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【QAあり】サスメド、DTxプラットフォーム事業は安定的に収益を獲得し黒字化 臨床開発費の圧縮等により営業利益予想を上方修正

投稿:2025/02/25 17:00

ビジョン

上野太郎氏(以下、上野):サスメド株式会社代表取締役社長の上野です。本日はお集まりいただきありがとうございます。それでは、2025年6月期第2四半期の決算と進捗をご報告いたします。

まずは弊社のビジョンについてです。「ICTの活用で『持続可能な医療』を目指す」をビジョンに掲げ、その意味である「SUStainable MEDicine」を略して「サスメド株式会社」と称しています。

事業領域概要

具体的な事業領域についてご説明します。創業以来続けている治療用アプリの開発以外にも、臨床試験システムを通じた医薬品やハードウェアなどの医療機器の臨床開発も含めた、効率化への取り組みを行っています。

また、このようなデジタルの取り組みを通じて医療ビッグデータの取得・収集を行っており、データの利活用を踏まえた医療ビッグデータの分析基盤も持っています。市販後の新たな事業領域も見据えた取り組みとなっています。

QDTx:治療用アプリ開発プラットフォーム

治療用アプリの開発において、弊社は多数のパイプラインを保有しています。また、最近では製薬メーカーとの共同開発事例なども出てきています。

このような多数のパイプラインを少数精鋭で開発し、臨床試験に導入できている背景には、弊社が治療用アプリ開発プラットフォームを有していることがあります。このプラットフォームは、これまでの治療用アプリの開発経験をもとに治療用アプリに共通して必要となる技術開発を行い、それらの特許技術を実装したものです。

こちらを活用することで、エンジニアがゼロからスクラッチで開発せずとも、治験用システムと連動したかたちで治療用アプリを立ち上げ、臨床試験を行うことができます。スライドに掲載しているように、患者側が使用するスマートフォンアプリと医療機関側の管理システムが連携している仕組みも、各治療用アプリで立ち上げることができます。

SUSMED SourceDataSync:臨床試験システム

治験を実施する際には、GCP省令などのさまざまなレギュレーションへの対応が必要となります。レギュレーション対応としては、これまでCRO企業の方々が労働集約的に行ってきたモニタリングと言われる業務などがあります。そのような対応も、弊社の特許技術を活用することによりデジタル技術で代替することができます。

具体的には、ブロックチェーン技術を実装し、データの信頼性を担保しながら人手によらない治験を行うことができるシステムを提供しています。

このシステムは弊社の治療用アプリ開発のほか、すでに医薬品開発や医療機器開発などでもご利用いただいています。このような取り組みを通じて、ドラッグ・ラグやドラッグ・ロスの解消に貢献していきたいと考えています。

Awesome Intelligence:機械学習自動分析システム

データ分析についてです。今後、治療用アプリを上市した際には全国から大量のデータがサーバーに集まります。それらを見据え、データ分析を効率よく実施するためのクラウドシステムを構築しており、すでに運用を開始しています。

いわゆるデータサイエンティストが張り付いて機械学習等せずとも、このシステムを使うことで効率よくデータ分析ができるような仕組みとなっています。

治療用アプリの提供の流れ

治験用アプリは医療機器に該当しますので、医療機関で医師が診断した患者さまに対してアカウント情報を処方することで、初めて使用可能になります。患者さまはご自身のスマートフォンでログインし、自宅にいながら、アルゴリズムとして提供される治療法を受けることができます。

これにより、患者さまのデータが全国から毎日サーバーに集まってくることになります。このデータを医療機関で確認しながら治療方針の策定を行えるほか、場合によってはビッグデータを分析することで、新たな知見を得ることにもつながっていきます。

ヘルスケアアプリと治療用アプリの違い

弊社が取り組んでいる治療用アプリはヘルスケアアプリとは異なり、治療に使用するものです。そのため医療機器に該当し、規制の対象となります。承認を得て保険収載されることで、一部を患者さまの自己負担とする形で治療に用いることができるようになります。

マーケティングについては、医療機関の医師に対して実施することが重要になりますので、製薬メーカーと連携しながら戦略を立てています。

開発パイプライン①(2025年2月14日現在)

