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伊藤忠食品のニュース
*15:23JST 伊藤忠食品:国内有数の酒類・食品卸、情報・商品開発・物流で卸の枠を超える企業へ
伊藤忠食品<2692>は、約4,000社のメーカーから約50万SKUを取り扱う国内有数の酒類・食品卸である。酒類・嗜好飲料・加工食品を中心に、GMS・SM、CVS、ドラッグストア、百貨店、外食・業務用、ECなど幅広いチャネルに向けて商品供給を行う。2026年に創業140周年を迎え、アサヒビールとの戦前からの取引に象徴されるように、長年築いてきた酒類分野の強みが企業の骨格を形成している。一方で、近年はデジタルサイネージ、商品開発、物流などの「付加価値領域」への投資を強め、食品卸から卸+αへと進化を図っている。
同社は卸として商品を運ぶ機能を磨きつつも、2020年から一貫して中期経営計画で「Transform」を掲げ、消費者起点の取組みを強化しており、卸の垣根を越えて製・配・販の3層、そして消費者との共有価値の創造と循環を目指している。
中期経営計画「Transform 2025~創造と循環~」は今期最終年度を迎えるが、重点3分野(情報・商品開発・物流)での進捗はそれぞれ明確である。
『情報』ではデジタルサイネージを活用して店頭販促の活性化に向けたサポートを行い、売上拡大・商品などの認知度向上につなげている。設置場所や放映するコンテンツと売上・認知度の相関性を分析し、さらなるビジネスの拡大を目指している。サイネージ放映可能台数は約1.9万台となり、広告媒体としての規模も広がっている。
『商品開発』では、売場が拡大している冷凍食品において、オリジナルブランドの「凍眠市場(フルーツ・生酒)」を展開している。また有名店・有名シェフ監修のクリスマスケーキ、おせちの開発も手掛けており、多様化する消費者のニーズを充足する商品を拡充している。
『物流』は積載効率の改善やトラックの待機時間削減に向けて、帰り便や入荷受付システムの活用を進めている。今後も製・配・販の3層で協業しサプライチェーン全体の効率化を目指していく考えだ。
次期中期経営計画に向けた成長テーマは現在策定中だが、情報・商品開発・物流の重点3分野は引継ぎつつ、製・配・販で協業・融合しながら機能を磨き、食品業界全体の進化を目指していく。
2026年3月期第2四半期業績は、売上高3,658億円(前年同期比3.8%増)、営業利益59億円(同17.9%増)と増収増益となった。主にGMS・SMやCVS向けの取引拡大、並びに記録的な猛暑により飲料が好調を維持したほか、嗜好の多様化に合わせてRTDやノンアルコール飲料が伸長したようだ。一方、利益面では低重心経営の徹底が効き、販売費・一般管理費の改善が進んだことから営業利益は順調に増加した。通期計画は売上高7,200億円(前期比2.9%増)、営業利益97億円(同14.0%増)を見込む。4月のビール類値上げによる駆け込み需要の反動や前年の南海トラフ備蓄需要の反動といったネガティブ要因は想定より限定的。物流費・人件費といったコスト上昇は続くものの、同社は引き続き販売費・一般管理費の効率化を進めており、構造的な利益体質の改善が中期的に進んでいる印象である。
足元の市場環境は、値上げ定着による増収基調が続く一方で、小売側では店頭価格引き上げ余地が限られ、卸間での競争激化の可能性が同社の懸念点として挙げられる。また、アサヒグループのシステム障害に関連する影響もあるが、同社としてはメーカーと連携し、回復に向けて取り組んでいく姿勢を示している。
株主還元については、上場以来減配はなく、現中期経営計画期間中は累進配当方針を掲げ、利益成長に応じた還元強化を続けている。PBR1倍で推移する中、引き続き資本効率向上も意識している。時価総額に対する同社株の流動性が低いほか、投資家からの一定の注目が集まっている親子上場の是非については親会社に裁量があるとしつつも、同社は独立独歩で130年以上歩んできた自負があることはしっかりと押さえておきたいところ。
最後に、年々中元・歳暮市場の縮小が続く中、同社はECサイトで商品交換が可能なギフトカード事業などを中心にパーソナルギフトのニーズに合致する取り組みを進めている。ギフト市場全体の縮小を新たな形態で補完し、再成長させる試みは、同社の企画力を象徴する取り組みとなるため、今後のギフト事業の動向も注目しておきたい。
