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【QAあり】I-ne、上場来5期連続の増収増益を達成 4Q単体では売上高・営業利益ともに過去最高値を記録
エグゼクティブサマリー

大西洋平氏(以下、大西):株式会社I-ne代表取締役社長の大西です。これより2024年12月期の決算説明資料に基づき、決算情報についてご説明します。
エグゼクティブサマリーです。今期の業績について、通期の連結売上高は前期比プラス8.1パーセントの450億円、連結営業利益は前期比プラス4.7パーセントの45億8,000万円となり、上場来5期連続の増収増益を達成しました。
また、中国法人撤退に伴う特別損失および累積損失に係る税効果会計を適用したことなどにより、当期純利益は期初業績予想を大きく上回る29億3,000万円で着地しました。
中期方針については、昨今の当社を取り巻くビジネス環境を鑑み、2028年から2030年で売上高1,000億円の実現に向けた戦略と指標を更新しました。詳細については、後ほどご説明します。
2025年度の業績については、主力事業の継続成長に加え新規注力事業の大幅成長により、引き続き増収増益を目指すほか、EBITDAベースでは前期比プラス30.1パーセントの大幅増益を見込みます。
そして、2024年12月期に1株当たり配当金額13円の普通配当を実施しましたが、さらに0.5円増配した13.5円の普通配当を行います。
連結売上高

連結業績のハイライトからご報告します。2024年通期連結売上高は450億円、前年同期比プラス8.1パーセントの増収となり、過去最高の売上高を更新しました。
連結営業利益

2024年通期連結営業利益は45億8,000万円、前年同期比プラス4.7パーセントの増益となり、売上高に加え過去最高の営業利益を更新しました。
連結売上高 四半期推移

連結売上高の四半期推移です。2024年第4四半期単体の連結売上高は136億9,000万円、前年同期比プラス22.6パーセントと、大幅な増収となりました。
主にヘアケア系・美容家電カテゴリーにおける主要ブランドの成長と、第4四半期に取得したトゥヴェール社の売上高が増収を牽引しました。
連結営業利益 四半期推移

連結営業利益の四半期推移です。2024年第4四半期単体の連結営業利益は16億2,000万円、前年同期比プラス22.3パーセントと、大幅な増益となりました。マーケティング投資の最適配分やコストの効率化により、為替影響を受けながらも営業利益率は横ばいの推移となりました。
カテゴリー別売上高

カテゴリー別の売上高についてご説明します。
ヘアケア系に関して、カテゴリー全体のPOSは通期で前期比プラス6.2パーセントと、堅実に成長を継続しています。2023年10月にフルリニューアルした「BOTANISTシャンプー・トリートメント」が発売され、大規模発注による在庫調整の影響が継続し、売上高は前期比プラス3.9パーセントの着地となりました。
美容家電は、前期比プラス15.6パーセントと、中高価格帯の好調が増収を牽引しました。スキンケア他は、複数のブランドが大きく成長したほか、トゥヴェール社の参画もあり前期比プラス35.5パーセントと、大幅な増収となりました。
コスト構造

コスト構造についてご説明します。2024年通期の営業利益率は、前期比マイナス0.3ポイントの10.2パーセントとなりました。
売上原価は、為替やDr.SYUWANの引当等の影響など、増加要因が1年を通してありましたが、OEMパートナーとの継続的な取組みの結果、横ばいを維持した推移となりました。
物流費については、前期比マイナス0.9ポイントと毎期継続的に改善しています。物流費率は上場時である2020年通期の10.8パーセントから6.0パーセントにまで低下しており、マイナス4.8ポイントもの大幅な削減となりました。今後も引き続き、改善に向けた施策を実行していきます。
広告・販促費については、ECチャネルでの売上高好調による販売手数料の増加と合わせた戦略的な投資配分および効率化に取り組みました。固定費については、直近実施したM&Aでのディール関連費用やのれん償却費等の発生により、比率は増加となりました。また、人件費比率の増加要因については、次のスライドでご説明します。
人的資本投資の強化