弊社のパイプラインについて、スライド2ページにわたって掲載しています。

不眠障害治療用アプリはすでに承認を得ており、今は保険収載に向けての取り組みを進めている状況です。それ以外にも、がんの領域での乳がん運動療法やACP、慢性腎臓病の治療用アプリの開発を進めています。こちらは検証的試験の手前のステータスとなっています。

耳鳴の治療用アプリは杏林製薬と特定臨床研究を実施し、被験者の組み入れまで終えています。

開発パイプライン②(2025年2月14日現在)

パイプラインの続きです。進捗があったものについてご説明します。

あすか製薬と取り組んでいる産婦人科領域の治療用アプリ開発については、先日、PMS(⽉経前症候群)とPMDD(⽉経前不快気分障害)という疾患名を開示しました。現在は臨床研究を実施しているところです。

持続性知覚性姿勢誘発めまいに対する治療用アプリの臨床研究も実施しています。

ここまでご紹介したものは治療用アプリですが、この他にも妊産婦うつやADHDに対する診断用プログラム医療機器の開発も進めています。

2025年6月期 重点施策

2025年6月期の重点施策として4点掲げています。

1点目は、不眠障害治療用アプリの保険収載を粛々と進め、達成することです。

2点目は、パイプラインの開発進捗についてです。多数のパイプラインを保有していますが、具体的にはスライドに記載している5つのパイプラインの開発を進めることを重点施策としています。

ここまでは治療用アプリに関する施策です。3点目と4点目は、プラットフォーム事業の臨床試験システムに関する施策となります。

3点目は、臨床試験システムの複数試験での稼働です。ブロックチェーン技術を実装した臨床試験システムをすでに企業治験などでお使いいただいていますが、こちらを横展開して複数試験で稼働させます。

4点目は、静脈疾患レジストリシステムの稼働です。これまでの知見だけではなく、レジストリと呼ばれる上市後のデータを利活用するために、ブロックチェーン技術が活用できるのではないかということから重点施策に掲げています。

重点施策①不眠障害治療用アプリの保険収載

不眠障害治療用アプリの保険収載についてです。昨年8月末に、保険収載を実現するための一部変更承認申請を行いました。マーケティングプランについては、塩野義製薬とともに保険収載後の計画の構築・立案を進めています。

重点施策②パイプラインの開発進捗

パイプラインの開発進捗についてです。あすか製薬との共同開発において、PMS・PMDDの治療用アプリを用いた特定臨床研究を開始しました。

今年2月に最初の患者さまが登録されたことでマイルストンを達成し、1億円を新たに受領する予定です。契約一時金としてすでに2億円受領していますが、これらを併せた3億円が第3四半期に売上として収益計上される予定です。

重点施策③臨床試験システムの複数試験での稼働

臨床試験システムの複数試験での稼働についてです。国立精神・神経医療研究センターにおける医師主導治験で、弊社のブロックチェーンシステムの運用が開始されました。こちらはリツキシマブという抗体医薬品に関する医師主導治験で、対象疾患は慢性疲労症候群です。現在、すでに稼働している状況です。

重点施策④静脈疾患レジストリシステムの稼働

治験以外の分野におけるブロックチェーンシステムの活用についてです。昨年末にリリースしたとおり、ブロックチェーン技術を活用した静脈疾患レジストリの稼働を開始しました。

これまでのレジストリでは、データの品質が担保されていないことから、薬事的な利用や適応拡大などのデータ利用が行われてこなかった課題がありました。

そこで、弊社のブロックチェーン技術を活用することにより、GCP省令のレギュレーションに準拠したかたちでデータを収集することができます。東北大学に事務局となっていただき、このレジストリの稼働を開始しています。

2025年6月期 重点施策の進捗状況

重点施策の進捗状況をスライドにまとめています。不眠障害治療⽤アプリについては、一部変更承認申請の提出以降は粛々と当局の対応を進めています。「SMD106」「SMD107」は臨床研究が進行している状況です。

ブロックチェーンシステムについては、国立精神・神経医療研究センターにおける医師主導治験での運用が始まっています。レジストリの分野はこれまでと異なる文脈の新しい取り組みとなりますが、システムがすでに稼働しています。こちらはハードウェアの医療機器メーカーに提供しています。

