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コムシードのニュース
*15:06JST ダイナムジャパンHD Research Memo(6):2026年3月期は時間当たり消費金額の低減により客数回復を図る
■ダイナムジャパンホールディングスの2026年3月期の事業方針
1. パチンコ事業
(1) 事業方針
同社は2026年3月期の事業方針として、1) 標準店及びM&A(パチンコ店居抜き・他業種居抜き)の積極的な出店による市場シェアの拡大、2) 経営効率(組織、コスト構造)の改善と「安さ」を強みとした競争優位性の創出、3) PB遊技機の開発強化・育成による顧客ニーズへの対応と差別化、4) 社会貢献活動を通じた持続可能な店舗づくりと地域に根差したCSR活動の推進、の4点に取り組み、増収増益を目指す。
特に時間当たり消費金額の低減策を推進し、気軽に遊べるレジャー施設として競合店との差別化を図る。また、前期は新紙幣改刷対応設備の投資実行により予算配分できなかった大規模店舗のリニューアルを実施し、ホスピタリティの向上に取り組むことで集客力の向上につなげる考えだ。店舗運営の生産性向上施策としては、カウンター業務のセルフ化を進める。現状は有人POSの設置率が5割程度に留まっており、セルフ化を推進することで人件費の効率化を図る。
パチンコのPB機種も数機種を開発し、投入する計画である。店舗設置比率は現状の11%程度から13%程度まで引き上げる余地があると見ている。2024年11月には筐体に全面液晶ディスプレイ(25.2インチ)を搭載したスマパチを初めて開発し、店舗に導入した。全面液晶は、セル盤面や可動役物の役割を担うことで、これまでにないゲーム表現を可能にするほか、部材コストの低減も見込める。従来は機種入替時に盤面の全面取り換えが必要であったが、全面液晶化により基板と盤面の一部の交換のみで入れ替えが可能になるためだ。さらに入れ替え時の作業負担も軽減され、環境負荷軽減にも貢献する。同社は、この全面液晶ディスプレイ筐体を複数回利用することで、コストを従来の5割程度まで引き下げることが可能と試算している。機種は甘デジタイプ限定となるが、今後投入機種を増やすことで、遊技機にかかるコストの低減を図る。
(2) 出店方針
出店計画については、引き続き良い売り物件が出ればM&Aを検討するが、財務状況を考慮して慎重に判断する方針である。閉店については、同社グループで2025年5月上旬までに4店舗の閉店(福岡、熊本、宮城、秋田で各1店舗)を公表している。
(3) パチンコ業界の動向
パチンコ業界の動向として、2025年7月よりスマパチの「ラッキートリガー(以下、LT)※」機能の規制が緩和され、「LT3.0+(プラス)」として従来よりもゲーム性を高めた機種開発が可能となった。スマパチについては、設置率がようやく10%を超えてきたところで、業界としてもスマパチでのヒット機種の登場が望まれており、その起爆剤になるものと期待される。メーカー側でも「LT3.0+」の解禁に合わせて主力タイトルを投入する計画であり、ヒット機種が生まれればスマパチの普及が加速する可能性があり、業界活性化につながる取り組みとして注目される。
※ ラッキートリガーとは、「突入時の期待出玉が9,600個未満となる上位RUSHもしくはそのRUSHへの突入契機」のことで、獲得出玉の期待値がミドル機並みにアップする機能。
(4) 事業費用の見通し
同社は2026年3月期の遊技機購入額について、前期から15%程度の増加を見込んでいる。2026年にかけて使用期限を迎える機種が相次ぐためで、2期で入れ替えを進める計画である。しかし、遊技機の減価償却費は前期比で減少する見込みで、増加するのは2027年3月期以降となる見通しだ。
人件費は、引き続きオペレーションの見直しによる総労働時間削減によって抑制する方針である。店舗の修繕費用や広告宣伝費については、集客力の向上を目的に、前期から積み増すと見られる。
(5) スマート遊技機の特徴と導入メリット
2022年11月から導入が開始されたスマート遊技機は、メダルや玉に直接触れずに遊技できる点が特長である。パチンコでは玉が遊技機内で循環し、スロットはメダルを使用せず、いずれも出玉情報は電子情報として保存される仕組みとなっている。また、遊技機設置情報や出玉情報は、業界の健全化を推進するため、遊技機メーカー組合が設置する「遊技機情報センター」へ送信され一元管理される。
