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荒川化学工業、電子部品等の需要増が寄与し前年比増収増益 先端半導体・データセンター市場でさらなる事業拡大を目指す
目次

高木信之氏(以下、高木):みなさま、こんにちは。ただいまより、荒川化学工業の決算説明会を始めます。代表取締役社長執行役員の高木です。よろしくお願いします。
本日は、スライドに記載した3つの内容で進めます。
2025年度上期の実績

はじめに、決算概要と今期予想についてご説明します。2025年度上期の業績については、光硬化型樹脂、ファインケミカル製品、ハードディスク用精密研磨剤の販売が好調だったことから、連結売上高は403億6,700万円で、前年比2.6パーセントの増収となりました。
営業利益は9億2,900万円で前年比196.0パーセントの増益、経常利益は6億3,900万円で前年比103.8パーセントの増益、当期純利益は前年に約10億円の固定資産売却益を含んでいたことから、前年比減益の7億2,400万円となりましたが、概ね期初の予想どおりの結果で、EBITDAは過去最高水準となりました。
成長分野における生産能力増強のための投資は一巡し、現在は投資回収のフェーズに入りつつあると考えています。
連結業績と通期予想

2025年度の通期予想については、前年比で増収増益を見込んでいます。5月14日に公表した前回予想から全体の数値に変更はありません。ただし、各セグメントの予想では、製紙・環境事業は前回予想から減益となる見込みである一方、機能性コーティング事業は前回予想から増益が見込まれるなど、上期の進捗と足元の状況を鑑み、予想数値を見直しています。
詳しくは後ほど、セグメント別業績のスライドでご説明します。
セグメント別売上高

セグメント別情報と主要製品の動向についてご説明します。各事業の内容および2025年度上期の各セグメントの売上高は、スライドに記載のとおりです。
機能性コーティング事業

機能性コーティング事業についてご説明します。当事業の連結売上高は89億7,700万円で、前年比9.3パーセントの増収、セグメント利益は10億800万円で前年比68.4パーセントの増益となりました。
今後の需要拡大に向け、経営資源を積極的に投入している機能性コーティング材料用の光硬化型樹脂「ビームセット」は、スマートフォンやディスプレイ関連分野での需要が回復し、販売が増加しました。
また、「そだてる」ミッションに位置づけている熱硬化型樹脂「アラコート」も、新規採用や拡販により販売が前年比で40パーセント増加しました。
通期予想については、主力である光硬化型樹脂の販売がより一層伸びることが見込まれることから、売上高は前回予想の185億円から10億円増の195億円、セグメント利益は16億円から5億5,000万円増の21億5,000万円に修正しています。
当事業の中長期的な戦略については、引き続き、市場や顧客のニーズにいち早く対応することで、高機能化による差別化を図りながら、国内外での拡販および採算性の向上を目指していきます。
光硬化型樹脂 (ビームセット・オプスター)

紫外線を照射すると瞬時に硬化する光硬化型樹脂「ビームセット」は、スマートフォンやテレビ、カーナビなどのディスプレイ用ハードコーティング剤や帯電防止コーティング剤、光学用粘着剤、電子部材用工程材料など、幅広い事業領域で利用されています。
世界のスマートフォン市場は、今後もさらなる拡大が見込まれています。
上期の売上高は、スマートフォンやディスプレイ関連分野での需要回復が進み、約34億円となりました。通期の売上高については、下期も堅調に推移する見通しであることから、過去最高となる約71億円を予想しています。
また、2024年2月に完工した富士工場のビームセット用新設備での生産については、現在、顧客認証取得を進めており、当初の計画からは若干遅れていますが、第4四半期から徐々に量産を開始する予定です。
製紙・環境事業

製紙・環境事業についてです。当事業の上期売上高は100億9,400万円で、前年同期比8.2パーセントの減収、セグメント利益は5億3,400万円で、前年比47.2パーセントの減益となりました。板紙向け紙力増強剤については、国内での需要減少や海外での競合メーカーとの価格競争の激化により、収益が低下しました。
通期予想については、国内の販売が引き続き低調である見込みで、海外での価格競争も厳しさが続くと予想されることから、売上高を前回予想の224億円から14億円減の210億円と見込んでいます。セグメント利益についても、前回予想の16億円から4億5,000万円減の11億5,000万円に修正しています。
当事業の中長期的な戦略については、国内におけるサイズ剤事業は、需要減少に対応し、生産拠点と品種の統廃合を2025年3月末に完了しました。今後、収益性の改善効果が表れると見込んでおり、さらに抜本的なコスト改善策にも取り組んでいきます。
海外では、古紙のリサイクル促進に対応した紙力増強剤の市場拡大を目指していきます。
紙力増強剤 (ポリストロン)