今後のさらなる成長を見据え、2024年度は戦略的に人的資本への先行投資を実施しました。まず労働市場における競争力強化に向け報酬制度を見直し、平均給与および昇給率を大幅に向上させました。その結果、退職率も大幅に改善しています。
また、ハイレイヤーを中心とした採用も積極的に行い、組織の能力密度が高まっています。グループ全体の社員数は、2023年度末との比較で90名増加しており、今後の成長戦略の実現を牽引する組織の構築および人材配置が順調に進んでいます。
連結BSサマリー

BS(バランスシート)の推移についてご説明します。2024年10月31日にM&Aを2件実施し、同日時点で90億5,000万円ののれんを計上しました。本のれんは決算説明会時点における暫定値であり、2025年12月期第1四半期中に完了予定であるPPA評価の結果に応じて、必要な会計処理を行います。なお、本のれんの償却は2024年11月より開始しており、2024年12月期における償却費用は1億5,000万円となります。
ヘアケア系カテゴリーの進捗

ここからは、カテゴリーの進捗についてご報告します。
ヘアケア系カテゴリーの通期売上高は315億円、前年同期比プラス3.9パーセントで増収となりました。競争が高まるヘアケア市場状況の中でも、メーカー別POSは前期比プラス6.2パーセントと、堅調な成長軌道を維持しています。
「YOLU」は既存品と第3四半期発売のボディケアがともに好調で、売上高は前期比プラス13パーセントと、大幅な成長となりました。「BOTANIST」の売上高においても、第4四半期単体で前年同期比プラス11.5パーセントの成長を遂げ、特に「ROOTH」は第3四半期のリニューアル後の伸長率がプラス158.6パーセントとなり、課題改善を経て大きく成長することができました。
また「BOTANIST」「YOLU」から季節限定品、「WELLP」から第2バリアントを新発売し、商品ラインナップも拡充しました。ヘアケア系カテゴリーにおいては、今後も引き続き主要ブランドの成長と新ブランドのスケールに注力し、積極的な新商品投下およびマーケティングを行っていきます。
美容家電カテゴリーの進捗

美容家電カテゴリーである「SALONIA」についてです。美容家電カテゴリーの通期売上高は106億6,000万円、前期比プラス15.6パーセントの増収となりました。2024年目標をさらに上回る着地を実現させ、「SALONIA」は今期で100億円超えのブランドとなりました。
そして、中高価格帯製品の売上比率増加により、収益構造の改善も進んでいます。中でも「EMSリフトブラシ」が前期比プラス322.7パーセント、「フェイススチーマー」が前期比プラス154パーセントと大幅な成長を続け、増収に貢献しました。
さらに、新商品展開も積極的に行い、定番品の秋冬限定カラーに加え、中高価格帯2製品を新たに発売しました。今後も引き続き、既存商品の成長および新商品の拡充によるさらなる増収を目指し、マーケティング施策等に注力していきます。
スキンケア他カテゴリーの進捗

スキンケア他カテゴリーの通期売上高は28億3,000万円、前期比プラス35.5パーセントと、大幅な成長となりました。第4四半期単体においては、「WrinkFade」が前年同期比プラス8.8パーセントと堅実に成長したほか、「SKN REMED」は前四半期比プラス328.4パーセントと、各施策により成長率が加速し、着実に規模拡大を実現しています。
今期より参画した「TOUT VERT」はECチャネルの売上好調により、トゥヴェール社の創業以来過去最高の売上高を更新しました。
さらに複数販路でECアワードを獲得しており、同ブランドの売上高拡大もスキンケア他の増収に寄与しました。
また、11月に日本初の美容鍼灸発想ブランドである「BiRyu」をローンチしました。今後も新ブランドや新商品の開発・スケールを目指し、中長期のカテゴリー全体の成長実現に向けて取り組んでいきます。
グローバルの進捗

