GMOペパボ、レンタルサーバー「ロリポップ!」、EC支援のストック型収益積上げで利益拡大 DOE10%以上を追加し株主還元強化
GMOペパボ株式会社(3633)の特徴

佐藤健太郎氏(以下、佐藤):GMOペパボ株式会社代表取締役社長の佐藤です。本日は、当社の特徴について3点ご紹介します。
当社は、インターネット上でのアウトプットや表現活動、また、企業がさまざまな商品や自社の情報発信を行うためのインフラを提供している会社です。
ビジネスモデルとしては、月額定額料金を基盤としたストック収益により、安定的な成長を実現しています。
株主還元は、これまで配当性向65パーセント以上を基準として設けていましたが、新たにDOE(株主資本配当率)10パーセント以上を追加し、今後はいずれか高いほうを採用します。以上の3点が、私どもの特徴です。
AGENDA

佐藤:本日の説明内容は、スライドに記載のとおりです。
GMOペパボってどんな会社?

佐藤:会社概要についてご紹介します。
GMOペパボは2003年に福岡で設立され、インターネット専業企業としては重鎮と言える、古参の企業となりつつあります。
個人向けのサービスを提供することからスタートし、そこから個人の方々の表現活動を支えるインターネットインフラサービスをこれまで一貫して提供している会社です。インターネットやECサイト、情報発信など、さまざまなインフラとなる仕組みを提供しています。
GMOインターネットグループ(当社は2004年3月にグループジョインしました)

佐藤:GMOペパボは、GMOインターネットグループの1社です。GMOグループ全体ではグローバルで130社以上を有しており、その中の1社として、私どもはインターネットのインフラ領域、個人向けインフラ、ECサイト事業を手がけています。
GMOインターネットグループ全体について申し上げると、今年1月に開催されたニューイヤー駅伝で、50年目にして優勝を果たすことができました。この出来事は、みなさまの記憶にも新しいのではないでしょうか。
グループとしてNo.1を目指して各社が切磋琢磨する中、私たちもサービスの提供に一層力を入れていきたいと、駅伝を通じてあらためて感じています。
株主還元

佐藤:株主還元について、あらためてご紹介します。これまで配当性向65パーセント以上を掲げていましたが、それに加えて、DOE10パーセント以上という基準も追加しました。
利益水準にはいくつかの変動がありますが、その中でも安定的に配当など株主還元を行う方針を明確にするため、今回、DOEという基準を設定しています。
2026年12月期 配当予想(3か年)

佐藤:当社の配当状況です。昨年の配当額は、1株当たり111円でした。
昨年はいくつかの要因があり特別配当を実施しましたが、今期はその特別配当を除いても増配となる93円という水準であり、年々配当水準を引き上げています。株主還元は重要な経営課題であると認識し、取り組みを進めています。
坂本慎太郎氏(以下、坂本):配当のお話をいただきましたが、配当性向を50パーセントから65パーセントに引き上げ、DOEも10パーセント以上とされています。
業界平均や上場会社の平均と比較しても配当性向およびDOEともに高い水準かと思いますが、直近で引き上げられた理由を教えていただけますか?
佐藤:過去には私たちも、例えば投資を積極的に行う必要があったタイミングではどうしても利益水準が下がってしまい、配当性向で見ると減配となってしまうケースがありました。そこで、投資家のみなさまの不安を払拭するため、このDOEの水準に設定しました。
また、業界平均を見ても、高い水準にするほうが安心感を持っていただけると考えているため、この数値を設定しています。
坂本:GMOグループ全体でも配当水準が高いため、その点の心配もあるのかと思っています。また、特別配当の44円についても、どのような背景で支払われたものか教えてください。
佐藤:昨年は、投資によるリターンや事業売却によって発生した利益など、営業外でいくつかの収益が発生しました。しかし、そちらを普通配当に含めると不自然に見えてしまうため、特別配当として設定しました。
坂本:日本の企業では、よく創立100周年や50周年などを記念して特別配当を実施します。御社の場合、大きな一時的リターンが出た際には、今後も特別配当を検討されていく方針なのでしょうか?
佐藤:おっしゃるとおりです。
アウトプット文化の変化と当社の歩み

