経済ジャーナリスト・西野武彦
どのような割合で資産を配分すればいいのでしょうか。資産をどう配分して運用するかをポートフォリオ
と呼んでいます。
それはその人の年齢や性格、収入、資産状況などに加えて、国の経済(景気、金利、物価など)状態によっても異なります。若い人は、仮に投資に失敗して資金を減らしても、失った資金を取り戻す機会と時間がたっぷりあるため、多少、ハイリスク・ハイリターン商品のウエイトを高めても、あまり問題ではありません。歳を取れば取るほど、失った資金を取り戻す機会と時間が少なくなるため、ハイリスク・ハイリターン商品のウエイトを低くした方がよいということになります。
このような観点に立って、100から自分の年齢を差し引いた数字を、ハイリスク・ハイリターン商品に投資すればよいという考え方があります。つまり、30歳の人は資産の70%、40歳の人は同60%、50歳の人は50%、60歳の人は40%をハイリスク・ハイタリーン商品で運用すればよい、ということになります。
慎重な人は、100の代わりに80から年齢を差し引いた数字を、ハイリスク・ハイリターン商品で運用するメドとした方がよさそうです。
80から年齢を差し引けば、30歳なら50%、40歳なら40%、50歳なら30%、60歳なら20%ということになります。この程度の割合が無難で、有効な資産運用法ということになりそうです。
また、年齢に関係なく、資産の3割前後をハイリスク・ハイリターン商品で運用し、残りを元本割れリスクがない(あるいはリスクが少ない)金融商品などで運用する、というのも現実的で有効な考え方です。
私が行っている分散投資
法は、年齢とは関係なく、相場環境によってハイリスク・ハイリターン商品の割合を変える方法です。好景気が続いて株式相場が天井に近い頃は、金利も相当に高くなっているのが一般的です。そういう時には、株式相場がいつ大暴落し、下げ相場に転じるかわからないため、株式のウエイトを大幅に減らし(限りなくゼロに近づけ)、代わりに利子や利回り
が高くなった、元本割れリスクがほとんどない固定金利型の定額貯金
や国債
、利回りが高い公社債投信などのウエイトを高めます。
逆に、景気が悪化して、株式相場が底値圏で低迷している時には、元本割れリスクのほとんどない金融商品の金利や利回りが低下していて、魅力がなくなっています。
そういう時には、そういう金融商品のウエイト(割合)を引き下げ、株式や外貨建てMMF
、外貨預金などハイリスク・ハイリターン商品のウエイトを高めます。その中心は株式(ETFを含む)ですが、株式が全体の5割を超えることはほとんどありません。
このように資産をどのように分散して運用するかは、その人の投資スタンス、人生観、資産状況などによっても異なります。