*09:20JST NSW Research Memo(10):中期経営計画の目標達成を目指し、事業戦略、経営基盤戦略、投資戦略を推進(3)
■NSW<9739>の中長期の成長戦略
2026年3月期中間期の取り組みとして、コア事業の拡大では、日本の農業は高齢化、人材不足の問題を抱えていることから、農作業の効率化・省力化のためにDXに着目した。デバイス提供型ビジネスへのダイナミックな進化について、エンベデッドソリューション事業との連携による開発工程の包括対応を通じて、大規模案件の積極受注を推進している。2025年7月の青森での実証実験に続き、11月には、台湾の工業技術研究院(ITRI)と共同で、台湾でのスマート農業向け自律走行ロボットの実証実験を開始し、日本と台湾間におけるデータのフィードバックによりスマート農業ロボットの実用化を加速する。今後は、ターゲット顧客の拡大や、海外市場を視野に入れたビジネススタイルへの変革に取り組む。また、注力分野では、デバイス提供型ビジネスの強化・拡大として、フルターンキー案件の受注強化とLite ASIC(ある特定の用途のために設計、製造される集積回路)ビジネスの拡張に取り組んだ。今後は、“設計品質”から“製品品質”へ範囲拡張に取り組む。
3. 経営基盤戦略
「人材価値の向上」「グローバル展開」「サステナビリティ推進」「ブランド力強化」を目指して、「事業成長を支える人材強化の取り組み」「経営基盤強化に向けた多面的な取り組み」を推進する。
(1) 事業成長を支える人材強化の取り組み
「育成・教育強化」では、教育システムのレベルアップ、ナレッジ蓄積による独自の学習基盤構築、技術力強化とマインドチェンジを推進し、資格取得者数を前中期経営計画期間中の800名から、本中期経営計画期間中には1,200名を目指す。「健康経営とWell-being」では、メンタル面とフィジカル面双方をサポートし、ワークライフバランスの実現を図る。「採用強化」では、本中期経営計画期間中に新卒採用500名、キャリア採用200名を行い、グループ社員数を2025年3月の2,487名から2028年3月には2,800名に増やす計画だ。
2026年3月期中間期の取り組みとしては、育成・教育強化では、オンライン学習プラットフォームの導入、学習ルートの整備に取り組み、資格取得者数は前期比30%増加した。今後は、階層別研修・キャリア形成に活用し、組織全体の基盤の底上げにつなげる。採用強化では、新卒採用状況は前期比15%増加した。今後は、ブランドマネジメントと並行してアプローチ強化を図る。健康経営とWell-beingでは、男性育児休業取得率は69%に達した。今後も、制度の改善や各種認定制度の取得に取り組む。
(2) 経営基盤強化に向けた多面的な取り組み
「グローバル展開」として、将来的なマーケット及びパートナーを見越した地域選定、戦略的な海外技術及び海外サービスの日本市場への導入を目指す。「ブランド力強化」では、CM/広告/スポーツ協賛等への積極的な取り組み、企業価値向上に向けた株主及び投資家向けのIR強化を図る。「サステナビリティ推進」では、事業活動を通した環境負荷の低減、ダイバーシティ推進、コーポレートガバナンスの強化に取り組む。具体的な目標としては、採用者に占める女性労働者の割合を、2025年3月期実績の18%から2027年3月期には25%に、同様に男性育児休業率を37%から70%に引き上げる。さらにGHG排出量(Scope1+Scope2)を2013年度実績の14,240から、2030年度には半減させることを目標に掲げている。
2026年3月期中間期の取り組みとしては、グローバル展開では、海外市場・海外パートナーの開拓に向けた視察が増加した。今後は、将来的な海外拠点を視野に入れ推進する。サステナビリティ推進では、BPの最適化に向けた取り組みを行った。今後は、サプライチェーンの最適化を図る。ブランド力強化では、周年広告・スポーツ協賛やCM放映に取り組んだ。創立60年を機に、2025年8月より俳優の杉咲花さんを起用したCM放映を開始しており、採用面での認知度向上の効果を期待する。
4. 投資戦略
「競争力の源泉となる戦略的な投資」を目指す。
・事業戦略及び経営基盤戦略の実現に向けた投資