佐藤:私どものサービスについてご紹介します。
2003年の設立当時は、インターネットで表現活動をする際、自分のホームページを作成し、その中にプログラミングやHTMLの記述、写真の撮影、画像の掲載などを行ってWebサイトを作る方法が主流でした。
私たちは、「個人でもそのようなことができるように」という思いで、サービスの提供を開始しました。
自分の独自ドメインを作りたい方には「MuuMuu Domain(ムームードメイン)」を、ネットショップを始めたい方には「カラーミーショップ」というサービスを提供するなど、インターネットの進化とともに表現活動がますます増えていく中で、私たちもサービスを展開してきました。
2010年代になると、誰もがスマートフォンでインターネットに接続したり、SNSでつながったりすることが可能になりました。自分の作品を多くの人に見てもらいたいというニーズも広がる中で、どのように応えていくかが重要な課題となりました。
作品を売ってみたい方々のために、ECを簡単に利用できるような「minne(ミンネ)」や「SUZURI(スズリ)」というサービス形態を提供しました。
2020年代に入ると通信環境が大幅に向上し、動画配信やゲーム配信をする方々による表現活動が増えたため、それに合わせてさまざまなサービスを展開しています。このように、インターネットの技術やトレンドの変化に応じて、私たちはサービス提供を続けてきました。
アウトプットの支援者数

佐藤:我々はこれまでに、893万人のアウトプットを支援してきました。サーバー事業やさまざまなサービスを通じて、個人だけでなく法人を含む多くの方々に、アウトプットの機会をご提供できたのではないかと思っています。
また、この893万人の方々の先にあるインターネットのサイトやネットショップを通じて、我々のサービスを間接的に利用している方々はさらに多いのではないかと感じています。
事業セグメントと主力サービス

佐藤:我々の事業セグメントについてご紹介します。当社は、大きく3つの事業セグメントで構成されています。
1つ目はインターネットのホームページやドメインを提供する「ドメイン・レンタルサーバー(ホスティング)事業」、2つ目はECサイトを構築する際に裏側を提供する「EC支援事業」、3つ目はハンドメイド作品を制作している作家向けにプラットフォームを提供する「ハンドメイド事業」です。
2025年セグメント別売上高構成比

佐藤:セグメント別の構成です。もともとはドメイン・レンタルサーバー事業から始めており、この事業が現在、全体の56.6パーセントを占めています。EC支援事業は28.1パーセント、ハンドメイド事業は11.8パーセントです。
この中でも特に、当社が強みとしているストック型ビジネスの割合は73.0パーセントに達しています。
坂本:ストック比率が高い状況ですが、近年における3事業の割合の変化と、ストック収益比率の変化について教えてください。
佐藤:私たちは、意識的にストックビジネスの比率を上げています。
これまではストックとフローをバランス良く保とうとしていましたが、フローはボラティリティが高いため、ストック比率を上げて安定した基盤を構築しようとしています。この数年で、ストック収益比率を数パーセントずつ向上させてきました。
事業セグメントと主力サービス

佐藤:各事業について紹介します。
ドメイン・レンタルサーバー(ホスティング)事業の内訳

佐藤:まず、ドメイン・レンタルサーバー事業についてです。この事業は、大きく分けて2つのブランドで構成されています。
1つ目は、「ロリポップ!」ブランドです。こちらは、自分のWebサイトを運営する際に必要となるレンタルサーバーを提供しています。
また、このブランド内では、ゲーム配信を行う方向けのサーバーを提供する「ロリポップ! for Gamers(ロリポップ・フォー・ゲーマーズ)」、専用回線などプライバシーに配慮したセキュアな環境を提供する「ロリポップ! 固定IPアクセス」も展開しています。
「ムームードメイン」というドメイン取得サービスでは、ドメインを取得した後、Webサイトを作りたい方に向けた「ムームーサーバー」や、企業向けにさまざまなアプリケーションが利用できる「Google Workspace」をセットで販売するサービスも提供しています。
ドメイン・レンタルサーバーのビジネスでできること

佐藤:ドメイン・レンタルサーバーのビジネスで何ができるのかと言うと、サーバーを借りていただいたり、ドメインの「.COM」や「.JP」といったものをURLとして設定したりすることができます。
これによって世の中に一つだけのオリジナルURLを設定いただき、個人や企業だけのオリジナルWebサイトを作ることが可能です。当社ではこちらを月額でご提供しており、ストックビジネスとして展開するビジネスモデルとなっています。
ドメイン・レンタルサーバーはこんな場面で使われています