グローバルの通期売上高は13億4,000万円、前期比プラス19.2パーセントの増収となりました。台湾の売上高は、第4四半期単体で前四半期比プラス93パーセントです。また香港では、通期で前期比プラス33.4パーセントと大幅に成長を継続し、連続的な増収を実現しました。
東南アジアにおいては、マレーシアの首都にて「BOTANIST」のローンチイベントを実施するなど、現地での認知向上につながる取り組みを行い、台湾・香港以外の複数販路においても増収となりました。
中国に関しては、市場動向や事業環境の悪化等を踏まえて、現地法人の解散および清算を決定しました。撤退に伴う税効果会計により、当期純利益が期初予想よりも増益となりました。
今後は、既存販路でのマーケティング戦略等の注力に加え、新規販路の開拓などにより、さらなるグローバル分野の拡大・成長を目指します。
4Q 新商品(一部抜粋)

スライドの画像は、第4四半期に発売した新商品および新ブランドの一部です。年間を通じて各カテゴリー、各ブランドから、季節に合わせた限定商品や新規性のある商品を次々と市場に投入しています。今後も強みを活かした新商品開発と効果的なマーケティング戦略の展開に注力し、各カテゴリーでのさらなる成長と企業価値の向上を目指していきます。
4Q 受賞アワード

第4四半期における受賞実績をご紹介します。ECモール関連の複数の受賞に加え、コーポレートサイトや製品デザインなどの幅広い分野において評価をいただきました。
「企業コーポレートサイト賞」のグランプリは、昨年の「企業BtoCサイト賞」に引き続き2年連続のグランプリ受賞です。さらにグッドデザイン賞を受賞した「SALONIA」は、5年連続となります。
Social Beauty Project(2024年通期 サステナビリティの取り組み)

サステナビリティの取り組みについて、いくつかご紹介します。
CFP(カーボンフットプリント)については環境省のモデル事業に選出され、「BOTANIST」の一部製品を対象とし、OEMとともにバリューチェーン全体のCO2排出量を算定しました。
資源利用では、バージンプラスチックの使用削減目標30パーセントを前倒しで達成したほか、FSC認証紙の利用率も100パーセントを維持しています。
RSPOにおいては、環境に配慮したパーム油生産を支援するため、B&C(ブック&クレーム)方式での認証購入を開始しました。その他にもさまざまな取り組みを進めており、今後も企業軸、ブランド軸ともに環境保護と社会貢献の両面で、サステナビリティを推進していきます。
2028-30年売上高1,000億円の達成に向けた成長戦略

2028年から2030年に向けての中期方針についてご説明します。2022年通期決算発表時に、売上高1,000億円をターゲットとした長期ビジョンを発表しましたが、当社を取り巻く昨今のビジネス環境を鑑み、目標と成長戦略を更新します。主な更新は3点です。
はじめに、当社の主力事業であるヘアケア系・美容家電の他に、新たな成長の柱となる事業を育成します。対象となる事業は、これまでにも取り組んできたスキンケアの他、目薬や柔軟剤といった新カテゴリーも含めています。
次に、M&Aを通じた新たな強みの獲得と事業領域の拡張を行います。昨年トゥヴェール社およびArtemis社の2件のM&Aを実施し、目下PMIを進めています。今後もM&Aを成長戦略の1つに据えた上で売上高1,000億円の達成確度を高めていきます。
最後に、目標とする収益指標にEBITDAマージンを追加します。これは、M&Aを成長戦略の1つに据えたことによるものです。収益率の設定根拠については、次のスライドで詳細をご説明します。
成長戦略の実現サイクルと収益率イメージ