「投資戦略」としては、中期経営計画の3年間で最大100億円規模の投資を計画する。これは、貸借対照表に計上される資産と損益計算書に反映される費用を含む概算である。その内訳として、「事業戦略」では、各セグメントの施策実現を支援することで事業の最大化を目指すために、研究開発投資とビジネス開発投資で合計50億円を計画する。次に「経営基盤戦略」として、中長期的な視点による人材への投資を中心に強固な経営基盤の構築を目指すために、人的資本投資とブランドマネジメントに50億円を投じる計画だ。
2026年3月期中間期の取り組みとしては、事業戦略投資として、研究開発投資及びビジネス開発投資では、各セグメントの事業戦略拡大に向けた人材育成や技術・マネジメント教育、自社商材やソリューション開発、全社横断のAI活用推進、海外活動強化などへの投資を行い、投資規模は合計5億円であった。経営基盤戦略投資として、人的資本投資では、賃上げ、職場環境改善等の処遇改善や、社内教育プラットフォーム強化に投資し、投資規模は4億円であった。ブランドマネジメントでは、周年広告・スポーツ協賛やCM放映に投資し、投資規模は5億円であった。半年間の投資規模実績は合計14億円で、3年間で100億円規模の計画に対して順調なスタートを切っている。
5. グループ経営目標
以上のとおり、中期経営計画では「事業戦略」「経営基盤戦略」「投資戦略」の推進により、グループ経営目標として2028年3月期には売上高600億円(年平均成長率6.25%)、営業利益率12%、ROE10%以上、配当性向30%以上を掲げている。計画初年度の2026年3月期には売上高は横ばい、営業利益は16.6%の減益、営業利益率も10.0%への低下を予想しているが、これは米国の関税の影響を織り込み、また将来の成長に向けた投資に伴い経費増を織り込み、控えめな業績予想としているためである。中期経営計画は将来に向けて力をつける3年間と位置付け、必要な投資も含めて業績は計画どおりに進捗している。中期経営計画に沿って成長戦略を実施すれば、最終年度のグループ経営目標は達成可能であると弊社では見ている。今後の業績の推移及び成長戦略の推進状況に注目したい。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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2026年3月期中間期の取り組みとして、コア事業の拡大では、日本の農業は高齢化、人材不足の問題を抱えていることから、農作業の効率化・省力化のためにDXに着目した。デバイス提供型ビジネスへのダイナミックな進化について、エンベデッドソリューション事業との連携による開発工程の包括対応を通じて、大規模案件の積極受注を推進している。2025年7月の青森での実証実験に続き、11月には、台湾の工業技術研究院(ITRI)と共同で、台湾でのスマート農業向け自律走行ロボットの実証実験を開始し、日本と台湾間におけるデータのフィードバックによりスマート農業ロボットの実用化を加速する。今後は、ターゲット顧客の拡大や、海外市場を視野に入れたビジネススタイルへの変革に取り組む。また、注力分野では、デバイス提供型ビジネスの強化・拡大として、フルターンキー案件の受注強化とLite ASIC(ある特定の用途のために設計、製造される集積回路)ビジネスの拡張に取り組んだ。今後は、“設計品質”から“製品品質”へ範囲拡張に取り組む。
3. 経営基盤戦略
「人材価値の向上」「グローバル展開」「サステナビリティ推進」「ブランド力強化」を目指して、「事業成長を支える人材強化の取り組み」「経営基盤強化に向けた多面的な取り組み」を推進する。
(1) 事業成長を支える人材強化の取り組み
「育成・教育強化」では、教育システムのレベルアップ、ナレッジ蓄積による独自の学習基盤構築、技術力強化とマインドチェンジを推進し、資格取得者数を前中期経営計画期間中の800名から、本中期経営計画期間中には1,200名を目指す。「健康経営とWell-being」では、メンタル面とフィジカル面双方をサポートし、ワークライフバランスの実現を図る。「採用強化」では、本中期経営計画期間中に新卒採用500名、キャリア採用200名を行い、グループ社員数を2025年3月の2,487名から2028年3月には2,800名に増やす計画だ。