スマート遊技機のメリットは、ユーザー視点からは規制緩和によって遊技機の開発の自由度が広がり、スペックの大幅な向上によって出玉・メダルの獲得期待値やゲーム性が高まること、玉・メダルレスになることで利便性と感染症対策への安心感が向上する点などが挙げられる。
ホール側のメリットとしては、玉・メダルの持ち運びや洗浄が不要となり、店舗スタッフの業務負荷軽減となるほか、島設備(補給機装置等)が不要となるため、新規店舗では初期投資負担の軽減、既存店舗ではランニングコストの削減につながる。さらに店舗レイアウトの自由度も増し、既成概念に囚われない店舗づくりが可能となり、新たな顧客層の開拓余地も生まれる。
パチンコ業界全体としては、出玉情報等を外部の第三者機関で一元管理することによって、セキュリティ強化や不正遊技の撲滅、のめり込み防止対策ともなり、業界の健全化が一層進むことで遊技者人口の増加につながる取り組みとして期待されている。
2025年4月時点でスマート遊技機の設置率は業界全体でスマスロが50%台、スマパチが13%台になっていると見られており、当初の想定よりもスマパチの普及スピードはやや遅れ気味となっている。しかしながら、将来的にはスマート遊技機にすべて置き換わる方向性であることに変わりない。このため、同社では今後もスマート遊技機の動向を注視し、商機を逃さないよう適切なタイミングで投資を進める方針だ。
(6) 新たな取り組み
子会社の(株)ダイナムは、2025年2月(2024年5月は協議開始)にコムシード<3739>とオンラインバーチャルホール事業の協業に向けた業務提携を締結したことを発表した。コムシードは実際のパチンコホールで稼働している機種等の実機シミュレーターをモバイルで遊ぶことができるソーシャルゲーム「グリパチ」を運営しており、累計利用者数は670万人を超えるバーチャルホールである。コムシードは次世代バーチャルホールゲームのリリースを計画しており、リアル店舗を運営している同社と協業して開発を進めていく。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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1. パチンコ事業
(1) 事業方針
同社は2026年3月期の事業方針として、1) 標準店及びM&A(パチンコ店居抜き・他業種居抜き)の積極的な出店による市場シェアの拡大、2) 経営効率(組織、コスト構造)の改善と「安さ」を強みとした競争優位性の創出、3) PB遊技機の開発強化・育成による顧客ニーズへの対応と差別化、4) 社会貢献活動を通じた持続可能な店舗づくりと地域に根差したCSR活動の推進、の4点に取り組み、増収増益を目指す。
特に時間当たり消費金額の低減策を推進し、気軽に遊べるレジャー施設として競合店との差別化を図る。また、前期は新紙幣改刷対応設備の投資実行により予算配分できなかった大規模店舗のリニューアルを実施し、ホスピタリティの向上に取り組むことで集客力の向上につなげる考えだ。店舗運営の生産性向上施策としては、カウンター業務のセルフ化を進める。現状は有人POSの設置率が5割程度に留まっており、セルフ化を推進することで人件費の効率化を図る。
パチンコのPB機種も数機種を開発し、投入する計画である。店舗設置比率は現状の11%程度から13%程度まで引き上げる余地があると見ている。2024年11月には筐体に全面液晶ディスプレイ(25.2インチ)を搭載したスマパチを初めて開発し、店舗に導入した。全面液晶は、セル盤面や可動役物の役割を担うことで、これまでにないゲーム表現を可能にするほか、部材コストの低減も見込める。従来は機種入替時に盤面の全面取り換えが必要であったが、全面液晶化により基板と盤面の一部の交換のみで入れ替えが可能になるためだ。さらに入れ替え時の作業負担も軽減され、環境負荷軽減にも貢献する。同社は、この全面液晶ディスプレイ筐体を複数回利用することで、コストを従来の5割程度まで引き下げることが可能と試算している。機種は甘デジタイプ限定となるが、今後投入機種を増やすことで、遊技機にかかるコストの低減を図る。
(2) 出店方針
