ドル円、一時155円台に下落 取引自体は閑散=NY為替概況

著者:MINKABU PRESS
投稿:2025/12/30 06:43
ドル円、一時155円台に下落 取引自体は閑散=NY為替概況

 きょうのNY為替市場、ドル円は戻り売りが優勢となり、一時155円台に下落。ただ、いまのところ下値での押し目買いにも支えられ、下押しするほどの下落ではない。海外勢はクリスマス休暇明けで、今週から来年に向けた動きが活発化してくると思われるが、本邦勢は正月休みを控え取引自体は閑散な模様。

 本日は日銀が「主な意見」を公表していたが、一部から日本の実質金利は依然として非常に低水準にあり、日銀の追加利上げは適切だとの認識が示されていた。また、政策金利と中立金利との間には依然として相当の距離があると指摘する委員もいた。短期金融市場ではいまのところ、来年7月までに1回の利上げを織り込んでいるが、高市政権からのプレッシャーもあり、2回までは織り込めていない状況。ストラテジストからは、「日銀が追加利上げ志向であることは分かっているが、常に問題になるのはそのタイミングだ」との指摘が出ていた。

 オプション市場では短期的にドル円の下落リスクをヘッジする取引が優勢となっている。来年はドル安とのシナリオも多く、日銀の追加利上げ観測がさらに強まるようであれば、来年序盤にもドル円は150円を試す展開になるリスクを意識しているのかもしれない。ただ、円安を志向する向きは依然多いのも事実。

 ユーロドルは1.17ドル台で方向感なく上下動。一方、ユーロ円は183円台半ばに下落したものの、21日線の上での上昇トレンドは堅持している。

 ユーロドルは来四半期にかけて上昇を続け、短期的に1.20ドルを超え、モメンタムが維持されれば1.25ドル近辺まで上昇する可能性があるとの見方が出ている。一見するとドル安要因が背景に見えるが、今回の上昇はドイツの緊縮財政からの歴史的転換という固有の要因も大きいという。興味深いのは、現在の値動きがトランプ第1次政権期と驚くほど類似しており、オプション市場でも同様のパターンが確認できると述べている。ただ、この類似した状態が続くと仮定すれば、1.25ドル付近でピークを付けた後、数カ月で反転するシナリオも想定されるという。

 長期金利は中期的にユーロを下支えするが、財政のリスクプレミアム拡大や独仏の政治リスクが意識されれば上値は重くなり、来年後半のユーロ安リスクが高まる。総じてユーロドルは、1.25ドルまでは上昇余地があるものの、その強さは一時的で、1.30ドル超には本格的なドル安が必要だと述べている。

 ポンドドルは1.35ドルを挟んで一進一退の値動き。一方、ポンド円は円高の動きから210円台半ばに値を落とす展開となっら。

 ポンドは年末にかけて次第に上値が重くなり、足元の回復基調が勢いを失いそうな気配が出ている。ただ、いまのところは下押しまでは見られていない状況。11月の英予算案が当初懸念されていたほど悪くなかったことで、投資家がそれまでのポンドショートを縮小し、ポンドは買い戻しが膨らんでいた。しかし、ここに来て年末に向けたポジション調整が入っている可能性もありそうだ。ただし、クリスマス期間で取引量が減少している面は否めない。

 今後のポンドについては、英中銀の追加利下げが逆風になる可能性も指摘されている。

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

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