佐藤:「ロリポップ!」をご契約いただいている件数は39万件、「ムームードメイン」では102万件のドメインをお預かりしている状況です。さまざまなかたちでWebサイトを作成いただき、企業や個人の方々がそれぞれWebサイトを提供されています。
坂本:ホスティング事業は売上構成比の半分以上を占める主力事業であり、今後はストック比率を高めているというお話がありました。もともとストック比率が高い印象がありますが、成長戦略について教えていただけますか?
佐藤:特に法人向け機能の強化やセキュリティ、さまざまなオプションの提供を増やすことで顧客単価を上げる取り組みを進めています。
また、これまで主に個人や中小企業(SMB)の領域に対応していたニーズを、今後はエンタープライズ領域にも広げていきたいと考えています。
坂本:レンタルサーバーやドメイン市場について、新たな市場は当然あるかと思いますが、インターネット黎明期に比べると、成長率はかなり低いと考えられます。現状はどのようになっているのか、お聞かせいただけますか?
佐藤:現在一番多く利用されているサーバーは、クラウドビジネスです。
直近で伸びているのはAIを活用したクラウドですが、当社はその領域ではなく、もう少し低価格でコンシューマー寄り、アプリケーションに近いサーバーの提供を行っています。ただし、この分野は爆発的な成長を見せる市場環境ではないと考えています。
坂本:とはいえ固定客、いわゆるストック部分は強固な印象を受けます。
佐藤:まさにそのとおりです。当社は20年以上にわたって事業を続けており、多くの競合が淘汰される中で生き残ってきました。
坂本:生き残るための強みがあるということですね。
事業セグメントと主力サービス

佐藤:EC支援事業です。「カラーミーショップ」「SUZURI」というブランドで提供しています。
EC市場の推移とEC化率

佐藤:前提として、EC市場は年々成長を続けています。一時的にコロナ禍による影響でサービスECにさまざまな変化がありましたが、物販ECは引き続き成長しています。
スライド右側に記載のとおり、日本のEC化率はまだ低い状況であり、中国と比較すると伸びしろがあるといえます。
EC支援事業「カラーミーショップ」

佐藤:そのような中、私たちが提供しているのは、「カラーミーショップ」というサービスです。インターネット上で物を販売したい個人や法人の方々に向けて、ECサイトを提供できるインフラを整えています。
専門的な知識やプログラミング、デザインのスキルは必要なく、まずは私たちのサービスを利用いただくだけで簡単にデザインが完成します。
例えば、さまざまなシステムとの連携が必要な場合も、できる限り簡単にできる点が「カラーミーショップ」の強みです。
また、個人の方が成長して中小企業になっていったケースも、この20年間で多数見られます。「カラーミーショップ」は、個人から企業の方々まで幅広く利用いただける非常に便利な機能を備えていると認識しています。
ECサイト構築サービス「カラーミーショップ」の事例

佐藤:食品やお酒、ファッションなど、さまざまなECサイトをご利用いただいています。また、定期的に「カラーミーショップ」大賞を開催し、日本全国の注目されるECサイトを表彰しています。
高単価プランへの注力

佐藤:「カラーミーショップ」の注力ポイントとしては、高価格帯プランの提供を増やしている点が挙げられます。
当初は個人を主なターゲットとしていましたが、ユーザーが成長する中で、さらにECサイトとして事業成長していきたいという方々が、特にコロナ禍を経て増加しています。
そのような方々に向けて、我々も本気で取り組めるような料金体系や機能を提供しており、この分野でも売上が伸びてきている状況です。
EC支援事業 KPI推移(カラーミーショップ)

佐藤:各種KPIです。店舗数自体はそれほど大きく増えていませんが、一方で全体のGMV(取扱流通額)は伸びています。
1店舗当たりの流通額や、1店舗あたりの顧客のみなさまからお支払いいただいている単価も上昇しており、特に本気でECに取り組みたいという方々の継続が見られる状況です。
坂本:「カラーミーショップ」の成長は、新規出店される方々の獲得や、大きなショップに成長したケースがある一方、既存店の売上増加のどちらも寄与しているかと思います。どちらをより重視しているのか、また、戦略が異なるのかも含めて教えていただきたいです。
佐藤:現在の状況としては、既存のお客さまの売上成長に伴い、当社も事業を成長させていくことを重視した取り組みを強化しています。
コロナ禍でECを始める方が一気に増えましたが、その流れが一巡し、リアル店舗のほうがよいと見直して撤退される方も少なくありません。
その中で、ECサイトに注力して事業を成長させている方々も一定数おられます。私たちは、そのような方々とともに事業成長を目指し、取り組んでいます。
坂本:もともとEC専業の方は、特にそちらへ注力せざるを得ない状況もありますね。
EC支援事業「SUZURI」

佐藤:もう1つのEC支援事業に、「SUZURI」というものがあります。先ほどの「カラーミーショップ」は在庫を持っている方向けでしたが、こちらは在庫を持たない方向けのECプラットフォームです。
「SUZURI」でできること①

佐藤:例えばスライドの写真は、当社IRチームのメンバーが飼っているペットのマロンちゃんです。このマロンちゃんのグッズを自分のネットショップで販売したい場合、1枚の画像からでも当社が工場と直接連携し、在庫1個からでも生産できるという仕組みです。
こちらをご利用いただくことでネットショップを作成し、多くの方々が注文できるようになります。これが、「SUZURI」で可能となることです。
「SUZURI」でできること②(思い出をグッズにできる)