出店計画については、引き続き良い売り物件が出ればM&Aを検討するが、財務状況を考慮して慎重に判断する方針である。閉店については、同社グループで2025年5月上旬までに4店舗の閉店(福岡、熊本、宮城、秋田で各1店舗)を公表している。
(3) パチンコ業界の動向
パチンコ業界の動向として、2025年7月よりスマパチの「ラッキートリガー(以下、LT)※」機能の規制が緩和され、「LT3.0+(プラス)」として従来よりもゲーム性を高めた機種開発が可能となった。スマパチについては、設置率がようやく10%を超えてきたところで、業界としてもスマパチでのヒット機種の登場が望まれており、その起爆剤になるものと期待される。メーカー側でも「LT3.0+」の解禁に合わせて主力タイトルを投入する計画であり、ヒット機種が生まれればスマパチの普及が加速する可能性があり、業界活性化につながる取り組みとして注目される。
※ ラッキートリガーとは、「突入時の期待出玉が9,600個未満となる上位RUSHもしくはそのRUSHへの突入契機」のことで、獲得出玉の期待値がミドル機並みにアップする機能。
(4) 事業費用の見通し
同社は2026年3月期の遊技機購入額について、前期から15%程度の増加を見込んでいる。2026年にかけて使用期限を迎える機種が相次ぐためで、2期で入れ替えを進める計画である。しかし、遊技機の減価償却費は前期比で減少する見込みで、増加するのは2027年3月期以降となる見通しだ。
人件費は、引き続きオペレーションの見直しによる総労働時間削減によって抑制する方針である。店舗の修繕費用や広告宣伝費については、集客力の向上を目的に、前期から積み増すと見られる。
(5) スマート遊技機の特徴と導入メリット
2022年11月から導入が開始されたスマート遊技機は、メダルや玉に直接触れずに遊技できる点が特長である。パチンコでは玉が遊技機内で循環し、スロットはメダルを使用せず、いずれも出玉情報は電子情報として保存される仕組みとなっている。また、遊技機設置情報や出玉情報は、業界の健全化を推進するため、遊技機メーカー組合が設置する「遊技機情報センター」へ送信され一元管理される。
スマート遊技機のメリットは、ユーザー視点からは規制緩和によって遊技機の開発の自由度が広がり、スペックの大幅な向上によって出玉・メダルの獲得期待値やゲーム性が高まること、玉・メダルレスになることで利便性と感染症対策への安心感が向上する点などが挙げられる。
ホール側のメリットとしては、玉・メダルの持ち運びや洗浄が不要となり、店舗スタッフの業務負荷軽減となるほか、島設備(補給機装置等)が不要となるため、新規店舗では初期投資負担の軽減、既存店舗ではランニングコストの削減につながる。さらに店舗レイアウトの自由度も増し、既成概念に囚われない店舗づくりが可能となり、新たな顧客層の開拓余地も生まれる。
パチンコ業界全体としては、出玉情報等を外部の第三者機関で一元管理することによって、セキュリティ強化や不正遊技の撲滅、のめり込み防止対策ともなり、業界の健全化が一層進むことで遊技者人口の増加につながる取り組みとして期待されている。
2025年4月時点でスマート遊技機の設置率は業界全体でスマスロが50%台、スマパチが13%台になっていると見られており、当初の想定よりもスマパチの普及スピードはやや遅れ気味となっている。しかしながら、将来的にはスマート遊技機にすべて置き換わる方向性であることに変わりない。このため、同社では今後もスマート遊技機の動向を注視し、商機を逃さないよう適切なタイミングで投資を進める方針だ。
(6) 新たな取り組み
子会社の(株)ダイナムは、2025年2月(2024年5月は協議開始)にコムシード<3739>とオンラインバーチャルホール事業の協業に向けた業務提携を締結したことを発表した。コムシードは実際のパチンコホールで稼働している機種等の実機シミュレーターをモバイルで遊ぶことができるソーシャルゲーム「グリパチ」を運営しており、累計利用者数は670万人を超えるバーチャルホールである。コムシードは次世代バーチャルホールゲームのリリースを計画しており、リアル店舗を運営している同社と協業して開発を進めていく。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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