当セグメントの主力製品である紙力増強剤「ポリストロン」の上期売上高は約72億円となりました。
通期の見通しは、海外での価格競争において厳しい状況が続くと予想されますが、荒川ケミカルベトナム社の貢献もあり、売上高は約150億円を見込んでいます。
粘接着・バイオマス事業

粘接着・バイオマス事業です。当事業の上期売上高は138億9,000万円で、前年比5パーセントの増収となりました。セグメント損失は6億300万円で、前年同期のセグメント損失12億9,200万円から損失幅が縮小しています。
ロジン系の粘着・接着剤用樹脂は、アジア地域を中心に販売が堅調に推移しました。また、水素化石油樹脂「アルコン」については、千葉アルコン製造の稼働率が改善し、欧州向けに安定的な供給を開始しています。
通期予想では、ロジン系粘着・接着剤用樹脂の販売は引き続き堅調ですが、千葉アルコン製造の上期の稼働状況を踏まえ、売上高は前回予想から変更なく290億円、セグメント損失は当初予想の7億円から2億円増加し、9億円に修正しています。
当事業の中長期的な戦略については、水素化石油樹脂「アルコン」について、品質が高く安定している特徴を活かし、高付加価値用途での拡販を進めます。
また、ロジン系樹脂については、オンリーワン製品である超淡色ロジン「パインクリスタル」に加え、バイオマス素材であるロジンを活用した用途開発による社会貢献を通じ、「Global Pine Chemicals Partner」への深化や、松脂資源と関連事業の持続性確保を目指します。
水素化石油樹脂 (アルコン)

水素化石油樹脂「アルコン」についてです。上期の売上高は35億円となりました。グローバル需要は人口増加や経済成長に伴い、今後も拡大が予想されますが、中国で生産される汎用品の供給過剰により、価格競争に巻き込まれる状況にあります。
C9留分から得られる数少ないC9水添樹脂である当社「アルコン」の特長を活かし、医療用貼付剤やプラスチック改質用途など付加価値の高い用途での販売拡大や、千葉アルコン製造も含めたグローバル販売戦略の再構築を進めていきます。
通期の売上高は約79億円を予想しています。
千葉アルコン製造の状況については、新設した「アルコン特別委員会」が順調に機能しており、稼働率は稼働日ベースで前年同期の3割から今期は6割へと改善しました。
ただし、本来の設備能力よりも運転速度を落として稼働させているため、引き続き稼働率と運転速度の両面での改善に取り組みます。また、1月上旬に予定している次期定期修理による設備改修を経て、次年度には7割から8割程度、2027年度には本来の生産能力をほぼ発揮できる状態を目指していきます。
ファイン・エレクトロニクス事業

ファイン・エレクトロニクス事業についてです。当事業の上期売上高は73億6,600万円で、前年比7.6パーセントの増収、セグメント利益は2億7,400万円で前年比25.4パーセントの減益となりました。
データセンター向けハードディスク用精密研磨剤や、半導体関連先端材料のファインケミカル製品の販売が増加しました。一方で、精密研磨剤や電子材料用配合製品については価格改定を順次進めているものの、コスト増が売値に先行して上がるかたちとなり、利益を押し下げる要因となっています。
通期予想についてですが、半導体市況の回復やデータセンター投資の活況を背景に、売上高を前回予想の150億円から4億円増加の154億円、セグメント利益を上期までの実績を踏まえ、当初予想の10億円から1億円減少の9億円へと修正しています。
当事業の中長期的な戦略としては、データセンターや半導体関連市場の需要増加に迅速に対応し、事業のさらなる拡大を目指していきます。
ファインケミカル製品