2026年3月期中間期の取り組みとしては、育成・教育強化では、オンライン学習プラットフォームの導入、学習ルートの整備に取り組み、資格取得者数は前期比30%増加した。今後は、階層別研修・キャリア形成に活用し、組織全体の基盤の底上げにつなげる。採用強化では、新卒採用状況は前期比15%増加した。今後は、ブランドマネジメントと並行してアプローチ強化を図る。健康経営とWell-beingでは、男性育児休業取得率は69%に達した。今後も、制度の改善や各種認定制度の取得に取り組む。
(2) 経営基盤強化に向けた多面的な取り組み
「グローバル展開」として、将来的なマーケット及びパートナーを見越した地域選定、戦略的な海外技術及び海外サービスの日本市場への導入を目指す。「ブランド力強化」では、CM/広告/スポーツ協賛等への積極的な取り組み、企業価値向上に向けた株主及び投資家向けのIR強化を図る。「サステナビリティ推進」では、事業活動を通した環境負荷の低減、ダイバーシティ推進、コーポレートガバナンスの強化に取り組む。具体的な目標としては、採用者に占める女性労働者の割合を、2025年3月期実績の18%から2027年3月期には25%に、同様に男性育児休業率を37%から70%に引き上げる。さらにGHG排出量(Scope1+Scope2)を2013年度実績の14,240から、2030年度には半減させることを目標に掲げている。
2026年3月期中間期の取り組みとしては、グローバル展開では、海外市場・海外パートナーの開拓に向けた視察が増加した。今後は、将来的な海外拠点を視野に入れ推進する。サステナビリティ推進では、BPの最適化に向けた取り組みを行った。今後は、サプライチェーンの最適化を図る。ブランド力強化では、周年広告・スポーツ協賛やCM放映に取り組んだ。創立60年を機に、2025年8月より俳優の杉咲花さんを起用したCM放映を開始しており、採用面での認知度向上の効果を期待する。
4. 投資戦略
「競争力の源泉となる戦略的な投資」を目指す。
・事業戦略及び経営基盤戦略の実現に向けた投資
「投資戦略」としては、中期経営計画の3年間で最大100億円規模の投資を計画する。これは、貸借対照表に計上される資産と損益計算書に反映される費用を含む概算である。その内訳として、「事業戦略」では、各セグメントの施策実現を支援することで事業の最大化を目指すために、研究開発投資とビジネス開発投資で合計50億円を計画する。次に「経営基盤戦略」として、中長期的な視点による人材への投資を中心に強固な経営基盤の構築を目指すために、人的資本投資とブランドマネジメントに50億円を投じる計画だ。
2026年3月期中間期の取り組みとしては、事業戦略投資として、研究開発投資及びビジネス開発投資では、各セグメントの事業戦略拡大に向けた人材育成や技術・マネジメント教育、自社商材やソリューション開発、全社横断のAI活用推進、海外活動強化などへの投資を行い、投資規模は合計5億円であった。経営基盤戦略投資として、人的資本投資では、賃上げ、職場環境改善等の処遇改善や、社内教育プラットフォーム強化に投資し、投資規模は4億円であった。ブランドマネジメントでは、周年広告・スポーツ協賛やCM放映に投資し、投資規模は5億円であった。半年間の投資規模実績は合計14億円で、3年間で100億円規模の計画に対して順調なスタートを切っている。
5. グループ経営目標
以上のとおり、中期経営計画では「事業戦略」「経営基盤戦略」「投資戦略」の推進により、グループ経営目標として2028年3月期には売上高600億円(年平均成長率6.25%)、営業利益率12%、ROE10%以上、配当性向30%以上を掲げている。計画初年度の2026年3月期には売上高は横ばい、営業利益は16.6%の減益、営業利益率も10.0%への低下を予想しているが、これは米国の関税の影響を織り込み、また将来の成長に向けた投資に伴い経費増を織り込み、控えめな業績予想としているためである。中期経営計画は将来に向けて力をつける3年間と位置付け、必要な投資も含めて業績は計画どおりに進捗している。中期経営計画に沿って成長戦略を実施すれば、最終年度のグループ経営目標は達成可能であると弊社では見ている。今後の業績の推移及び成長戦略の推進状況に注目したい。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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