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*11:03JST ナガイレーベ Research Memo(3):高付加価値商品の拡販と海外生産比率アップで収益力改善を目指す
■事業概要
1. 売上構成
ナガイレーベン<7447>の製品は、医療白衣及びその関連製品である。単一製品であることから、セグメント別数値は開示されていないが、2025年8月期のアイテム別売上構成比は、ヘルスケアウェア54.0%、ドクターウェア14.2%、ユーティリティウェア・他2.5%、患者ウェア18.7%、手術ウェア9.4%、海外市場1.3%である。
「ヘルスケアウェア」とは主に看護師向け製品のことで、「ユーティリティウェア・他」にはユーティリティウェア(白衣などの上に着るエプロンやカーディガンなど)やシューズ、さらに「感染対策商品」などが含まれる。各アイテムの利益率は大きくは変わらないが、仕入商品の割合が高い「ユーティリティウェア・他」の利益率は相対的に低い。
また、2022年8月期より「市場別」区分を取り入れている。国内市場のうち、同社のシェアが比較的高い市場として「コア市場」(「ヘルスケアウェア」「ドクターウェア」「ユーティリティウェア・他」)、今後の成長余地が高い市場として「周辺市場」(「患者ウェア」「手術ウェア」)、そして「海外市場」の3つに区分している。2025年8月期の市場別売上構成比は、コア市場が70.6%、周辺市場が28.0%、海外市場が1.3%である。
2025年8月期の商品(機能)別売上構成比は、ハイエンド商品7.8%、高付加価値商品62.1%、付加価値商品26.4%、量販品3.7%となっている。ナースウェアの価格帯分類は、5,000円以下の量販品、5,000~7,500円の付加価値商品、7,500~10,000円の高付加価値商品、10,000円以上のハイエンド商品となっている。高価格なほど利益率は高い傾向にあり、ハイエンド商品、高付加価値商品の拡販に注力する方針だ。
2. 販売ルートと生産状況
同社のエンドユーザーは看護師や医師などで、製品の購入者は主に病院などの医療施設や介護施設である。ただ直接販売は行っておらず、医療施設などと取り引きしている業者を経由した販売を行っている。これにより販売経費を抑えているが、大病院などへは常に同社の営業社員がコンタクトを取り、顧客ニーズをくみ取っている。
以前は病院内で自ら医療白衣の洗濯を行うケースが多かったが、近年は洗濯のアウトソーシングの普及に伴いリースに切り替わってきている。リース期間は通常4年で、4年ごとに発生するリースの切り替え需要が同社の業績を安定的に支えている。ただしリース更新のサイクルは必ずしも前回と同じ時期に発生するとは限らず、多少前後する場合もあるため、四半期ごとの売上高にぶれが生じる場合がある。
2025年8月期(同社単独)は製品の99.4%が自社及び協力工場(国内生産43.9%、海外生産55.5%)で生産され、仕入商品は0.6%となっている。海外生産はインドネシア・ベトナム・中国で行われているが、自社工場を持たずに現地のパートナー企業の工場で生産しており、投資リスク軽減とコスト削減を両立している。
3. 特色と強み
同社の強みの1つは、企画から原材料の調達・製造・販売まで一貫して行う体制が整っていることである。製品企画の面では、ユーザーのニーズを的確につかみ、製品に反映させている。具体的には、働きやすい(動きやすい)、静電気が発生しにくい、制菌(細菌の増殖を抑える)などの機能面に加え、デザイン性にも優れた製品を提供している。製造面においては、素材を共同開発する東レ<3402>をはじめとする大手合繊メーカーや繊維商社などと直接やり取りすることで、最適な素材を確保して安価に製造し、適正マージンを乗せた販売を可能にしている。
また、多くの提携工場を持ち、資金力も豊富なため、常に数千種類に及ぶ製品アイテムの在庫を揃え、オーダーメイドにも対応している。さらに幅広いユーザーニーズに対して、希望する製品を指定された期日に即納する迅速な生産・販売体制(Quick Response体制。以下、QR)を整えている。販売面では、全国に1,000社近くの代理店網を有しており、販売力は強固であるが、同社自身は販売経費を可能な限り抑えている。
この結果、医療白衣のコア市場における国内シェアは60%超と、医療白衣のリーディングカンパニーとして確固たる地位を維持しており、2025年8月期の売上総利益率は39.5%と高水準となっている。高い市場シェアと高い利益率を維持できているのは、多くの顧客が同社の製品・サービスに満足しているということであり、これこそが最大の強みと言える。
医療白衣というニッチ市場に経営資源を集約することで、企画から生産・販売まで一貫した効率的な経営を可能としている。ニッチ市場ではあるが、患者ウェアや手術ウェアなどの相対的に同社のシェアが低い周辺市場にはまだ開拓の余地があるため、同社は「当分はこの医療白衣で事業を伸ばすことは可能であり、今後も積極的に周辺市場の開拓を行う」としている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