総じて、伊藤忠食品は酒類に強みを持つ伝統的な卸でありながら、情報・商品開発・物流を重点分野として進化させることで、卸の枠を超える存在へと変貌しつつある。短期的には堅調な業績と低重心経営の徹底、中期的には付加価値領域の拡大、長期的には市場の変化を的確にとらえ、スピーディに価値を創造・循環できる総合流通ソリューション企業としてのポジション確立が期待される。
<NH>
同社は卸として商品を運ぶ機能を磨きつつも、2020年から一貫して中期経営計画で「Transform」を掲げ、消費者起点の取組みを強化しており、卸の垣根を越えて製・配・販の3層、そして消費者との共有価値の創造と循環を目指している。
中期経営計画「Transform 2025~創造と循環~」は今期最終年度を迎えるが、重点3分野(情報・商品開発・物流)での進捗はそれぞれ明確である。
『情報』ではデジタルサイネージを活用して店頭販促の活性化に向けたサポートを行い、売上拡大・商品などの認知度向上につなげている。設置場所や放映するコンテンツと売上・認知度の相関性を分析し、さらなるビジネスの拡大を目指している。サイネージ放映可能台数は約1.9万台となり、広告媒体としての規模も広がっている。
『商品開発』では、売場が拡大している冷凍食品において、オリジナルブランドの「凍眠市場(フルーツ・生酒)」を展開している。また有名店・有名シェフ監修のクリスマスケーキ、おせちの開発も手掛けており、多様化する消費者のニーズを充足する商品を拡充している。
『物流』は積載効率の改善やトラックの待機時間削減に向けて、帰り便や入荷受付システムの活用を進めている。今後も製・配・販の3層で協業しサプライチェーン全体の効率化を目指していく考えだ。
次期中期経営計画に向けた成長テーマは現在策定中だが、情報・商品開発・物流の重点3分野は引継ぎつつ、製・配・販で協業・融合しながら機能を磨き、食品業界全体の進化を目指していく。
2026年3月期第2四半期業績は、売上高3,658億円(前年同期比3.8%増)、営業利益59億円(同17.9%増)と増収増益となった。主にGMS・SMやCVS向けの取引拡大、並びに記録的な猛暑により飲料が好調を維持したほか、嗜好の多様化に合わせてRTDやノンアルコール飲料が伸長したようだ。一方、利益面では低重心経営の徹底が効き、販売費・一般管理費の改善が進んだことから営業利益は順調に増加した。通期計画は売上高7,200億円(前期比2.9%増)、営業利益97億円(同14.0%増)を見込む。4月のビール類値上げによる駆け込み需要の反動や前年の南海トラフ備蓄需要の反動といったネガティブ要因は想定より限定的。物流費・人件費といったコスト上昇は続くものの、同社は引き続き販売費・一般管理費の効率化を進めており、構造的な利益体質の改善が中期的に進んでいる印象である。
足元の市場環境は、値上げ定着による増収基調が続く一方で、小売側では店頭価格引き上げ余地が限られ、卸間での競争激化の可能性が同社の懸念点として挙げられる。また、アサヒグループのシステム障害に関連する影響もあるが、同社としてはメーカーと連携し、回復に向けて取り組んでいく姿勢を示している。
株主還元については、上場以来減配はなく、現中期経営計画期間中は累進配当方針を掲げ、利益成長に応じた還元強化を続けている。PBR1倍で推移する中、引き続き資本効率向上も意識している。時価総額に対する同社株の流動性が低いほか、投資家からの一定の注目が集まっている親子上場の是非については親会社に裁量があるとしつつも、同社は独立独歩で130年以上歩んできた自負があることはしっかりと押さえておきたいところ。
最後に、年々中元・歳暮市場の縮小が続く中、同社はECサイトで商品交換が可能なギフトカード事業などを中心にパーソナルギフトのニーズに合致する取り組みを進めている。ギフト市場全体の縮小を新たな形態で補完し、再成長させる試みは、同社の企画力を象徴する取り組みとなるため、今後のギフト事業の動向も注目しておきたい。
総じて、伊藤忠食品は酒類に強みを持つ伝統的な卸でありながら、情報・商品開発・物流を重点分野として進化させることで、卸の枠を超える存在へと変貌しつつある。短期的には堅調な業績と低重心経営の徹底、中期的には付加価値領域の拡大、長期的には市場の変化を的確にとらえ、スピーディに価値を創造・循環できる総合流通ソリューション企業としてのポジション確立が期待される。
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