まず“巻き戻し(上方向)”への警戒を強めながらだが…!? - ドル円

著者:武市佳史
投稿:2025/01/28 11:22

◆ 一転して“リスク回避”・・・ - ディープシークショック


昨日は中国新興企業・ディープシークが発表した「格安生成AI」を背景に、マーケットは“リスク回避姿勢”に包まれました。
「巨額のAI投資」に大した疑念が生じる格好となり、これまでそれらに投資してきた米ハイテク企業に対する懸念へとつながったからです。
こうして米半導体大手・エヌビディアを筆頭に、米ハイテク企業大手の株価は軒並み急落する中、“リスク回避→円買い(戻し)”が進行するに至りました。
こうして東京タイムに“156円台(高値は156.249円)”へと上昇していたドル円は、欧州タイム中盤には“昨年12/18以来水準(153.715円)”へと急落しました。

◆ ただ“巻き戻し”も顕著・・・


一方で「米新築住宅販売件数」が“予想を上回り”、「米2年/5年債入札」も“順調に消化”されたことで、その後は“往き過ぎ→巻き戻し”が目立っています。
特にダメを押したのが本日に入って伝わった「トランプ発言(外国製コンピューターチップ&半導体に関税を課す方針)」であり、“155円台(本稿執筆時高値は155.471円)”へと急反発するに至っています。

◆ 結局は“方向感定まらず”を露呈しただけ・・・?


こうして“上を下への乱高下”を見せていますが、結局のところは“方向感定まらず”を露呈したという格好のドル円。
この「トランプ発言効果の持続性」と、そして「ディープシークショック蒸し返しの有無」というのが目先のポイントということになりますが、ただ本日より「中国市場は休場(春節:~2/4)」、また「FOMC」を翌日に控えているだけに、“流動性低下”は否めません。
そうなると前記“上を下への乱高下”を経た直後とあっては“値が飛びやすい”は如何ともしがたいものの、“方向感定まらず”も想定せざるを得ないだけに…?

まずは“巻き戻し(上方向)”への警戒を強めながらにはなりますが、本日も“往き過ぎ(本日は逆に上方向の)”には警戒をしておきたいところです。
“一方向への動意”を期待するほど、まだマーケットは成熟していないと見ますので…。

◆ ドル円 抵抗・支持ライン

※ボラティリティが拡大していますので、いつもより値幅を拡大しています。

156.580(1/24高値)
156.249(1/27高値、日足・一目均衡表基準線、1/10~1/27の50%戻し)
上値5:155.940(ピボット1stレジスタンス、大台)
上値4:155.685(1/10~1/27の38.2%戻し)
上値3:155.594(-1σ)
上値2:155.234(日足・一目均衡表転換線)
上値1:154.926(50日移動平均線、1/10~1/27の23.6%戻し、大台)
前営業日終値:154.519(-2σ)
下値1:154.262(1/27安値後の61.8%押し)
下値2:154.000(大台、1/27安値後の76.4%押し)
下値3:153.870(日足・一目均衡表先行スパン上限)
下値4:153.715(1/27安値、週足・一目均衡表転換線、12/3~1/10の50%押し水準)
下値5:153.406(ピボット1stサポート)
153.334(12/18安値)
153.168(12/17安値、日足・一目均衡表先行スパン下限)

《10:55》

武市佳史
株式会社マネーパートナーズ チーフアナリスト
配信元: 達人の予想