ドル円、156円台に下落 片山財務相の発言に敏感に反応=NY為替概況

著者:MINKABU PRESS
投稿:2025/12/23 06:45
ドル円、156円台に下落 片山財務相の発言に敏感に反応=NY為替概況

 きょうのNY為替市場、ドル円はNY時間に入って戻り売りが強まり、156円台に下落。NY時間に片山財務相のインタビューが伝わり、「為替の過度で無秩序な変動に対し、断固として措置を取る用意がある」とし、市場介入も辞さない姿勢を示していたことに敏感に反応していた模様。

 片山財務相は、先週の植田日銀総裁の会見後に進んだ円安について、「非常に短い時間での動き。完全にファンダメンタルズではなくて投機だ。為替介入も含めた行動を取れるということは日米財務相間の合意事項でもあり、フリーハンドがあるということだ」と説明している。

 ただ、市場では口先介入のリスクは高まる一方、実弾介入を行ったとしても一時的な効果に留まるとの見方も多い。

 ドル円は11月高値に接近しているが、円ショートの巻き戻しも見られていない。市場では、ドル円が160円台を試し続けるのか、それともその前に財務省が実弾介入に踏み切るのか、駆け引きが続いている。
 
 一方、ドル自体も下落。来年は世界経済の見通し改善とも予想されており、今後数カ月はドル安に傾きやすいとの指摘が出ている。今週はクリスマス週で動意薄の中、明日は発表が遅延していた米GDPの公表が予定されており、目先の注目となる。

 ユーロドルは1.1770ドル近辺まで一時上昇。リバウンド相場が続いているが、先週上値を抑えられた1.18ドルを回復できるか注目される。一方、ユーロ円は184円台で上下動。ユーロ高・円高で方向感のない展開。

 ストラテジストは、欧州の政策当局者にとって、対ドルのユーロ相場よりも対人民元のユーロ相場の方が大きな考慮事項になる可能性があると述べている。ECBの予測によると、ユーロドルは2028年までに1.27ドルまで上昇する可能性があるが、これはインフレを下げる上では大きな影響を与えないと指摘。

 むしろ、ユーロ・人民元相場の影響を、特に生産者物価指数を通じた影響をモデル化する時期に来ており、ユーロ高に対する政治的な反発圧力が最も強くなる可能性が高いという。ラガルドECB総裁は先週、ECBがユーロ・人民元相場を注視していると述べていた。

 ポンドドルは1.34ドル台半ばに上昇。100日線、200日線でサポートされており、11月に入ってからのリバウンド相場を持続している。一方、ポンド円は先週末の急伸から上げ一服となっているものの、2008年以来の211円台の高値水準で推移。

 きょうは第3四半期の英GDP確報値が公表されていたが、改定値から変わらず、前期比0.1%の成長に留まった。ただ、エコノミストは英経済は以前考えられていたよりは少し健全に見えると述べている。企業の設備投資が0.3%減から1.5%増に上方修正された一方、実質家計所得の減少にもかかわらず個人消費は上方修正された。家計の貯蓄率は第2四半期の10.2%から9.5%に低下し、1年以上ぶりの低水準となっている。

 とはいえ、このデータは過去を振り返るもので、今年下半期のGDPの伸び鈍化の状況を変えるものではないという。月次GDPから英経済は、直近7カ月のうち2カ月しか拡大していない。

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

このニュースはみんかぶ(FX/為替)から転載しています。

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