各国失業率推移の比較(一番左の図、二番目はアングロサクソン3国、三番目は北部欧州)です。
失業率変動の大きい先進国、つまり解雇規制のゆるい先進国(アングロサクソン三国、北欧・ドイツなど北部欧州)ほど、失業率変動は大きいのに平均失業率は低いことが分かります(フランスなど中部欧州はその真逆)。
また、これらの国は総じて経済規模の割に経済成長率も高い。
つまり、解雇規制を緩めたほうが、失業者は減り、失業手当など社会保障コストは減り、(経済成長で)所得も税収も増え、国民は豊かになり、政府財政は良くなっていくのです。
これは解雇規制を緩めることで、雇用のミスマッチが解消され、絶えず人材の再配分、最適配分が進むからです。
これにより経済成長が高まりやすくなり、平均失業率は低下傾向になっていく。
また、解雇規制緩和により不良債権の増大、不況時の連鎖倒産も減るので、不況が深まりにくくなる。
不況時の失業者は増えやすくなりますが、解雇規制がゆるいゆえ企業は労働者を雇いやすく、景気底打ち後の再雇用は速やかに進む。 この点からも平均失業率は低く抑えられることになる。
ちなみに解雇規制がゆるい国(アングロサクソン諸国や北部欧州)でも、失業率の変動は概ね5%以下。 100人中5人以下です。
サラリーマン人生のなかでは大体6回の不況に遭遇しますが、そのうち3回失業する確率は、解雇規制の緩い国でも約0.01%。 これは交通事故で死ぬ確率と同じくらい低い。
つまり、解雇規制を緩めても失業するヒトはほとんどいないし、2回、3回と失業するヒトはまず皆無だし、例え、失業しても解雇規制のきつい国のように失業期間は長期化しないし(職業訓練や失業手当もある)、経済成長率・所得上昇率はむしろ高まるので、生涯均しで見れば、解雇規制緩和は全国民にとってメリット大なのです。
(補足) ドイツの失業率が2000年近辺で急増したのは、解雇規制を大幅緩和したため。 その結果、リーマンショックでも失業率上昇はほとんどなく(経済構造が筋肉質化)、雇用調整は急速に終了しました。
一方、ノルウェーは人口が小さいのに北海油田があるので失業率は低位安定。 これは特殊事例。 NHKはノルウェーを理想の福祉国家の如く取り上げ、福祉で高成長という論調でしたが、これは石油のなせるわざです。 NHKや朝日・毎日論調のように、社会保障充実で高成長化、自由な働き方を享受、、などという旨い話はないのです。
社会保障を充実させると、勤労意欲が衰え、経済が停滞するのが普通です(ソ連然り、かつての英国やちょっと前の米国もそう)。 社会保障はホントに困ってるヒト(重病人・障害者)に絞り込み、それ以外は自立を促したり、保険化すべきなのです。
(補足) 日本の失業率の低さは社内失業の増加があるため。 これは社会全体で負うべき社会保障コストを一企業に負担させてるのと同じ。 こういう社会では企業内の人材構成は常に最適から乖離し、企業の成長力、その総和としての国家経済の成長力は弱まる。 解雇規制の厳しさゆえ、一旦失業すると、再就職は非常に困難化するし、不利な条件での再就職になりやすい(再就職でもミスマッチ解消にはなりにくいので)。 安定してるようですが、実は誰も得をしない(=目先の安定を強く求めすぎ、中長期的に不安定性を高めている)。
(補足) 解雇規制が緩和された場合、多くの日本人は、自由経済社会(非階級社会)で労組が如何に無駄な組織だったか、社会的コスト(負のコスト)だったか、、を知ることになるでしょう。 逆に言えば、労組を運営する側には非常にうまみがある、ということです。 ゆえに、彼らは自由経済社会なのに、階級幻想、格差幻想を振りまくのに躍起になる。 社会主義化(=反自由経済化)に躍起になる。
(補足) 解雇規制緩和と同時に、持ち合い株式規制(株主監視の強化)、(労働市場含む)カルテルの摘発強化、起業優遇の制度を整備し、労働市場に市場原理が働きやすくすること(労使双方のパワーバランスを均衡させること)も重要。
後ろの2つは労使間の垂直移動(=起業)を活発化させるし、株主監視の強化は間接的・中長期的に賃金の適正化につながる(解雇規制緩和で雇用市場の流動性が高まった場合、株主利益でもある企業収益の持続的最大化には賃金の適正化が不可欠なので)


