橋本総業HD Research Memo(6):2026年3月期中間期は想定外の要因で営業減益も、キャッチアップへ

配信元:フィスコ
投稿:2025/12/29 11:06
*11:06JST 橋本総業HD Research Memo(6):2026年3月期中間期は想定外の要因で営業減益も、キャッチアップへ ■橋本総業ホールディングス<7570>の業績動向

1. 2026年3月期中間期の業績概要
2026年3月期中間期の連結業績は、売上高が81,905百万円(前年同期比3.9%増)、営業利益が1,131百万円(同12.2%減)、経常利益が1,689百万円(同11.4%減)、親会社株主に帰属する中間純利益が1,242百万円(同5.1%増)となった。民間住宅投資、民間非住宅投資、公共投資がすべてプラスに推移するなど外部環境は良好だったが、衛生陶器が想定外に低迷したことにより営業減益となった。このため期初の中間期予想に対しても、売上高はほぼ予想どおりだったが、営業利益は269百万円の未達となった。なお、親会社株主に帰属する中間純利益は投資有価証券売却益などの影響により増益となった。

日本国経済は、激動が続く国際政治、物価と金融政策の間で揺れ動く市場、AIやDX化による新たな産業革命など、激しい変動と進化が共存する混沌とした状況にある。建設業界では、建築コスト上昇を背景にリフォームやリノベーションが活況な民間住宅投資、インバウンドの増加や地方創生を背景に機運が高まる民間非住宅投資、下水道などインフラ再構築へ向けて国土強靭化の前倒しが望まれる公共投資と、すべての分野で好調に推移している。一方、人口減少に伴う新築戸建ての減少、人手不足や資材の高騰、中小工務店を中心とした資金不足、これらを要因とする工事の延期や中止などの懸念材料もある。特に民間住宅では、「4号特例」の縮小もあって小規模工務店の業況が厳しくなっている。

こうした環境下、同社は中期計画「HAT Vision 2027」に沿って、「3つのフル」「みらい会活動」「進化活動」といった基本戦略を推進した。また、西日本を中心とする県別体制に向けた出店準備、卸機能向上に向けたソリューション体制の本格的構築、AI導入によるしかけ作りなどを進めた。2026年3月期の「みらい市」は予定どおりすべて実施した(2025年11月末現在)。ハイブリッド開催が定着したこともあってリアルとWebがともに増え、全体で51,378人(前期比23%増)を動員し、セール売上が目標の414億円に対して425億円と上振れ達成した。触って使って試してもらうことができるため、従来あまり売れ行きが良くなかった土木や建機も売れたようだ。

この結果、増収は確保したが、比較的好採算の衛生陶器が低迷した。また住設や空調の伸長による商品ミックスの変化により売上総利益率が低下した。衛生陶器の低迷は、製品の価格改定が相次いだこと等が影響し、汎用製品の需要が減少したことが要因と見られる。また、人件費や配送費、システム関連費用が想定どおり増加したため販管費率が上昇し、営業利益は減益となった。営業利益が期初予想に対して未達になった要因は、比較的採算の良い衛生陶器の売上高構成比が想定外に低迷したことによる。

2026年3月期中間期のトピックスとして、新物流拠点を開設して東京ガスから受発注システム、物流システム、在庫管理業務、日々の配送などを受託するなど、新事業の物流受託事業が順調に立ち上がった。同社の各県1拠点体制に対して大手メーカーでも全国に5〜6拠点しかないため、こうしたメーカーから物流委託の問い合わせが多くなっている。提携関連では、橋本総業が、木工系工務店のネットワークを持つ建材商社である双日建材との間で、構造・省エネ計算から給排水・空調関連の設計まで一気通貫で提供できる木造戸建て住宅向けの設計サービス構築を目指し、共同研究していくことで合意した。また、販売から取付工事までをワンストップサービスで提供するブラストの住設建材事業を譲受することとなった(2026年4月予定)。また、2026年4月に、橋本総業が橋本総業ファシリティーズを特需部門に吸収合併する予定であり、ゼネコンなど大手取引先向けの営業を一体化することで、大型案件の獲得推進、仕入リベートを含むスケールメリット、在庫管理の効率化、管理コストの削減、基幹システムコストの抑制などが期待される。


衛生陶器以外のセグメントは市場平均成長率を上回って順調に推移

2. セグメント別の業績動向
セグメント別の状況は、衛生陶器・金具類以外のセグメントでは増収となった。特に住宅設備機器類と空調機器・ポンプが好調だった。

管材類は、非住宅分野で工期遅延や計画変更などにより金属管材類の需要が減少したが、空調機器類が猛暑の影響などにより関連部材を含めて需要が増加した。値上げで販売数量が減少していた樹脂管材類も塩ビ商材などの汎用製品の需要が増加した。この結果、売上高は市場平均成長率が1%程度下がるなか前年同期比3.2%増となった。衛生陶器・金具類は、高付加価値商品の引き合いは強かったものの、同社シェアの高いTOTOの値上げにより他社への代替が進み需要が減少した。このため、売上高は市場平均成長率が3%程度下がるなか同3.6%減となった。

住宅設備機器類は、給湯省エネ事業などに対する補助金を背景に、前期に引き続き給湯器を中心に高付加価値商品への取替需要が増加した。この結果、売上高は市場平均成長率が4%程度伸びるなか同5.6%増となった。空調機器・ポンプは、空調機器類が全国的な猛暑の影響などにより、特に省エネ性能の高い高付加価値商品を中心に新設・取替ともに需要が増加、北海道においても引き続きオフィス用、家庭用ともに堅調に推移した。ポンプ類も、価格改定の影響により家庭用と増圧ポンプを中心に更新需要が増加した。この結果、売上高は市場平均成長率が6%伸びるなか、同10.4%増となった。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田 仁光)

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