今週のポイント
このところ全般的に米ドル安が進行しており、先週米ドル/カナダドルは約5カ月ぶりの安値を記録し、豪ドル/米ドルは約2カ月ぶり、NZドル/米ドルは約5カ月ぶりの高値をつけました。トランプ関税やパウエルFRB議長をめぐる新たな報道次第では、米ドル安が一段と進む可能性があります。
主要国の株価に大きな動きが見られれば、株価動向も材料になると考えられます。主要国の株価が下落を続ければ、リスクオフ(リスク回避)が強まるとともに、豪ドル/円やNZドル/円などのクロス円が軟調に推移しそうです。
TCMB(トルコ中銀)は17日に会合を開き、利上げを決定。主要政策金利の1週間物レポ金利を42.50%から46.00%へ、上限の翌日物貸出金利を46.00%から49.00%へ、下限の翌日物借入金利を41.00%から44.50%へと引き上げました。TCMBは声明で、利上げの理由を「4月のコアインフレ率は、最近の金融市場の動向(トルコリラ安)を受けて若干上昇すると予想される」、「先行指標は、内需が想定から上振れており、ディスインフレに及ぼす影響が弱まっていることを示唆している」と説明しました。
声明はまた、「インフレ率の大幅かつ持続的な悪化が見込まれる場合、金融政策スタンスを(さらに)引き締める」と表明しました。今回の会合で利上げを実施し、今後必要なら追加利上げを行うとの姿勢をTCMBが示したことは、トルコリラを下支えする可能性はあります。
今週の注目通貨ペア(1):<豪ドル/NZドル 予想レンジ:1.06000NZドル~1.08000NZドル>
豪ドル/NZドルは4月18日に一時1.06757NZドルへと下落し、24年3月以来およそ1年1カ月ぶりの安値をつけました。
足もとの豪ドル/NZドル下落の主な要因として、RBNZ(NZ中銀)よりもRBA(豪中銀)の方が積極的に利下げするとの市場の観測が挙げられます。
市場の金融政策見通しを反映するOIS(翌日物金利スワップ)によると、市場では12月末までにRBAは合計1.25%の利下げを、RBNZは合計0.75%の利下げを行うとの見方が優勢です。
また、米中貿易摩擦激化によって受ける景気への打撃は、豪州の方が大きいと市場は見ているのかもしれません。豪州とNZはいずれも中国を最大の輸出先とするものの、主力輸出品は豪州が鉄鉱石や石炭、NZは乳製品です。前者の方が中国景気の影響を受け易いと考えられます。
今週は豪州とNZの主要な経済指標の発表はありません。市場のRBAとRBNZの金融政策見通しは大きく変化し難いと考えられます。豪ドル/NZドルは引き続き軟調に推移しそうです。
今週の注目通貨ペア(2):<米ドル/カナダドル 予想レンジ:1.35000カナダドル~1.40000カナダドル>
米ドル/カナダドルは4月18日に一時1.38220カナダドルへと下落し、24年11月上旬以来およそ5カ月ぶりの安値をつけました。
足もとの米ドル/カナダドルの下落は、全般的なドル安によるものが大きいと考えられます。トランプ関税によって米国がスタグフレーション(景気の停滞あるいは後退とインフレ加速が同時に進行する状況)に陥るとの懸念のほか、トランプ大統領がFRB(米連邦準備制度理事会)に利下げするように要求しパウエル議長の解任に言及したことが、米ドルに対する下押し圧力となりました。
米国のスタグフレーションへの懸念が一段と強まる、あるいはトランプ大統領がFRBの金融政策に干渉する姿勢をさらに示せば、米ドル/カナダドルは24年9月安値の1.34166カナダドルに向かって一段と下落する可能性があります。
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