2月24日の海外株式・債券・為替・商品市場

2月24日の海外株式・債券・為替・商品市場
2016/02/25 08:21 JST





NY外為:ポンド下落、1.39ドル割れ-ボラティリティ上昇を警戒

24日のニューヨーク外国為替市場ではポンドが2009年3月以来で初の1ポンド=1.39ドル割れ。トレーダーらはさらに極端な値動きに備えていることを通貨市場の指標は示している。

向こう6カ月の相場変動に備えるオプションの価格は、リーマン・ブラザーズ・ホールディングスの2008年の破綻以降で最高となっている。英国が国民投票で「Brexit」、つまり欧州連合(EU)離脱を選べば、ポンドは投票後1週間以内に1ポンド=1.35ドル以下に下落すると、ブルームバーグの調査に答えたエコノミスト34人中29人が予想した。


HSBCホールディングスの米通貨戦略責任者、ダラフ・マー氏(ニューヨーク在勤)はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、「1.40ドルを少し上回ったところに主要な支持線があったが、それを割り込んだ」と指摘。「不安要因が積み上がりつつあるようだ。市場はかなりポンド・ショートに傾いている。国民投票まで4カ月あり、その結果について特に透明性が高まるとは考えられない。市場で不安が不安を呼ぶ展開になれば、ポンドは引き続き下振れしやすい状況になる」と述べた。


ニューヨーク時間5時現在、英ポンドは前日比0.7%安い1ポンド=1.3927ドル。一時は1.3879ドルまで下げた。対ユーロでは0.6%下げて1ユーロ=79.09ペンス。2014年12月以来の安値をつけた。ドルは対ユーロで1ユーロ=1.1013ドル、対円で1ドル=112円18銭でほぼ変わらず。

EU離脱の場合、ポンドは最大20%値下がりするとHSBCは予想。モルガン・スタンレーは投票の結果いかんにかかわらず、年末までに1.30ドルへの下落を予想している。

HSBCはまた、離脱の場合は対ユーロでポンドは等価水準に向かうとの見方を示した。


スイスクオート・バンクの市場戦略責任者、ピーター・ローゼンストライヒ氏によれば、離脱の結果が投票で出た場合、直後のポンドの取引はかなり困難が予想される。

同氏は「最初の48時間、プライスを得ることさえも難しくなるだろう。従って最終的にどうなるのかは、かなり予測不能だ」とブルームバーグテレビジョンのインタビューで述べた。




◎米国株:上昇、午後に入り反転-エネルギーやテクノロジーが高い

24日の米株式相場は上昇。主要株価指数は朝から軟調な展開が続いていたが、原油相場が上げに転じたことを受けてテクノロジーや商品株を中心に幅広く買いが入り、上昇に転じた。

ナスダック総合指数は前日比0.9%高の4542.61。アップルやフェイスブックの上げが目立った。S&P500種 株価指数は0.4%上昇し1929.80。一時1.6%安まで下げる場面もあった。ダウ工業株30種平均は53.21ドル(0.3%)高の16484.99ドル。

レコン・キャピタル・パートナーズの最高投資責任者(CIO)、ケビン・ケリー氏は「原油相場が上げに転じ、それが株式相場の上昇加速につながった」と分析。「誰もが市場の方向性を見極めようとしている状況のようだ。日中の取引でも上げ下げするように、今後も相場のボラティリティは続く。特に新しいことではない」と述べた。

ニューヨーク原油先物市場ではウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物が一時4%安となったが、最終的に0.9%高で終了した。

S&P500種は2月初めからは0.5%下落しており、このままいけば月間ベースで3カ月続落となる。これは過去4年余りで最長の連続安。

ゴールドマン・サックス・グループの株式ストラテジストらは23日付のリポートで、最近の反発局面はファンダメンタルズに対する自信の強まりというよりは、ポジション取りやショートカバーを反映したものだと指摘。バリュエーションは低下してきているものの、過去との比較では依然高い水準にあり、株価を大幅に押し上げるためにはさらに低下する必要があると記した。

一方でカナコード・ジェニュイティの株式ストラテジスト、トニー・ドワイヤー氏はより強気な見方を示しており、16年末のS&P500種の目標を2175で据え置いた。同氏は顧客リポートで「金融、情報技術、一般消費財のセクターを引き続きオーバーウエートにしており、アンダーウエートにするセクターがあるとすれば公益と電気通信サービスだろう」と指摘。その上で、「向こう数日から数週間にさらに動きが荒れることは十分予想されるが、当社としては現在の水準からの短期的なリスクよりも中期的な好機を引き続き重視している」と記した。