ファインケミカル製品は、高度な品質管理のもと、半導体関連用途や医薬品用途向けの受託製造をメインとしています。当製品が対象とする事業領域は、データセンター、半導体、集積回路、生成AI、電子部材と幅広く、今後大きく成長していく市場に関わる製品です。
上期の売上高は、半導体関連市況の回復により約19億円となりました。通期の売上高については、半導体関連の需要がさらに伸びる見込みであることから、約40億円を予想しています。
また、2024年12月に完工した水島工場のファインケミカル製品用新プラントでは、5月から試作および認証取得の段階に入っており、来年度後半から量産化を開始する見込みです。
精密研磨剤 (Neopolish)

精密研磨剤は、ハードディスクのアルミ磁気ディスク用を主用途とし、その他にも各種基板の研磨剤を開発しています。
当社が対象とする事業領域には、ハードディスクドライブ(HDD)、SAWフィルター用ウエハー、パワー半導体、ブルーガラスなどが含まれ、これらは世界的なトレンドであるデータセンター投資と深く関わる製品です。世界のデータセンター市場は2029年に6,241億ドルに達する見通しとされており、2024年と比較して5年で1.5倍の急拡大が見込まれています。
当製品の上期の売上高は約18億円でした。通期の売上高については、データセンター投資が引き続き活況であることから、過去最高となる約39億円を予想しています。
生成AI市場と当社製品の関わり

めざましい拡大を続けている生成AI関連市場と当社製品との関わりについてご紹介します。AI市場の拡大によりデータセンター投資が活発化しており、それに伴い、当社製品は多種多様な半導体部品や電子部材の製造工程での需要につながっています。
当社が第5次中期経営計画期間中に重点的に投資を行った成長分野の製品群については、今後さらに需要が押し上げられると見込んでいます。
先端分野における当社製品の使用事例

データセンターや半導体関連の先端材料に使用されている当社製品には、光硬化型樹脂や熱硬化型樹脂、ファインケミカル製品、ハードディスク用精密研磨剤など、多くのものがあります。また、フォルダブルスマホや5G周辺材料といった生成AI関連市場でも、当社製品が使用されています。
先端分野における当社製品の使用事例

先端分野における当社製品の使用事例については、各セグメントの製品説明で申し上げたとおりです。主要な製品についてまとめたものをスライドに記載しています。
重点課題の進捗① 新規事業関連(水系)

新規事業関連についてご説明します。脱プラスチックの流れを受けて、プラスチック容器を紙容器に代替する動きが広がっていますが、その際、紙に耐油性や水蒸気バリア性を付与することが求められます。
従来の耐油剤には、いわゆるPFASが含まれているものが多く見られました。しかし、当社の耐油剤はフッ素フリーであり、PFAS規制に対応可能な耐油剤として注目を集めています。
重点課題の進捗② 新規事業関連(微細藻類)

微細藻類事業についてご説明します。沖縄やんばる産の微細藻であるオーランチオキトリウムは、DPAやDHAを豊富に含むことから、高機能食品として注目されています。その乾燥粉末である「オーラン」を含む温活フードとして、フリーズドライ味噌汁「MISO CUBE」や、機能性表示食品のサプリメント「samugarisan」などをすでに販売しています。
7月には、大阪工場に微細藻を培養するパイロットプラントを完工させ、大量生産・商業生産の実現に向けた取り組みを進めています。今後も、当社が目指すライフサイエンス事業とのシナジー効果を発揮できるよう努力していきます。
重点課題の進捗③ 新規事業関連(マツ)

新規事業関連の最後として、筑波大学発のベンチャーであるMED R&D社との共同研究についてご紹介します。マウス実験により、松葉抽出物がうつ病の症状を改善する可能性があるという知見は以前にもお伝えしましたが、このたびそのメカニズムを初めて解明し、論文を公開しました。
世界的にもうつ病や不安障害に苦しむ方が多い中、天然由来の化合物による治療法の開発への期待が高まっており、今回の成果がその可能性を示唆するものとして新聞などでも取り上げられています。
本件の事業化に向けては、来年発表予定の次期中期経営計画においてご説明したいと考えています。
海外売上高・比率 推移

海外売上高についてご説明します。上期の海外売上高は前年とほぼ同じ168億6,500万円となりました。通期の見通しについては、中国におけるロジン系粘着・接着剤用樹脂の需要が堅調に推移すると見込んでおり、前年実績から約12億円増加して358億円、海外売上高比率は42.1パーセントとなる見込みです。
セグメント別地域別売上高四半期推移

