会食をしたり、これまでの経験を励まし合ったりする会合を開催しています。
このように、社員を常に大事にしたいという私の思いが通じているのかもしれません。このように人材教育には大変力を入れています。また、お客さまにも、研修期間は社員が常駐できないことや、決して無駄な時間を過ごしているわけではないことをご理解いただけるよう努めています。
1人の社員を失うと、次の採用までに非常に多くの費用と時間が必要になります。現在では、人材を1人確保するのに150万円から200万円程度かかる状況です。そのため、1人でも多く社員が辞めないような環境を整えることが重要です。
「この会社にいたい」と思える雰囲気を保つことで、コスト削減が図れるだけでなく、辞めない社員作りに取り組んでいる企業として、お客さまからのロココへの評価も向上します。また、無駄なコストの削減が利益向上にもつながり、組織全体でプラスの取り組みになっていると思います。
質疑応答:中期経営計画を開示しない理由について
「中期経営計画は発表しないのでしょうか? その理由は、事業環境の変化が激しいためですか?」というご質問です。
現在は、事業環境の変化が非常に激しい状況です。例えば、新型コロナウイルス流行時も同様で、先行きが不透明な中、お客さまもどのような体制を取ればよいのか模索していました。その時期も、運用管理業務でお客さま先に社員が常駐していましたが、お客さまの了解のもとマスクを着用し、体制を整えて対応し、困難を乗り越えることができました。
一方、開発業務では、お客さま先に常駐するかたちではなく、すべて自宅での開発を続け、成果をお客さまに評価いただける報告書を提出しました。その結果、これまでのように開発業務のために必ず会社へ出社するという体制から脱却することができています。
現在もかなりの人数が自宅で作業を行っています。「松江BASE」を設立したのもその一例で、会社にわざわざ来る必要がなく、遠隔作業が可能です。これからは東京や大阪に出ることなく、地元で集中して納得のいく仕事に取り組んでもらうことで、離職率の低下につながると考えています。
また、トランプ政権や各地で戦争が続いていることを踏まえると、上場企業であっても、さまざまな課税が発生すると考えられます。しかし、当社が関わっている限り、運用管理を手放すことは容易ではなく、お客さまが当社を安心してご利用いただいている理由の1つでもあります。
環境の変化に対してしっかりと注視する必要があるとはいえ、安定した中長期的なビジョンが見通せる状況ではないため、中期経営計画を開示することでお客さまにご迷惑をおかけするのではないかという懸念もあります。
ただし、少し横を見ればアップセルやクロスセルの機会があります。これらを活用していけば、かなり安定して成長を続けられるという感覚を持っています。
しかし、具体的な数字で示すと結果として残ってしまいますので、中期経営計画は開示していません。環境の変化については、これから良い面と悪い面の両方が表れてくるのではないかと考えています。
質疑応答:通期予想据え置きの理由について
「第2四半期の業績は好調ですが、通期予想は据え置いています。これは下期以降に懸念材料があるためでしょうか?」というご質問です。
売上自体の成長は下期も見込まれますが、人材の確保については、お客さまからのニーズがあるにもかかわらず、当社としてもかなり苦慮しています。人材採用はさまざまな方法で継続していますが、お客さまから「このような人材が欲しい」と要望をいただいても、一筋縄ではいきません。しっかりと育成した人材を適切にお客さまに提供していくことが重要であり、それが1つの課題です。
また、顔認証をはじめとしたさまざまな分野への投資も検討しています。現在の安定した状態を基盤とすることで、売上・利益において確実な成果を見込んでいます。来期に向けては、それらを投資に向けるべきではないかと考えています。
M&Aや新たな営業所の展開もその一環です。また、顔認証の開発に関連してポーランドへの投資を進め、効率の高い製品を作り上げることで、お客さまに満足していただけるよう努めます。そうした取り組みの様子を見ながら下期を進めていきたいと考えているため、通期予想は控え目に見ています。
質疑応答:上場維持基準への適合について
「スタンダード市場の上場維持基準では、流通時価総額は10億円以上となっています。現状、こちらの基準には適合しているという認識でよいのでしょうか?」というご質問です。
現時点で、スタンダード市場の上場維持基準としての時価総額に問題はないと考えています。次のステップとしてプライム市場を目指すことについては、私から断言はできませんが、スタンダード市場に上場している以上、次を目指すことは当たり前の話だと思います。
それを目指すことで、お客さまや社員がよりクオリティの高いシステムに対応できる会社の体質を築いていきたいと思います。また、次なる成長を目指し、株主のみなさまが当社へ投資していただいた限りは、ご期待に応えられるよう努めるとともに、ぜひ長期的に株を保有していただきたいと考えています。
いかに当社が主要ユーザーを大切にしているか、そして右肩上がりの成長を続ける7つの事業の特徴を知っていただければ、来期の株価を予想できる方も多いのではないかと思います。今後も当社の発展にご期待いただき、長期的なご支援をどうぞよろしくお願いします。
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