今後の成長戦略の実現サイクルについては、スライドの図のとおりです。まず、既存主力事業の収益および生産性を最大化し、そこから生まれた収益を次なる成長に向けての原資とします。
新たに成長の柱となる事業の育成は、社内における新規事業の立ち上げとM&Aの両面から実施します。それらが拡大して主力事業化することで、さらなる成長投資の原資を生み出すというサイクルです。
このサイクルのスタート地点となる既存主力事業からの収益のターゲットは、営業利益率、EBITDAマージンともに約15パーセントから17パーセントです。そこから新規事業の立ち上げにかかるコストを、全社売上高の約1パーセントから2パーセント、M&A関連費用を約3パーセントから4パーセントに設定しています。
これらのコストは、売上高1,000億円およびその先の持続的成長を図る上で必要不可欠な成長投資であり、それらを差し引いた営業利益率は11パーセント、EBITDAマージンは14パーセントとなります。
事業ポートフォリオの変革

事業ポートフォリオの変革についてご説明します。足元における実績および予想では、ヘアケア系カテゴリーの売上高が全体の6割から7割を占めています。今後は、次の成長の柱となる事業の育成を加速させ、継続的にM&Aを実施することで、2028年から2030年においてはヘアケア系カテゴリー以外の売上高が全体の約6割となるよう、事業ポートフォリオを変革していきます。
国内におけるターゲット市場規模

現時点で、新カテゴリーとして検討を進めている事業領域のすべてはお話しできませんが、国内における既存主力事業と新規注力事業のTAMは約5兆2,000億円にのぼり、既存主力事業のみの数字と比較して約5倍の規模となります。
新カテゴリーの選定にあたっては、当社の強みであるブランド創出力、OMO、IPTOSを最大限活用できる市場および製品を厳選します。
当社が「BOTANIST」によって、レッドオーシャンと思われたヘアケア市場で中価格帯のシャンプー・トリートメントという新規市場を開拓してきたように、当社独自の強みを組み合わせた商品をさまざまな領域で展開し、イノベーションの実現による市場の創出と獲得を目指します。
M&A戦略の推進

M&Aの過去実績としてブランド取得や売却を行っており、前期には2件のM&Aを実施しました。今後、M&AやPMIに向けたさらなる組織強化と財務規律を遵守した検討を行うことで、継続的なM&Aを実行していきます。
中期計画の早期達成に向け、M&Aを通じて新たな強みの獲得、双方のシナジー創出による事業領域拡大に努めます。
2025年12月期 業績予想

2025年12月期の連結業績予想についてご説明します。連結売上高は前期比プラス70億円、プラス15.5パーセントの520億円、連結営業利益は前期比プラス4億6,000万円、プラス10パーセントの50億4,000万円とし、営業利益率は9.7パーセントを目指します。
また、先ほど中期方針のパートでご説明したように、今後はM&Aを成長戦略の重点施策の1つとするため、今期よりEBITDAを業績指標に追加しました。連結EBITDAにおいては、前期比プラス15億7,000万円、プラス30.1パーセントの67億6,000万円と大幅増益を目指します。
2025年12月期 業績予想:カテゴリー別売上高

カテゴリー別売上高の業績予想についてご説明します。
ヘアケア系は前期比プラス2.2パーセントの322億円、美容家電は前期比プラス7.9パーセントの115億円、スキンケア他は前期比プラス192.3パーセントの83億円と予想しており、全カテゴリーで増収を目指します。カテゴリーごとの方針は、次のスライド以降でご説明します。
2025年12月期 業績予想:ヘアケア系カテゴリーの注力取組み

ヘアケア系カテゴリーの注力取組みについてです。まず、当社の主力事業の1つである中価格帯ヘアケア市場は昨今、新規参入企業が増加傾向にあります。主力ブランドである「BOTANIST」および「YOLU」の棚の確保、また、新規ブランドの配荷に向けた商談は順調に進んでいる一方、中堅ブランドの継続成長に向けたハードルは高くなっており、ヘアケア系カテゴリー全体での成長率は前期比プラス2.2パーセントと、保守的に設定しました。
外部環境の変化を踏まえた上で、ヘアケア系カテゴリーの安定的かつ持続的な成長を着実なものにするため、さまざまな施策を検討・展開していきます。各ブランドにおけるリニューアルや新製品発売に加え、さらなるオンラインビジネスの強化、オフラインビジネスでは小売店と協業した新規施策を複数実行し、棚および山積み獲得の最大化を目指します。
2025年12月期 業績予想:美容家電・スキンケア他カテゴリーの注力取組み