スライドのグラフは、セグメント別および地域別の売上高を四半期ごとの推移をお示ししたものです。
製紙・環境事業では、中国での売上が減少傾向にあるものの、アジアの他国でカバーしていることがわかります。粘接着・バイオマス事業においては、先ほどご説明したとおり、中国でのロジン系粘着・接着剤用樹脂が好調で、V字回復していることが確認できます。また、機能性コーティング事業およびファイン・エレクトロニクス事業でも、日本国内の売上高はV字回復傾向となっています。
セグメント別売上高四半期推移(中国)

昨今、中国経済の減速やその影響が注目されていますが、直近の当社の中国ビジネスの状況をご説明します。
セグメント別に見ると、機能性コーティング事業では、ディスプレイ関連分野での光硬化型樹脂の販売が着実に増加しています。製紙・環境事業では、需給バランスの変化による価格の低下とともに、販売数量も減少しています。粘接着・バイオマス事業では、ロジン系粘着・接着剤用樹脂の販売が堅調です。ファイン・エレクトロニクス事業では、電子材料用配合製品や低誘電ポリイミド樹脂「PIAD」の販売が増加傾向にあります。
中国の近況は厳しい面もありますが、分野によっては堅調に事業を進めることができています。
設備投資および研究開発費

2025年度上半期の設備投資額は、完工ベースで13億9,700万円となり、前年比1億100万円の増加となりました。通期では「のばす」ミッションに位置づけた事業への投資が一段落したことで、定常投資が中心となり、約40億円となる予定です。新たな投資としては、大阪工場においてライフサイエンス分野での事業創出に向けた微細藻類のパイロットプラントが完工しました。
減価償却費については、上半期は連結で27億1,000万円となり、ほぼ前年と同水準でした。通期の見込みは55億円で、当初見込みから変更はありません。
半導体関連先端材料用ファインケミカル製品の水島工場新設備については、顧客認証のために試作を行った5月から減価償却費の計上を開始しています。顧客での認証取得後、来年度後半からの量産化を予定しています。
配当金の推移

配当金の推移についてご説明します。当社は、安定的かつ継続的な配当を維持しながら、積極的な株主還元策に取り組むことを基本方針としています。
第5次中期経営計画期間中においては、成長戦略を実現し利益を拡大することで、配当額の増加と配当性向40パーセントを目標としています。今期の配当金は期初の予想から変更はなく、中間配当は25円、期末配当予想も同様に25円で、年間配当は50円を予定しています。
サスティナビリティへの取り組み

最後に、荒川化学グループのサスティナビリティへの取り組みについてご紹介します。当社は、経営理念に基づき、持続可能な成長の実現を目指して社会課題に対応するため、さまざまな取り組みを進めています。
2050年におけるCO2排出量実質ゼロを目指す取り組みについてお伝えします。当初の中期経営計画では、2025年度のCO2排出量30パーセント削減を目標としていましたが、すでに2023年度で50パーセント以上の削減を前倒しで達成しました。今後、需要の回復や新設備の稼働による生産数量の増加が見込まれますが、2030年度においてもCO2排出量を50パーセント以上削減した状態を維持することを目指していきます。
また、働きがい向上の面では、安全文化の醸成、働きがいと生産性の向上、経営戦略を支える人的資本投資などを通じて、個人と会社がともに成長できる環境作りに引き続き取り組んでいきます。
人財育成・活躍への取り組み

当社のサステナビリティへの取り組みにおいて、人材はすべての基盤です。一人ひとりが自ら考えて行動し、相互の考えを尊重しながら十分に能力を発揮できるよう、ここに示した一例のように、さまざまな施策を実施しています。
次代へつなぐ取り組み

次世代へつなぐ取り組みについてです。2025年度は、当社が2016年から植林活動を行っている岡山県矢掛町での「マツタロウの森」を舞台に、2023年度から開始した「YUNGA Forests Challenge Badgeプログラム」を引き続き実施しました。今後も「楽しく化学する」を基本として、植林活動などを通じた体験学習を提供していきます。
見通しに関する注意事項