佐藤:「SUZURI」のもう1つの機能です。
例えば、ネットショップではなく、自分の家族やおじいちゃん、おばあちゃんに渡したいお子さまのグッズを1個だけ作ってプレゼントできる「自分のためのグッズ化」を提供しています。
ハンドメイド事業「minne」

佐藤:ハンドメイド事業です。「minne」というサービス名で展開しています。
先ほどの「SUZURI」は画像1枚からグッズが作れるアイテムのネットショップができるというものでした。「minne」は、自分でもの作りをしている個人の方々と、個人が作ったものを欲しいというファンの方々をマッチングするプラットフォームです。手作りの世界観の中で、やり取りが行われています。
ハンドメイドマーケットサービス「minne」の事例

佐藤:「minne」には現在、1,837万点の作品が登録されています。アクセサリーや洋服、食べ物、家具など、さまざまなジャンルの商品が並び、それぞれの作家活動やブランドとして取り組まれているものが登録されています。
ハンドメイドマーケットサービス「minne」の事例

佐藤:97万人のユーザーにご登録いただいています。
また、リアルで販売する機会も提供しています。スライドにある画像は、さいたまスーパーアリーナで開催されている「minne」のハンドメイドマーケットです。
過去にはビッグサイトでも開催したことがあり、数万人が集まる規模のイベントも実施しています。ハンドメイドの世界観を、さまざまな方々が楽しんでいるサービスです。
その他事業

佐藤:その他の事業についてです。2020年以降に提供を開始したサービスとして、「GMO即レスAI」というAIサービスや、「Alive Studio(アライブスタジオ)」という配信者向け画面作成サービスを新規事業として取り組み始めています。
連結業績予想(3か年)

佐藤:業績の推移をご紹介します。2026年は予想値となりますが、売上高と営業利益の3年間の推移はスライドの記載をご参照ください。
連結業績予想内訳(3か年)

佐藤:売上は若干横ばいの状況です。先ほど触れたストック率の話にも関連しますが、現在、フロービジネスとストックビジネスの比率を見直しており、ストック比率を上げ、フロー比率を下げています。
一方、利益率はストックビジネスのほうが高いため、営業利益は成長している状況です。
2026年12月期 配当予想(3か年)

佐藤:配当は先ほどもお伝えしたとおり、普通配当は着実に成長し、増配傾向にあることがご確認いただけるかと思います。
2027年12月期の連結売上高/営業利益目標

佐藤:成長戦略についてご説明します。当社は、2027年に12億6,000万円の営業利益を目指す計画を立てています。
足元では、ストックとフローのビジネスモデルの入れ替えにより売上が停滞していますが、新規事業も少しずつ積み上げており、売上の成長が見込まれる状況です。
今後の仲間づくり(M&A)方針

佐藤:オーガニックな成長だけでなく、M&Aを通じた成長も検討しています。現在、30億円規模の仲間づくりを進めている状況です。いくつかの事業シナジーや、現在のストックベースをさらに拡大するための基盤作りとなる投資を検討しています。
今後の仲間づくり(M&A)方針

佐藤:その中で、既存事業と新規事業に関して、いくつかの方針で取り組んでいるところです。
坂本:1ページ前のスライドで、30億円規模のM&Aについてお話しされていましたが、これは1社への投資最大額と考えてよいでしょうか? それとも、複数社への分散投資を計画しているのでしょうか?そのあたりのイメージがあれば、お話しいただける範囲でご教示ください。
佐藤:30億円という枠は決めていますが、実際に1社に対して30億円を投資できるかどうかについては、相手方の状況や我々のタイミングも関わってきます。そのため、どちらのパターンも想定しながら検討を進めています。
30億円という金額は、当社のキャッシュ状況や損益計算書(P/L)を考慮した上で設定しています。例えば、突然減損のリスクが生じる可能性や、のれんの償却も含まれるため、既存事業をしっかり成長させながら仲間となる企業を増やしていくという観点での金額です。
そのため、P/Lの成長を伴えるようにバランスを取ることを意識しつつ、いくつかの投資案件を検討している状況です。
今後の仲間づくり(M&A)方針