美容家電・スキンケア他カテゴリーの注力取組みについてです。美容家電においては、新商品の拡充や販路拡大による売上高増に加え、収益構造の改善による利益率の成長を実現します。
スキンケア他カテゴリーにおいて、「TOUT VERT」ではPMIに注力しながらも、ECチャネルでのさらなる伸長や新販路の開拓などに取り組みます。
「TOUT VERT」を除いた他ブランドにおいては、既存ブランドの伸長、そして強みを活かした新カテゴリー製品の展開により、前年同期比プラス83.5パーセントの売上高成長を見込みます。また、例年どおりリスクを織り込んだ上で計画を立てており、業績予想を上方修正できるよう取り組んでいきます。
2025年12月期 コスト構造

コスト構造です。2024年度に取得したArtemis社を通じた商流変更による中間マージンの削減や、OEMパートナーとの原価削減に向けた継続的な取組み等により、売上原価は前期比マイナス3.3ポイントの大幅改善を予定しています。
売上原価改善による収益は、広告費/販促費や人件費等、今後のさらなる成長に向けた投資コストに配分します。
新ブランドや新カテゴリーへの先行投資の影響により、営業利益率は一時的に悪化する想定ですが、EBITDAマージンは前期比プラス1.4ポイントの改善を見込んでいます。なお、2024年に実施したM&A2件ののれんおよびPPAに関する減価償却費については、概算で計上しています。
2025年12月期 四半期イメージ

四半期ごとの収益イメージです。売上高については市場特性もあり、第1四半期は2024年第4四半期比で減収想定ですが、前年同期比では増収を見込みます。営業利益、EBITDAマージンについては、のれんの計上や広告費/販促費等への先行投資の影響から、第1四半期は前年同期比で一時的に悪化想定ですが、第2四半期以降では増収に伴い上昇させていく見込みです。
キャッシュアロケーション方針と株主還元