この日発表された経済指標では、1月の米新築住宅販売が市場の予想以上に減少した。西部での販売が2010年5月以来の大幅な落ち込みとなった。

ペンション・パートナーズ(ニューヨーク)の調査ディレクター、チャーリー・ビレロ氏は、「大きな疑問は米経済がリセッション(景気後退)に陥るのかどうかだが、私の考えではその答えはまだ出ていない」とし、「疑問が残っている状況は、ボラティリティの継続につながる。ボラティリティは上方向にも下方向にもなる」と続けた。

S&P500種の業種別10指数では9指数が上昇。素材やエネルギー、情報技術の指数が特に上げた。




◎米国債:反落、原油上昇で逃避需要が後退-朝方は買い優勢

24日の米国債相場は反落。原油高が株式相場を押し上げたため、米国債への逃避需要が弱まり、下げに転じた。

国債利回りはほぼ2週間ぶりの低水準を付けた後、上昇した。石油製品在庫が減少し、原油価格が上昇したことが背景にある。規模340億ドルの5年債入札では需要が強く、最高落札利回りは2013年以来の低水準となった。

クレディ・アグリコルの債券戦略責任者、デービッド・キーブル氏は「原油が上昇し始め、株式市場がリスクオンのモードになった。全てはそれが始まりだ。その結果、米国債は軟調となった」と述べた。

世界的な景気減速がリスク資産とインフレ期待を圧迫し、利回りは過去数週間、株価と原油相場に連動する格好となっている。年初来で米国債のパフォーマンスは米株式を上回っている。ブルームバーグ債券指数によれば、米国債の年初来リターンはプラス2.5%。一方、S&P500種株価指数は5.6%下落。

ニューヨーク時間午後5時現在、10年債利回りは前日比3ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇の1.75%。同年債(表面利率1.625%、2026年2月償還)価格は1/4下げて98 28/32。利回りは今月、1.53%と2012年8月以来の低水準を付ける場面もあった。

利回り低下にウォール街は再び虚を突かれ、2年連続でストラテジストは年明け早々に10年債利回りの下方修正を余儀なくされた。2015年は世界的なデフレ懸念で米国債が上昇し、ストラテジストの年末利回り予想(中央値)は1-2月に0.41ポイント下方修正された。今年は予想中央値が同期間に0.28%引き下げられた。

インフレ期待の低下で利上げペースの予想が後退している。ブルームバーグがまとめたオーバーナイト・イン デックス・スワップ(OIS)データによると、デリバティブ(金融派生商品)市場では12月の連邦公開市場委員会(FOMC)会合かそれ以前の利上げ確率は41%として織り込まれている。昨年末の時点では93%だった。この算出は次の利上げ後に実効フェデラルファンド(FF)金利が0.625%になるとの仮定に基づく。

5年債入札では、海外中央銀行や投資信託を含む間接入札者の落札全体に占める割合が、過去の5年債入札の中で2番目の高水準となった。一方、プライマリーディーラー(政府証券公認ディーラー)の比率は過去最低を記録した。




◎NY金:続伸、2週間ぶり大幅高-逃避需要の買い

24日のニューヨーク金先物相場は続伸。ほぼ2週間ぶりの大幅高となった。世界的な株価が下げたことを背景に、逃避先資産とされる金の買いが強まった。金に連動した投資ファンドを通じた金保有は9日連続で増加した。

デンマークのダンスケ銀行のエコノミスト、イェンス・ペデルセン氏は「年初以降のリスク志向の欠如が金価格にはプラスに作用している」と指摘。「金連動型上場投資信託(ETF)への資金流入は成長懸念や米利上げのリプライシング、分かりづらい中国の為替政策、中東の地政学的情勢の悪化が要因となっている」と述べた。

ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物4月限は前日比1.3%高の1オンス=1239.10ドルで終了。11日以来の大幅上昇となった。

銀先物も上昇。ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のパラジウムは下落、プラチナは値上がりした。




◎NY原油:反発、ガソリン在庫減少を好感-低価格で需要拡大

24日のニューヨーク原油先物市場ではウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物が反発。米エネルギー情報局(EIA)の統計でガソリンの在庫減少が明らかになり、原油の買いを促した。ガソリン小売り価格は7年ぶり安値に近い状況が長期化しており、需要が拡大している。

エネルギー関連の商品に重点を置くヘッジファンド、アゲイン・キャピタル(ニューヨーク)のパートナー、ジョン・キルダフ氏は「石油製品の在庫減少の影響が原油に及び始めた」と指摘。「ガソリン在庫は減少し、需要はかなり強い。低価格がガソリン使用を促し、需要を支えている」と解説した。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のWTI先物4月限は前日比28セント(0.88%)高い1バレル=32.15ドルで終了。EIAの統計発表前には4.1%下げる場面もあった。ロンドンICEのブレント4月限は1.14ドル(3.4%)上昇の34.41ドル。