以上をもちまして、2026年3月期中間決算説明会を終了します。
当社は来年度、創業150周年を迎えます。また来年度は、新たな第6次中期経営計画がスタートする年でもあります。当社の「ありたい姿」の実現に向け、引き続き既存事業の新陳代謝の加速と収益力の回復、成長分野へ重点的に行った投資の回収、ライフサイエンス事業のステージアップに注力し、事業ポートフォリオ改革の加速による収益性の向上を推進していきます。
ご清聴いただき、ありがとうございました。
質疑応答:第2四半期の利益減少について

質問者:四半期ごとの利益の推移についてです。第1四半期が7億円で、第2四半期が2億円と大きく減少しています。一応下期の計画が19億円程度ですが、第2四半期の減少は季節性によるものでしょうか? 定期修繕などが影響しているのでしょうか?
高木:おっしゃるとおり、第2四半期は当社の工場の定期修繕が集中する四半期となっています。そのため、毎年度のことではありますが、第2四半期には利益が大きく減少する傾向があります。ただ、今年は第2四半期の3ヶ月だけを切り出してみても、なんとか営業利益が黒字となっています。昨年度は第2四半期が赤字となっていましたが、おっしゃるとおり、これは定期修繕の影響によるものです。
質疑応答:生成AI市場の売上予想グラフの見方について

質問者:スライド17ページの生成AIのグラフについておうかがいします。現在非常に関心が高まっている点ですが、目盛りはどのように見たらよいでしょうか?
例えば、データセンター向けの精密研磨剤は、スライド16ページにも同様の内容が記載されていますが、それと同じだとすると、一目盛りで約50億円の売上になるのでしょうか? そこまで売上があるのかな? と感じました。
冨宅伸幸氏(以下、冨宅):取締役執行役員の冨宅です。まず、設備投資として、2030年の需要を見据え、ファイン・エレクトロニクス事業では、半導体関連および先端材料分野でおおよそ1.4倍の生産能力を賄える設備投資を行いました。データセンター向けの精密研磨剤についても同様に、需要の1.3倍から1.4倍程度を賄える生産能力増強を実施しています。
これらを踏まえ、将来的にこの水準まで生産量が伸びる可能性があるという意図で作成したグラフであり、あえて目盛は記載していません。

想像しやすいように申し上げますと、ファインケミカル製品については、スライド15ページの直近の数字から1.4倍程度まで伸びる可能性があるとみています。

また、精密研磨剤については、スライド16ページに売上が約40億円となっていますが、これも1.4倍程度の需要増に十分対応できるとお考えいただければと思います。
質疑応答:半導体関連先端材料について
質問者:ファイン・エレクトロニクス事業の半導体関連先端材料についてですが、これはファインケミカル製品の内容に該当するという理解でよろしいでしょうか? また、半導体関連材料ということでコメントが難しいかもしれませんが、ここの伸びの背景について、もう少しご説明いただけますでしょうか?
高木:このファインケミカル製品は、自社製品ではなく受託品となります。ただし、単純なOEM製品ではなく、むしろODMに近い形態で、お客さまと一緒に工程を含めた検討を行っている製品です。現在伸びている、あるいは将来的にさらに伸びが予想される理由としては、先端の半導体微細化に使用される製品であることが挙げられます。部材の具体的な内容については、守秘義務の関係で申し上げることができませんが、今後微細化が進むに伴い、この製品が使用されていくことは間違いありません。
質問者:来年の下期に量産化を目的とした新プラントを稼働する予定だと思いますが、その後について、かなり大きな伸びを期待できるのでしょうか?
高木:ここはどうしても徐々に進むかたちになるかと思います。お客さまの先に複数のお客さまが存在し、すべてを一度に認証作業することは難しいため、順番に進めることになります。そのため、実際に量産が始まるのも、その認証の順で徐々に立ち上がるかたちになると思います。
質問者:御社のお客さまがいて、そのさらに先に何社かいるということですか?
高木:そうです。
質問者:直接のお客さまは1社だけということですか?
高木:おっしゃるとおりです。
質疑応答:ファインケミカル製品の売上高について
質問者:ファインケミカル製品の売上高について、一昨年25億円が今年40億円に増えるのは、半導体のところが増えるとの認識でよろしいですか?
高木:おっしゃるとおりです。
質疑応答:光硬化型樹脂の用途別の成長と将来の見込みについて