佐藤:スライドのリストにあるように、さまざまな事業シナジーや事業内の組み合わせを活用し、仲間づくりを目的とした案件の検討を進めています。
坂本:優先順位があるとしたら、既存事業や新規事業の考え方、事業規模の拡大、技術獲得、人材獲得などがありますが、どの部分にプライオリティを置いているのでしょうか? お話しいただける範囲で教えてください。
すべてに優先順位をつけることは難しいかもしれませんが、いくつか挙げることで、聞いている方もイメージが湧くかと思います。
佐藤:やはり、一番大きいのは「ストックを増やす」という部分です。一定の会員基盤を持つ企業や、当社の既存事業にオプションとして提供することでさらにスケールする技術を持つ企業を中心に視野に入れています。
坂本:投資家として気になる点ですが、既存サービスを展開している企業を買収する場合、ある程度は利益率を落としてでも買収を考えるのでしょうか?
もちろん割合にもよりますが、営業利益で考えると5パーセント程度の利益率低下であれば許容範囲かと思います。この点については、どのようにお考えでしょうか?
佐藤:現在、2027年の目標数値は設定しています。そのため、極端な投資を行うことで目標数値とのギャップが生じてしまう場合には、そのような挑戦はしないだろうと考えています。
GMOペパボの成長戦略

佐藤:成長戦略を3点、ご紹介します。
事業セグメントと主力サービス

佐藤:まずは、ストック型ビジネスについてです。当社の事業では、青色で囲んでいる部分がストックビジネスの領域となっています。全体の約8割が当社のストックビジネスに該当します。
売上高 (ストック型ビジネス)

佐藤:その中でも、比率に関してはフロービジネスモデルからストックビジネスモデルへのいくつかの転換を進めており、実際にストックが積み上がっています。昨年は3ポイントほど上昇しており、今後も意識的に伸ばしていきたいと考えています。
法人向け新サービス展開の背景

佐藤:法人向けに関する取り組みについてお話しします。当社はこれまでの事業の成り立ちから、個人向けの表現活動を支援するサービスを提供してきました。
しかし、国内のインターネット普及率が9割を超え、多くの方々がネットで情報を発信することが当たり前となった現状において、当社も戦略の見直しを進めています。
これまでは安価で簡単に、幅広い方々が定期的に利用できるサービスを多数展開する戦略を軸にしてきました。しかし、現在はその方向性を徐々に転換し、法人ニーズに対応した方向へと舵を切っている状況です。
現在は、生成AIの活用や企業がインターネットを通じた売上向上・生産性改善を目指す動きに応じて、既存事業だけでなく新しい法人向けサービスも投入し、収益の拡大を図っています。
この結果、ARPUの向上を目指すとともに、顧客層もSMB領域から徐々にエンタープライズ領域へと拡大を進めたいと考えています。
ロリポップ!固定IPアクセス

佐藤:現在取り組んでいる事業として、「ロリポップ! 固定IPアクセス」があります。
VPNの市場規模は年々成長しており、特に法人においては、セキュリティに関する懸念からセキュアな環境で利用したいというニーズや、海外出張者が国内で通信できないためにVPNを通じてアクセスしたいという要望、さらには拠点間で専用の回線を持ちたいというニーズがあります。
当社では、それらのニーズに対応するため、現時点で実現可能な技術を提供しており、この領域でも成長を遂げています。
ムームードメイン周辺の新しいオプションを展開

佐藤:「ムームードメイン」では、「Google Workspace」の取り扱いを開始しています。
「Google Workspace」は以前から存在するGoogleアプリケーションですが、特に最近では「Gemini」の活用が増加しており、生成AIを導入したい企業さまや個人のSMB領域でも、利用が拡大しています。
必要となるのは「Google Workspace」だけでなく、ドメインも同様です。ドメインを利用することで、例えば「Gmail」を独自ドメインで使用したり、自社のドメインでアクセスしたりできるようになります。つまり、ドメインがセットになっていることが重要です。
当社は昨年からこの分野への取り組みを始め、現在急激に伸ばしている状況です。この分野には、当社のドメイン市場だけでなく、ソフトウェアビジネス市場も獲得できる可能性が残されていると考えています。
ドメイン・レンタルサーバー(ホスティング)事業 新サービス 売上高、KPI推移