<HN>
1. 売上構成
ナガイレーベン<7447>の製品は、医療白衣及びその関連製品である。単一製品であることから、セグメント別数値は開示されていないが、2025年8月期のアイテム別売上構成比は、ヘルスケアウェア54.0%、ドクターウェア14.2%、ユーティリティウェア・他2.5%、患者ウェア18.7%、手術ウェア9.4%、海外市場1.3%である。
「ヘルスケアウェア」とは主に看護師向け製品のことで、「ユーティリティウェア・他」にはユーティリティウェア(白衣などの上に着るエプロンやカーディガンなど)やシューズ、さらに「感染対策商品」などが含まれる。各アイテムの利益率は大きくは変わらないが、仕入商品の割合が高い「ユーティリティウェア・他」の利益率は相対的に低い。
また、2022年8月期より「市場別」区分を取り入れている。国内市場のうち、同社のシェアが比較的高い市場として「コア市場」(「ヘルスケアウェア」「ドクターウェア」「ユーティリティウェア・他」)、今後の成長余地が高い市場として「周辺市場」(「患者ウェア」「手術ウェア」)、そして「海外市場」の3つに区分している。2025年8月期の市場別売上構成比は、コア市場が70.6%、周辺市場が28.0%、海外市場が1.3%である。
2025年8月期の商品(機能)別売上構成比は、ハイエンド商品7.8%、高付加価値商品62.1%、付加価値商品26.4%、量販品3.7%となっている。ナースウェアの価格帯分類は、5,000円以下の量販品、5,000~7,500円の付加価値商品、7,500~10,000円の高付加価値商品、10,000円以上のハイエンド商品となっている。高価格なほど利益率は高い傾向にあり、ハイエンド商品、高付加価値商品の拡販に注力する方針だ。
2. 販売ルートと生産状況
同社のエンドユーザーは看護師や医師などで、製品の購入者は主に病院などの医療施設や介護施設である。ただ直接販売は行っておらず、医療施設などと取り引きしている業者を経由した販売を行っている。これにより販売経費を抑えているが、大病院などへは常に同社の営業社員がコンタクトを取り、顧客ニーズをくみ取っている。
以前は病院内で自ら医療白衣の洗濯を行うケースが多かったが、近年は洗濯のアウトソーシングの普及に伴いリースに切り替わってきている。リース期間は通常4年で、4年ごとに発生するリースの切り替え需要が同社の業績を安定的に支えている。ただしリース更新のサイクルは必ずしも前回と同じ時期に発生するとは限らず、多少前後する場合もあるため、四半期ごとの売上高にぶれが生じる場合がある。
2025年8月期(同社単独)は製品の99.4%が自社及び協力工場(国内生産43.9%、海外生産55.5%)で生産され、仕入商品は0.6%となっている。海外生産はインドネシア・ベトナム・中国で行われているが、自社工場を持たずに現地のパートナー企業の工場で生産しており、投資リスク軽減とコスト削減を両立している。
3. 特色と強み
同社の強みの1つは、企画から原材料の調達・製造・販売まで一貫して行う体制が整っていることである。製品企画の面では、ユーザーのニーズを的確につかみ、製品に反映させている。具体的には、働きやすい(動きやすい)、静電気が発生しにくい、制菌(細菌の増殖を抑える)などの機能面に加え、デザイン性にも優れた製品を提供している。製造面においては、素材を共同開発する東レ<3402>をはじめとする大手合繊メーカーや繊維商社などと直接やり取りすることで、最適な素材を確保して安価に製造し、適正マージンを乗せた販売を可能にしている。
また、多くの提携工場を持ち、資金力も豊富なため、常に数千種類に及ぶ製品アイテムの在庫を揃え、オーダーメイドにも対応している。さらに幅広いユーザーニーズに対して、希望する製品を指定された期日に即納する迅速な生産・販売体制(Quick Response体制。以下、QR)を整えている。販売面では、全国に1,000社近くの代理店網を有しており、販売力は強固であるが、同社自身は販売経費を可能な限り抑えている。
この結果、医療白衣のコア市場における国内シェアは60%超と、医療白衣のリーディングカンパニーとして確固たる地位を維持しており、2025年8月期の売上総利益率は39.5%と高水準となっている。高い市場シェアと高い利益率を維持できているのは、多くの顧客が同社の製品・サービスに満足しているということであり、これこそが最大の強みと言える。
医療白衣というニッチ市場に経営資源を集約することで、企画から生産・販売まで一貫した効率的な経営を可能としている。ニッチ市場ではあるが、患者ウェアや手術ウェアなどの相対的に同社のシェアが低い周辺市場にはまだ開拓の余地があるため、同社は「当分はこの医療白衣で事業を伸ばすことは可能であり、今後も積極的に周辺市場の開拓を行う」としている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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