業績ハイライト

業績面についてご説明します。第2四半期までの事業収益は7,300万円、営業利益はマイナス3億800万円となりました。

第3四半期には、先ほどご説明したあすか製薬からの事業収益3億円が計上されることが確定しています。

セグメント業績

セグメントごとの業績です。DTxプロダクト事業については、第2四半期まで売上計上がありませんでしたが、第3四半期には3億円が計上されます。

DTxプラットフォーム事業については、安定的に収益を獲得しています。前期から実施していた追加開発が収益貢献し始めていることもあり、セグメント利益は黒字化しています。

財務状況

財務状況についてです。引き続き現預金は潤沢にありますので、こちらについては問題ありません。安定的な財務基盤を維持したかたちで、各プロジェクトを進捗させています。

2025年6月期業績予想の見直し

第2四半期には、2025年6月期の業績予想の見直しを行いました。事業収益に変更はありませんが、赤字幅を縮小するかたちで予想を修正しています。縮小要因は、採用費の削減や人件費の未消化と臨床開発費の圧縮です。研究開発費も臨床開発費の効率化を通じて圧縮できる見込みが立っています。

これにより、営業利益を当初予定していたマイナス5億8,300万円からマイナス3億7,800万円へと上方修正しました。

以上が、2025年6月期第2四半期の進捗報告となります。

質疑応答:不眠障害治療用アプリの⼀部変更承認申請の状況について

質問者:不眠障害治療用アプリの⼀部変更承認申請の状況について教えてください。今期中の保険収載という目標をまだ下げていませんが、そろそろ⼀部変更承認申請が通っていないと、保険償還は厳しいのではないかと見ています。なにかトラブルがあるのか、もしくは順調なのかをお聞きしたいです。

上野:⼀部変更承認申請の審査は粛々と進んでいる状況です。スケジュールについては、これまでにもお伝えしているように、弊社でコントロールできないところがあります。

基本的には申請後に審査対応でのやり取りをしてきていて、スケジュールは、PMDAや厚労省のほうにボールがある状況です。実際の審査自体は順調かつ粛々と進めていただいているため、あとは規制当局側での手続きの進行待ちだと認識しています。

質問者:当局と審査のやり取りをしている中で、なにか引っかかっている点はないという理解でよろしいですか? 

上野:それはありません。

質疑応答:不眠障害治療用アプリの診療報酬化に関する声明について

質問者:昨年末、日本認知療法・認知行動療法学会と日本プライマリ・ケア連合学会が、認知行動療法の診療報酬化についての共同声明を出しました。こちらは「アプリだけではなく、対面式も技術料で評価してほしい」というメッセージですが、一方で「アプリが先に保険償還されることは問題だ」というニュアンスにも取れてしまいます。

これらの学会との付き合い方や、コミュニケーションはどのようになっているのでしょうか? また、この声明がアプリの保険償還や⼀部変更承認申請に害をなしてはいませんか? 非常にコメントしづらい部分だとは思いますが教えてください。

上野:前提として、治療用アプリは、医師が行う診療行為に対する保険点数である「技術料」ではなく「特定保険医療材料」として評価されることが、昨年6月時点の診療報酬改定で規定されています。こちらは厚労省の決定として、もともと技術料として評価予定だったものを特定保険医療材料として評価することが確定したため、それに合わせて弊社も手続きを進めている状況です。

学会から声明が出されたことは把握していますが、アプリに対する意見というわけではなく、「対面式の認知行動療法に対して技術料をつけてほしい」という要望を出しているのだと理解しています。

アプリと診療行為は別枠での評価になることをすでに厚労省が決めているため、声明が弊社のアプリの審査等に影響することはないものと考えています。

質疑応答:専門学会との関係性について

質問者:今回の声明は、不眠障害用アプリの適正使用指針の作成に関わる3学会のうち2学会が出されたものです。2学会は適正使用指針にもきちんと参加したメンバーだと思いますが、治療用アプリに対し、あからさまに後ろ向きな声明を出したように私は捉えてしまいました。

アプリ上市後の販売促進に関して、学会との関係性は問題ないと理解してよいのでしょうか? そもそも私は、2学会がこのような声明を出すことの意味がわかりません。関係性などに問題がないかについてコメントをいただければ幸いです。