最後に、キャッシュアロケーション方針と株主還元についてです。以前からお伝えしているとおり、さらなる成長に向けての投資をキャッシュアロケーションの最優先項目としつつ、適宜キャッシュバランスや株価等を鑑みた株主還元施策も実施していきます。
昨年度には普通配当の実施、自己株の取得、株主優待の開始を発表しましたが、2025年度には株主優待の継続に加え、1株当たり0.5円の増配を実施します。引き続き、株主のみなさまのご期待に添えるキャッシュアロケーションおよび株主還元施策を検討していきますので、なにとぞよろしくお願いします。
質疑応答:昨今のビジネス環境とそれに対する打ち手について
司会者:「長期計画の修正の背景にある昨今のビジネスモデル環境について、具体的にどのような状況を指しているか教えてください。また、それに対する打ち手としてどのようなことを考えているか、教えてください」というご質問です。
大西:昨今のビジネス環境について、どのような状況を指しているかは大きく2点あります。まず1点目は、当社の主力ビジネス領域である中高価格帯ヘアケア市場への参入企業が増加したことです。そして2点目が、現在の中国国内の市場動向や市場環境の悪化です。処理水問題以降、現地企業にシェアを取られている傾向が強かったこと、この2点が背景となります。
ヘアケアに関しては、大前提として2025年は市場環境を鑑みて全体的に保守的に想定しています。その中で、テコ入れは大きく2点あり、具体的な開示はできませんが、社内でさまざまな施策を練っています。
実例としては、「BOTANIST」の「ROOTH」がリニューアルして大きくPOSが伸長しており、時期は言えないのですが、そのようなリニューアルをさまざまなブランドカテゴリーで行っていくことで改善していきたいという点が1点です。
そして2点目が季節限定品やサブラインの強化で、2024年では「BOTANIST」の秋限定のキンモクセイなど、限定品は非常に好調で、インターネット上でもバズが起こりました。そのような実例があるため強みを活かし、サブラインや季節限定品を強化していく予定です。
グローバルに対する打ち手としては、中国法人は市場の状況も鑑みて今回撤退を判断したのですが、台湾、香港、東南アジアは好調な推移であり、今後は他の販路に注力していきたいと考えています。
2024年の実績では、越境ECが好調により、中国で全体の売上の5割、台湾で2割、香港で2割、マレーシアやシンガポールなど東南アジアで0.5割ほどでした。2024年度からグローバル市場に向けた新体制を構築しており、グローバル拡大に向けた組織増強も実施し、エリア別のチームを組成し強化しています。また、2024年4月に設立したUS法人は、現在ビジネス立ち上げの段階になります。
質疑応答:I-neの競争力について
司会者:「新たにターゲットとするマーケットで活かされる御社の競争力には、いったいどのようなものがありますか?」というご質問です。
大西:3点あります。まずブランド創出力です。半歩先のアイデアを出す力であったり、さまざまなOEMネットワークがあることが1点目です。2点目はOMO(Online Merges with Offline)です。オンラインだけ強いメーカーやオフラインが強いメーカーはたくさんありますが、このオンラインとオフラインをミックスさせ、商品を企画しヒットさせる力というのは、当社独自の強みだと考えています。
そして3点目はIPTOSという当社独自のブランドマネジメントモデルです。このIPTOSという仕組みの中で成功体験、失敗体験を日々PDCAを回して貯めていることでヒット率が上がり、強みが増えてきています。この3点が当社の強みだと考えています。
具体的事例では、例えば目薬なども当社が今までチャレンジしたことのないカテゴリーでしたが、「Tearal」という目薬が、インバウンドの影響もあり大きくヒットしています。I-neの強みはヘアケアや美容家電以外でも活かせると思っており、さまざまなカテゴリーでイノベーションを起こしていきたいと考えています。
質疑応答:会計基準のIFRSへの移行について
司会者:「M&Aを重視するということですが、会計基準をIFRSに移行させることは検討していますか?」というご質問です。
原義典氏(以下、原):CFOの原です。こちらは私から回答します。検討してはいますが、まだ意思決定は行っていない状況です。1つ付け加えると、今後M&Aを進めていく中で、当然バックオフィス、決算、経理というところ、連結決算の部分を強化していかなければいけない状況にあります。
すべて強化してM&Aに耐えうる組織を作るために、IFRSも1つのプロジェクトですが、今はしっかりと連結決算に対応できる組織体に変化させている途中であり、その中で状況や時機を見て検討していきます。
質疑応答:海外事業の収益の見通しについて