佐藤:「ムームードメイン」においては、「Google Workspace」やオプションのサーバーなどの取り組みを進めています。これらの売上も昨年大きく伸びており、当社としては今後さらに拡大を目指したいと考えています。
坂本:新サービスの売上は順調に伸びているように見えますが、この急拡大の背景について、もう少し詳しく教えていただけますか?
佐藤:当社がこれまで培ってきた技術力や、ユーザーさまの基盤の上に新しいアプリケーションやオプションを提供することで成長を遂げています。
例えば「ロリポップ! 固定IPアクセス」の場合、特に制作会社向けの機能を提供しており、「ロリポップ!」と「ヘテムル」のサービスに、固定IPアクセスを組み合わせて利用いただくことが増えています。
また「ムームードメイン」のユーザーは、これまではドメインを活用してWebサイトを持つだけでしたが、新たに「『Google Workspace』を使いたい」という需要が生まれています。このような事業やサービス間のシナジーがうまく機能していることが、成長の背景だと考えています。
坂本:新サービスの粗利を拝見すると、ストックの比率が高いように思いますが、既存サービスに比べて良いものなのでしょうか? また、その結果、全体的な利益にどのように影響があるのかおうかがいしたいです。
佐藤:フロー型と比較すると、ストック型のビジネスであるため、利益率は非常に高いといえます。一方、現時点ではまだサービスが投資段階にあるため、収益化にはもう少し時間がかかる見込みです。
引き続き時間をかけて利益率を引き上げ、最終的には高利益率の商品へ成長させていく予定です。
坂本:売上も、このままの勢いで成長が見込めるという理解でよろしいでしょうか?
佐藤:そうですね。特に足元の企業さまのニーズが、これまで当社が取り組んでこなかった領域に合致しており、拡大の余地は十分にあると考えています。
坂本:このサービスは、御社がもともと手がけていたリソースを活用し、さらに拡大していくということですが、他社も同様の取り組みを行っているのでしょうか? もちろんすべてが同じではなく、重なる部分もあるとは思いますが、これを実現できる企業はほかにも存在しますか?
佐藤:似たような商品やサービスは過去にも存在していましたが、当社独自の解釈や使いやすさには、他社ではなかなか真似できない部分があると思います。模倣される可能性はあるものの、当社の独自の切り口で実現している点が強みだと考えています。
AI活用 ペパボのカスタマーサービス部門をAI活用により最適化

佐藤:AIの活用についてです。当社は事業面だけでなく、オペレーションの部分にも積極的に取り組んでいます。
例えば、2年前から「ChatGPT」がリリースされ、生成AIの利用が大幅に増えてきたタイミングで、当社のサービスはデイリーで1,000件ほどのお問い合わせをお客さまからいただいています。
それらすべてのお問い合わせに対して、AIを利用して一次対応を行う取り組みを2年前に開始しました。その成果が、スライド左側に記載されている数字に表れています。
また、この成果を受け、社内でお問い合わせ業務を担当していたメンバーは異なる職種に異動するなど、リスキリングによって新たな事業を生み出せるようになりました。
さらに当社では、生成AIの社内活用をさらに事業化するアプローチも開始しています。
GMO即レスAIの企業利用拡大

佐藤:その中で生まれたサービスが、「GMO即レスAI」です。
企業のDX化、特に問い合わせ対応などのオペレーション部分においてはAI対応が進んでいます。その中でもエージェントが解決できる領域に対して、エージェント導入の支援を提供しています。
当社がこれまでアプローチできなかったエンタープライズ領域や自治体にも導入いただける、ストック型ビジネスモデルを構築できている状況です。
坂本:「GMO即レスAI」の機能がどのように利用可能なのかはスライドに記載されていますが、企業利用が現状どのように拡大しているのか、また、将来的にはどのような場面で使えるのかを含めて教えていただけますか?
佐藤:まず、当社が実現したのは、お客さまからの問い合わせに対して、AIがチャット形式などで回答できる仕組みの導入です。こちらは非常にシンプルで、企業さまにとってもわかりやすい取り組みであると考えています。お客さまの問い合わせにAIが対応し、解決を図ることが可能です。
例えば、自治体さまであれば「ゴミの処分がわかりません。このゴミはどのように処分したらいいですか?」「何曜日に出せばいいですか?」といった問い合わせには、回答BOTがその役割を果たします。
また、当社自身も取り組んでいますが、社内の問い合わせ対応もAI化しています。
例えば、人事部門に寄せられる「この届け出を出さなければいけないのですが」という社内連絡に、これまでは人事担当者が直接対応していました。しかし、最初の段階をAIで解決する仕組みを導入することで、担当者が他の業務に専念できるようになります。このように、AIは社外での活用にとどまらず、社内や自治体での活用にもつながります。
これまでは問い合わせ対応が中心でしたが、当社ではAIエージェントの活用を進め、導入支援を行っています。その結果、例えばカスタマーサポート(CS)の対応速度の向上や、業務改善も可能になると考えています。
坂本:問い合わせが多い業務は、カスタマーサポートに直接結びつけることで改善が進みますね。それによって、業務効率は大幅に向上しそうですね。
本日のまとめ