上野:学会として適正使用指針の作成にご協力いただいていることは事実であり、すでに適正使用指針も発出されていますし、引き続きそちらにご尽力、ご協力いただいているものと認識しています。

つまり、学会としてはアプリも対面式の認知行動療法も両方の保険収載を進めたいのだと思います。きちんと治療用アプリの適正使用指針を作って推進する一方で、これまで行ってきた対面式の認知行動療法にも技術料をつけてほしいという要望があるということだと理解しています。

質疑応答:治療用アプリの保険収載時期について

質問者:学会や厚労省等とのパワーバランスはわかりませんが、万が一、厚労省が学会の意見を丸呑みした場合には、技術料とアプリを同時に保険収載する流れになってしまうと思います。そのリスクはあまり考えなくてよいのでしょうか? もしそうなった場合、技術料の診療報酬改定は2年に1回ですので、そこまで待たなければいけないのでしょうか? 

上野:そのようなことはさすがに起こり得ないと思います。令和6年度の診療報酬改定で、技術料ではなく特定保険医療材料として評価することが明確に規定されました。そちらに則った運用が行われるはずです。

技術料の要望自体は、内保連経由などの正式なルートできちんと集約して上げていくという適切な手順を踏んで、対応されるものだと認識しています。

質疑応答:今期の売上高予想の内訳について

質問者:今期の売上高予想は4億7,900万円で、第3四半期にあすか製薬から3億円が計上されることを差し引いてもギャップがあります。売上高の内訳について教えてください。

上野:おっしゃるとおり、DTxプロダクト事業において第3四半期にあすか製薬からの3億円が計上され、これまでの部分に上乗せされます。しかし、それだけで今期末まで進むわけではなく、DTxプラットフォーム事業の収益が引き続き上積みされていく予定です。

先ほどもいくつかの事例をご紹介しましたが、実際に国立精神・神経医療研究センターでのプロジェクトや静脈疾患レジストリシステムの稼働が開始していますので、それらが収益に貢献していくことはすでに見えている状況となります。

質問者:つまり、3億円を除いた大部分はDTxプラットフォーム事業による収益だということですか? 

上野:基本的にはDTxプラットフォーム事業が事業収益に貢献するだろうと認識しています。

質疑応答:海外の成功事例について

質問者:海外の成功事例などについて、アップデートがあれば教えてください。

上野:不眠症分野の治療用アプリは、ここ2年ほどの間、特にイギリスやヨーロッパでガイドラインが改定されている状況です。

今までのガイドラインでは「対面の認知行動療法」が不眠症治療の第1選択と書かれていましたが、「対面もしくはデジタルによる認知行動療法」と書かれるようになりました。アプリが睡眠薬よりも優先されるとガイドライン上に明記されたことが、ここ2年ほどの動きです。

このようなガイドラインが出されてから、特にドイツなどで不眠症治療用アプリが承認され保険収載される事例が増えてきており、実臨床で広がってきていると認識しています。

質問者:イギリスのNHSで承認されたBig Health社は財務的にも厳しく、あまり成功しているように感じられませんが、ドイツのほうはビジネス的に成功していると思ってよいのでしょうか?

上野:スタートアップ企業が多く、売上などは開示されていないため確認しきれていませんが、Big Health社とは別の企業のものも使われています。例えば、「HelloBetter」という不眠症治療用アプリがドイツなどで承認され、保険償還されている状況です。

一方、実臨床でどの程度使われているかについては、最近は論文ベースでいくつか報告が上がっています。ドイツ国内では、通常の医師の半分以上が治療用アプリの処方経験があるなど、そのようなことが論文ベースで報告されている状況です。

質問者:その中ではわりとよい結果が出ているのでしょうか? 

上野:臨床的に意義があると評価されているからこそ、ガイドラインにも「第1選択」として睡眠薬より優先的に書かれているのだと思います。ヨーロッパ国内では、臨床現場で普通に使われているものと認識しています。しかし、それらを扱うのが上場企業などではないため、売上規模がどれぐらいかまでは把握しきれていません。

質問者:確か、ドイツなどは保険点数がけっこう高いですよね?

上野:おっしゃるとおりです。

配信元: ログミーファイナンス

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