質問者:光硬化型樹脂についても非常に伸びているようです。スライド9ページの右下にいくつか用途が挙げられていますが、この中で特にどの用途が伸びているのか、また、来年度や再来年度に向けて、どの程度の成長が見込まれるのか教えてください。今回は増額もされているため、かなり上向いてきていると思います。その点についてもお願いします。
高木:最も大きく伸びている用途は、やはり電子部材の工程材料として使用されている用途です。その次がディスプレイ用途で、この2つが伸びを牽引しています。来年や再来年についても、私たちは非常に期待を寄せており、今期の着地は70億円強と見込んでいますが、そこから毎年5パーセントから10パーセント程度の成長を目指しています。
質疑応答:ライフサイエンス事業における大型商業生産実現時期について

質問者:ライフサイエンス事業について、オーランのパイロットプラントを完工したとのことですが、目指している大型商業生産の早期実現とは、いつ頃を想定していますか?
高木:現在、オーランチオキトリウムを使用した製品はBtoC市場において展開しており、味噌汁や複数のサプリメントがすでに市場に出ています。ただし実際のところ、これは我々にとって初のBtoCの試みであるため、急速に大きく成長するとは考えていません。
むしろ今後は、パイロットプラントを活用して培養効率を向上させる検討を進め、その先にある量産化を目指しており、BtoBの分野を本命と考えています。その時期について現時点では明確にお伝えできる段階ではありませんが、次期中期経営計画の中で早急にめどをつけたいと考えています。
質疑応答:松葉抽出物の臨床試験および医薬用途について

質問者:松葉抽出物についてですが、論文を拝見したところ、イン・ビトロおよびイン・ビボ試験といった非臨床試験が概ね終了しているように思われます。フェーズ2でPoCの確立という段階に進むと思いますが、いつ頃臨床の段階に進むのでしょうか?
冨宅:医薬用途で最終的に展開できたらというのはもちろんですが、まずは体に良さそうな成分を医薬以外のかたちで提供し、みなさまに認知していただくことを目指したいと考えています。来年の中期経営計画の発表のタイミングには、新しい動きとしてお示しできるかもしれません。そのための積み上げを進めていきたいと考えています。
質問者:では、特にうつ病の薬を開発しているわけではないということですか?
冨宅:抗うつ成分として同等のものが確認されていることは把握していますが、うつ病の医薬品としてすぐに利用するかたちでの展開は、現段階では考えていません。
質疑応答:次期中期経営計画の売上・利益目標および牽引事業について

質問者:お話しいただける範囲でけっこうですが、次回の中期経営計画で目標とする売上高や利益についてのイメージと、それを牽引する事業の分野のイメージを教えてください。
高木:次期中期経営計画における売上高と利益の目指すべき水準についてですが、現在、各分科会から提示された数値を精査しており、まだ具体的な目標は決定していません。ただし、売上よりも利益を重視したいと考えています。
当社の過去最高の営業利益は、2016年度および2017年度の約50億円です。これが現時点における最高の利益水準となっています。次期中期経営計画では、5年間を想定していますが、その期間内に過去最高の利益水準を超え、さらにその上を目指すことを目標に掲げたいと考えています。
また、どの事業が牽引していくのかについてですが、現在の4つの事業には、それぞれ新陳代謝が必要だとも考えています。機能性コーティング事業では、光硬化型樹脂と熱硬化型樹脂が牽引役として期待されます。製紙・環境事業においては、海外の紙力増強剤事業を牽引していくことが重要です。
また、粘接着・バイオマス事業では、超淡色ロジンの「パインクリスタル」の海外展開が牽引役になると見込んでいます。また、千葉アルコン製造が現在稼働率の向上に全力で取り組んでいるところです。これを確実に稼働させ、千葉アルコン製造単体として利益を水面上に引き上げることを目指します。
ファイン・エレクトロニクス事業については、ファインケミカル製品や精密用研磨剤に加え、電池用材料や低誘電樹脂といった、今後大きく成長する可能性を秘めた製品が複数あります。それらを的確に取捨選択し、成長可能なものは積極的に伸ばしていきます。
経営資源が分散しないように選択と集中を行いながら各事業の成長を図ります。その上で、ライフサイエンス事業を次期中期経営計画の期間中に利益を生み出せる段階まで引き上げられるかどうかは現時点では不明ですが、次の柱の1つとして成長させられるよう取り組むことが、次期中期経営計画の主なポイントになると考えています。
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