司会者:「海外事業の赤字が続いていますが、収益改善をどのように実現させていきますか? 中国事業の撤退は利益に寄与するのでしょうか?」というご質問です。
原:まず、中国事業に関しては、利益に貢献すると思っています。今回、親会社利益、最終利益が上振れた理由に関しても、過去の赤字部分の税効果を取ったことによるものです。
ただ、2025年に関しては撤退費用等がかかるため、まだ若干赤字が残り、上海の撤退の影響が完全に利益に表れるのは2026年以降だと思っています。その中で全体のポートフォリオや2028年の利益の目標を見ながらグローバルに必要な投資を行っていきますが、USや東南アジアにしっかりと財務規律を持った投資幅で、基本的には赤字幅を縮小していくかたちで考えています。
補足:ヘアケア市場の変化に対する打ち手について
大西:先ほどのヘアケア市場に対する打ち手に関する回答で、eコマースのところをご説明し忘れていました。いろいろな企業が参入してきた中でも、他社と比較してI-neのeコマースの売上高は非常に高いですし、リーチできるオンラインの会員数も数千万人いるため、オフラインはもちろんオンラインもまだ強化していけると思っています。
ヘアケアだけでもeコマースは昨対で115パーセント伸びており、非常に伸びしろがあると思っています。時期はお伝えできませんが、さまざまなヘアケア商品を出していき、強みのeコマースを伸ばしていくことも、ヘアケアの全体戦略では非常に重要な部分かと思っています。
質疑応答:税引き前利益と税引き後利益の差について
司会者:「今期計画における税引き前利益と税引き後利益の差が大きいと思いますが、どのような要因を織り込んでいますか?」というご質問です。
原:おそらく2024年との比較を見ているのかと思います。先ほどお伝えしたように、2024年に税率が非常に低かったことに関しては、上海の過去の損失部分の税効果を見込んだところがあり、この部分で2024年の税引き前利益と税引き後利益の差はあまり大きくありませんでした。
そして、来年度以降いくつか要因がありますが、1つ大きなポイントとしては、のれんに関して税効果が取れないことが非常に大きいと思っています。子会社の撤退や留保金課税の減少などは考慮していますが、その部分と相殺され、このような税率想定になっています。
質疑応答:のれんと無形資産の現状と見通しについて
司会者:「のれん、無形資産について、2024年度ではどのような計上になっており、2025年度の業績予想にはどのようなかたちで見込んでいますか? また今後の見直しに関してどのように想定していますか?」というご質問です。
原:まず2024年度に関しては、11月、12月の2ヶ月分で1億5,000万円償却で、バランスシートでも90億円と記載しています。2ヶ月で1億5,000万円のため、2025年に関しては普通に考えると9億円程度だと思われるかもしれませんが、現在はまだ、PPAの判定を含めたのれんと無形固定資産の判別を外部コンサルと一緒に行っています。
無形固定資産に一部振り替える時には、繰延税金負債や少数株主持分を計上しなければならず、最終的には、のれんプラス無形固定資産の部分はおそらく120億円程度になる見込みとなっています。この2つのプロジェクトから約12億円の償却費を見込んでいます。
ただし、こちらは第1四半期に外部コンサルならびに監査法人も含めて確定する予定で、多少税効果を含め変動する想定もあると思っています。プラスマイナス1億円程度のズレはありうるかと思っていますが、第1四半期で最終版をお伝えしようと思います。
質疑応答:トゥヴェール社の2025年の計画について
司会者:「買収したトゥヴェール社について、買収前対比で2025年はどのような計画で見込んでいますか?」というご質問です。
大西:トゥヴェール社の2024年のI-ne実績としては、11月と12月のみ連結化しており、10億円あります。2025年の予算は約50億円を考えています。年間50億円という予算は妥当であると思っており、理由は2点あります。まず1点目が、11月から12月はECのセールなどにより、通常よりも高めの売上となっていること、2点目が、ECのセールによって基本的に下期偏重型になるという想定であることです。
トゥヴェールは本当にシナジーのある会社で、さまざまな伸びしろは見えてきています。直近だと例えばAmazonなどはI-neが非常に強みを持っている部分であるため、ここはまだ伸ばしていけますし、他のECでも機会があると思っています。もちろん、まだ時期は決めていませんがオフラインも大きな成長機会だと考えています。
原:1点補足で、ちょうどPMIも順調に終わり、まだ成長余地があると思っています。したがって、いったん50億円で置いてはいますが、当然しっかりと上振れを狙っていきたいと考えています。
質疑応答:新カテゴリーの内容について
司会者:「今後の方針として、新カテゴリーに取り組むという発表がありました。差し支えない範囲で、新カテゴリーの内容についてご教示ください」というご質問です。