佐藤:最後に、本日のまとめです。ストック比率を上げていく中で、売上はまだ横ばいですが、新規事業が立ち上がってきており、こちらは成長領域であると考えています。
営業利益は、AI活用や売上のストック増加による影響で上昇しており、この利益を配当などでしっかりと還元したいと考えています。今後もストックベースを特に法人領域で強化し、事業成長を実現していきたいと考えています。
質疑応答:各セグメントにおける競合優位性について
飯村美樹氏(以下、飯村):「各セグメントにおける競合優位性を教えてください」というご質問です。
佐藤:まず、ホスティング、ドメイン・レンタルサーバーの領域についてです。当社は20年以上にわたりこの領域でビジネスを展開し、多くのユーザー基盤を築いてきました。
この中で、オペレーションやサポートの品質においてはNo.1だと自負しています。また、価格や機能面においてもNo.1であると感じています。
今後は、AIの活用や法人向けDX化に関するさまざまな機能を追加し、機能改善のスピードや既存のユーザー基盤を活用することで、さらなる差別化を実現できると考えています。
ECに関しては、特にECサイトを開始して成長しているユーザーさまとともに、事業成長を実現するための機能追加を継続的に行っていきます。
今後、例えばマーケティングやEC領域で当社にしかできないこと、具体的にはAmazonとの取り組みとして、「Amazon Pay」というAmazonのデータを活用してそのまま決済ができる機能や、「Amazon Pay」の「Buy Now」という、オンライン上でAmazonと同様にボタン一つで購入できる体験を、国内で初めて実現しています。
このような取り組みは当社だからこそ可能であり、企業さまとの連携を通じて実現できる優位性を備えていると感じています。
質疑応答:ファクタリングビジネスの事業方針と譲渡について
飯村:「金融支援事業とはどのようなものだったのでしょうか? なぜ売却に至ったのか、教えてください」というご質問です。
佐藤:金融支援事業は、当社の事業シナジーがあると考えて始めたものです。「FREENANCE(フリーナンス)」というサービスで、個人の方々の中でも、特にフリーランスでお仕事をされている方々向けのファクタリングビジネスモデルを展開しました。
当社には多くのインターネット関連でWebサイトを運営している制作会社さまや、フリーランスでプログラミングをされている方々がいらっしゃいます。
そのような方々のお仕事のキャッシュフローを改善する目的で始めた事業でしたが、初めて手掛けた金融ビジネスということもあり、一部うまくいかなかった部分があります。
「FREENANCE」はどちらかと言えばフロー型のビジネスモデルに近く、ストックを強化しようと考えた際、事業注力が難しいという判断に至りました。そのため、最も適した会社が見つかり、そちらに事業をお譲りしました。
質疑応答:「SUZURI」における版権判別の取り組みについて
坂本:「『SUZURI』に関して質問です。ネット上でユーザーが注文できるサービスかと思いますが、ブランドやアニメなどの版権が含まれている画像は、AIを活用した商品化の不可判定には取り組んでいますか?」というご質問です。
佐藤:おっしゃるとおり、そのままにしてしまうと、有名な漫画作品やブランドのロゴなどを不正利用される可能性があります。そのため、先ほど「GMO即レスAI」でお話ししたように、実は2年ほど前にAIを活用する以前から、機械学習を用いて判別を行う取り組みを進めてきました。
その頃からすでにAIによる判別精度が向上してきており、注文が入ったタイミングできちんとチェックを行い、不適切なものは排除しています。
しかし、現在では判別の精度があまりにも高くなりすぎていて、実際に版権をお持ちの方が作成したものまで弾いてしまうことがあります。版権を持っている人が投稿したことをAIが認識できずに弾いてしまう場合があるほどに、弾く精度は高まっています。
飯村:そこまでしっかりと厳密なものだということですね。
佐藤:特に、当社のイラストレーターやYouTuberの方々にご利用いただいている中では、その方自身のロゴであっても弾かれてしまうことがあります。
飯村:そこは、人間同士でしっかりとやり取りができれば問題ありませんね。
質疑応答:3事業間のシナジーについて