◎欧州株:ストックス600続落、資源銘柄が安い-世界経済めぐる懸念

24日の欧州株式市場では指標のストックス欧州600指数が続落。原油相場がほぼ終日軟調に推移し、これを受けて世界経済をめぐる懸念が強まった。

資源銘柄の下げが目立ち、2営業日の下落率は9.5%と、昨年8月以来の大きさとなった。英BPと英豪系BHPビリトンが大幅安。ノルウェーのスタトイルと英蘭系ロイヤル・ダッチ・シェルを中心にエネルギー銘柄も下げた。サウジアラビアとロシアが提案した原油生産の現状維持について、イランのザンギャネ石油相が「話にならない」と前日発言したことが背景にある。自動車銘柄と銀行株もこの日は値下がり。

ストックス600指数は前日比2.3%安の320.23で終了。前日は1.2%下げており、この日は9日以来の大幅続落となった。同指数は1年ぶりの大幅高となった先週の流れを引き継ぎ、22日には3週間ぶり高値を付けていた。

MPPM(独エップシュタイン)のギレルモ・ヘルナンデス・サンペレ氏は「先週の相場上昇を利用してキャッシュポジションを積み上げた。ボラティリティが向こう数日に落ち着くとはみていないためだ」と発言。「サウジが市場シェアをイランに与えるよりも、ただ同然で原油を供給するという事実が原油価格を抑え続けるだろう。これが市場への重しとなっている」と語った。

ユーロ圏の株価下落に備えるオプションの価格を反映するVストックス指数は続伸し、年初来の上昇率は49%に達した。銀行株の急落が、世界経済や原油安をめぐる懸念をさらに悪化させ、今年に入ってからの欧州株は上昇基調に入れないでいる。

個別銘柄では、決済処理サービスを手掛けるドイツのワイヤーカードが22%安と、構成銘柄の中で最大の値下がりとなった。同社がオンラインカジノへの米国の規制を逃れ、マネーロンダリング(資金洗浄)にも手を染めたとして、同社上級幹部と取締役らの責任を問うリポートを匿名のショートセラー(空売り投資家)が出したことが背景。ワイヤーカードはこれを「中傷だ」とし、否定している。




◎欧州債:ドイツ30年債が5日続伸、イールドカーブのフラット化進む

24日の欧州債市場ではドイツ30年債が5営業日続伸。超長期債入札が質への逃避から恩恵を受け、期限の短い国債との利回り格差が縮小するイールドカーブのフラット化が進んだ。

欧州債の指標とされるドイツ10年債利回りは昨年4月以来の水準に低下。株安と原油値下がりを背景に、域内で最も安全とされるドイツ国債の需要が高まった。同国債の平均利回りはゼロを下回っており、超長期債の投資妙味が増した。ユーロ圏では月600億ユーロ相当の国債購入とマイナス預金金利でもインフレが押し上げられず、欧州中央銀行(ECB)が3月10日の定例政策委員会で追加措置を決定するとの見方が広がっている。

ドイツ30年債の2年物国債に対する利回り上乗せ幅(スプレッド)は昨年6月以降の最小に縮小。同国はこの日の入札で、2044年7月償還債を10億ユーロ発行した。平均落札利回りは0.77%と、30年債入札としてはこれまでの最低を記録した。

既発債を追加発行する入札の実施はドイツとして初めてだった。中銀が量的緩和(QE)で国債を大量に買い入れている局面では、このような国債発行が投資家の購買対象を広げて流動性の向上に寄与すると、アナリストらはこれまでに指摘している。

RIAキャピタル・マーケッツの債券ストラテジスト、ニック・スタメンコビッチ氏(エディンバラ在勤)は「質への逃避とECB緩和期待、世界経済をめぐって続く懸念がドイツ国債を支え続けている」とし、「一段のECB緩和に対する全体的な期待がドイツ国債の支援要因だ。こうした環境では、投資家らはさらに利回りを追求する可能性があり、これが超長期債を支える」と語った。

ロンドン時間午後4時9分現在、ドイツ30年債利回りは前日比5ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の0.82%。一時は0.80%と、昨年4月30日以来の低水準となった。前日までの4営業日では12bp下げていた。同国債(表面利率2.5%、2046年8月償還)価格はこの日、1.495上げ145.15。2年物国債とのスプレッドは一時6bp縮小の133bpと、昨年6月1日以降では最小となった。

ドイツ10年債利回りは一時0.13%まで下げ、昨年4月22日以来の低水準を付けた。





ブルームバーグ抜粋
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