大西:直近では、柔軟剤の「ReWEAR」というブランドをECでテスト発売しています。これはデンマーク産の酵素を配合しており、毛玉や毛羽立ちを酵素が除去し、購入した時に近い状態に服を蘇らせることができるという柔軟剤です。ECのテスト販売ですが、非常に好調な反応があります。
また、「Teaflex」という機能性ティーブランドのローンチを2月24日に予定しています。未来の話になるため詳細はお伝えできませんが、他にも多数のブランドのローンチを予定しています。
質疑応答:M&Aの相手や時期について
司会者:「中長期戦略の1つにM&Aを掲げていますが、M&A先で考えているところや、どのくらいのスパンで行う予定かを教えてください」というご質問です。
大西:まずヘアケアで伸ばし、美容家電で伸ばし、そしてスキンケアその他とグローバル、という戦略で1,000億円を目指しているため、この戦略が強くなったり、1,000億円のスピードが速くなるようなM&Aは積極的に行っていきたいと思っています。ただ、ご縁やタイミングがあるため、時期などに具体的なことはお伝えしかねます。
質疑応答:中期計画に対する2025年度の位置付けについて
司会者:「今期の業績予想は売上高520億円、EBITDAマージン13パーセントということですが、以前の中期戦略発表では、売上高550億円、営業利益率13パーセントという発表がありました。こちらの差分についてご教示ください」というご質問です。
大西:当初の2025年目標より、複数の要因を考慮し、本日発表した見通しに変更しました。まず1つ目が、既存ブランド、スキンケアの立ち上げに想定より時間はかかりましたが、足元では成長してきており、取得したトゥヴェール社によって上振れることができたということで、これはプラスで30億円弱をイメージしています。
2つ目がヘアケアの市場競争が高まったというところです。ここは約15億円がグローバルのギャップが大きかったこと、加えて約18億円がヘアケアの実際に鈍化してきたというところで、合わせて30億円強のマイナスのリスクになっています。3つ目がグローバルです。中国の処理水問題もあり、2つ目と重なりますが、当初の想定よりも成長の伸びが悪かったことです。
そして4つ目です。美容家電は好調なものの、140億円から115億円に下げています。これは2024年で円安による値上げが影響し、1年と少し、速度が落ちてしまったというのが要因です。
営業利益は、M&Aによるのれん影響などによるギャップ、EBITDAで目指していきたいと考えています。
質疑応答:目標の実現に向けた経営課題について
司会者:「2028年から2030年で1,000億円ということに関して、戦略方針は理解できました。この実現に向け、経営として取り組むべき必要な事項があったらご教示ください」というご質問です。
大西:1,000億円の中でもちろんグローバルは重要ですが、グローバルの目標はそこまで大きくしていません。お伝えしたとおり、やはりヘアケアは柱であり、急成長ではないですが、過去にできていない、これから行うべきことは明確に見えており、そこをしっかりと進めれば伸ばしていけるという自信があるため、まずはヘアケアを堅調にしっかりと伸ばしていくことです。
そして2つ目は美容家電です。「SALONIA」というブランドを中高価格帯の美容家電ブランドに成長させていくという戦略の下、しっかりと中高価格帯の美容家電が伸び、利益も伸びてきました。売上も成長しているため、ここは引き続き伸ばしていきます。
また、「SALONIA」のブランドイメージとは合わないものの、当社の強みを活かして伸ばしていける美容家電のカテゴリーもかなり見えてきているため、美容家電もヘアケア同様、複数ブランドで攻めていきたいと思っています。
スキンケアその他では、トゥヴェール社のM&Aもあり、かつ、過去仕込んできたブランドも大きく成長してくれています。ここをしっかりと伸ばしながら、新カテゴリーもヒットさせられるよう、私もしっかりと現場に入り、I-neの強みを活かしてイノベーションを起こしていきたいと思います。
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- 経営管理DXアワード 大賞受賞のお知らせ 2025/12/04
- 法定事前開示書類(合併)(株式会社Endeavour)(追加) 2025/11/19
- 吸収合併の効力発生日及び債権放棄予定の変更に関するお知らせ 2025/11/19
- BOTANIST「スカルプブラシ」11月17日より新発売 地肌のめぐりケア*に着目したライン「ROOTH」を併用した頭皮クレンジング&マッサージを、BOTANIST毛髪診断士が提案! 2025/11/17
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