坂本:「ドメイン・レンタルサーバー事業とEC支援事業、ハンドメイド事業の3事業間のシナジーがあれば教えてください」というご質問です。
佐藤:各事業に関して、我々はドメインを取っていただき「ロリポップ!」や「カラーミーショップ」を使うといった取り組みをずっと続けてきました。
例えば、「minne」を利用されているハンドメイド作家が「SUZURI」で活動を開始したり、「カラーミーショップ」で自分のオリジナルショップを作ったりするパターンもあります。
また、最近では「Alive Studio」が注目されています。こちらは、YouTuber、VTuber、ゲーム配信者の方が配信時の画面をデザインするためのサービスです。YouTubeの配信画面下部に「SUZURI」の自作グッズを表示させることで、VTuberやゲーム配信者の視聴者は、配信を楽しみながらその場で手軽にアイテムを注文できます。
さらに、視聴者が「SUZURI」を通じてアイテムを購入した場合、配信画面上に「SUZURI」で購入が完了した旨が表示される機能もあります。このように、サービス間での連携を進めています。
質疑応答:「カラーミーショップ」の海外展開について
坂本:「『カラーミーショップ』は、海外展開はどのような感じですか? グローバルに展開されるのか、その構想を教えてください」というご質問です。
佐藤:私自身、苦い経験もあります。以前、海外向けに英語版の「カラーミーショップ」のようなものを提供したことがありましたが、マーケティングがうまくいかず、一度事業として撤退した部分があります。
一方、現在「カラーミーショップ」をご利用いただいているショップさまからは、海外展開を望む声をいただいています。
こちらに対し、海外のお客さまが「カラーミーショップ」のサイトを閲覧し、代理で購入して配送が可能となる仕組みを提供しており、多くの方にご活用いただいています。
坂本:それは、ある意味では海外展開のようなかたちだと言えますね。
質疑応答:新規事業への取り組み方針について
坂本:新規事業は、これまでもさまざまなトライをされ、成功したものが残っていると考えています。事業ごとに違いがあると思いますが、立ち上げから運用に至るまでの期間は、どのくらいですか?
投入する資金と人員、さらには想定売上によっても、方針が変わるとは思いますが、その中でも御社としての規律や「このような事業をやりましょう」という基準、事業領域を守る方針があるのではないかと思います。
グループ全体でさまざまな取り組みをされているかと思われるため、回答が難しい広範な質問になってしまい恐縮ですが、新規事業に対するお考えをお聞かせいただければ幸いです。
佐藤:実際に新規事業の立ち上げに関しては、さまざまなパターンで取り組んでいます。
例えば、全社員による新規事業を考えるプレゼンテーション大会を実施したり、「勝手に作っていいよ」というような開発合宿を年1回イベント形式で開催しています。
ボトムアップで進められる仕組みも整備しており、場合によっては「トップダウンでやってよ」ということもあるため、上下どちらのアプローチも採用しています。
現在進めているのは、「ロリポップ!」というブランドの中でさまざまなサービスが展開できるかどうか、シナジーを活用したサービスを生み出せないかという取り組みです。
足元では「ロリポップ!」や「ムームードメイン」、さらには「カラーミーショップ」の枠組みの中でも活動を進めており、従来よりも労力を抑えつつブランドを活用した事業立ち上げを目指しています。
さらにはオプションやサービス自体も細分化し、これまで以上に期間やコストを抑えて進めることを意識しています。
当社が事業を開始した当初は、期間やコストをかけずに事業を拡大することが可能でした。しかし、現在は最初からセキュリティやマーケティングについても考慮する必要があり、初期投資が大きくなっています。
そのため、現在はスモールスタートを意識しながら事業を立ち上げる方向へと考え方をシフトしています。
佐藤氏からのご挨拶
佐藤:あらためまして、当社はAI活用や法人向け事業の展開を進める中で、ストックビジネスの比率を高めることを目指しています。
また、株主還元を重要な方針と捉え、こちらをしっかりと意識しながら急成長を遂げたいと考えています。引き続き、みなさまのご支援をよろしくお願いします。
当日に寄せられたその他の質問と回答
当日に寄せられた質問について、時間の関係で取り上げることができなかったものを、後日登壇者に回答いただきましたのでご紹介します。
<質問1>
質問:暗号資産の優待を他社口座で受け取る事も可能になる予定はありませんか?
回答:現時点では、他社口座での受け取りに対応する予定はありません。
<質問2>
質問:ストック型の契約は最低利用期間などの定めがあるのでしょうか?
回答:サービスごとに複数の契約期間を設けており、ユーザーさまにはその中から最適な期間をご選択いただきます。長期契約による割引プランも設けています。
<質問3>
質問:「SUZURI」は近い将来どのくらい使われるようになるとみていますか?
回答:個人の表現活動が日常化する中で、「SUZURI」には依然として大きな成長余地があると考えています。現在はオリジナルグッズの作成・販売サービスとしての強みをさらに活かすべく、拡大する「自分買い」需要(自分でオリジナルグッズを作成し、自分で購入または友人・家族にプレゼントする)と法人向け「ノベルティ」需要を取り込んでいく所存です。
<質問4>
質問:新規領域について、もう少し具体的な情報がほしいです。
回答:新規領域では「AI」と「クリエイター支援」の2軸で新たなサービス展開をしています。AIを活用した企業DX支援サービス「GMO即レスAI」や、VTuber・配信者向けの配信画面デザインサービス「Alive Studio」などを提供しており、「Alive Studio」は既に1万5,000人を超えるユーザーさまにご利用いただいています。
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