TOPIX +8 @1,966
日経平均 +149円 @28,215円
米国株式相場の続伸を受けて、本日の日本株全般も上げる銘柄が多かった。アジア株式市場も総じて堅調な動きを見せ、値がさハイテク株を中心に買われて日経平均の上げ幅は一時200円を超えた。
岸田首相と日銀の黒田総裁が円相場について「口先介入」をした。市場からはほとんど効果なしと見透かされてはいるが、今日のところは1ドル=142円台半ばまで円高・ドル安の方向に振れた。しかし、株式相場への反応は限定的だった。多くの輸出企業は1ドル=120円を前提として予算を立てており、140円台で推移している限り、かなりの為替益を期待できることに変わりはないからだ。また、「口先介入」の効果は、例えあるとしても非常に短期的である。
日銀はアジア通貨危機に対処するため1998年6月に大量の「円買い介入」を実施したが、介入でトレンドを変えることはできず1998年8月には147円64銭まで円安・ドル高が続いた。これが最後の市場介入だった。しかも、米国の理解を得た上での「協調介入」だった。それでも流れを変えることはできなかった。今回のドル高・その他通貨安の動きの起点は米国の高需要と供給制約が原因のインフレである。ドル高は輸入物価を下げるため現在の高インフレに悩む米国には都合が良いので、わざわざ日本のためにドル安にする目的で日本に協力することはあり得ないだろう。つまり、日銀による「円買い・ドル売り」の市場介入は決して支持しないはずである。となれば、日銀が単独介入をするしかない。しかし、介入資金の制約にぶつかる。
自国通貨である「円売り・ドル買い」を大規模に実施するには資金の制約をほとんど受けないが、反対に巨額の「円買い・ドル売り」で市場介入するには売るためのドルの保有量の制約を受ける。また、日本の外貨準備のほとんどは米国債であり、ドル資金捻出のために大量の米国債を短期間で売れば米長期金利を上昇させ、結果的にますます円安・ドル高を招くことになる。
では、日銀が実施可能な為替相場を動かすもう一つの方法、つまり、円金利を短期間に十分高く引き上げることはどうだろうか。これは日本経済全体に大きなダメージを与えるとして黒田総裁自身が明確に否定している。
結局、結論として、日本政府・日銀は現在の円安・ドル高に関して、口先介入以外に何もできないということである。欧州は少し事情が違う。欧州中央銀行(ECB)は1999年のユーロ誕生以来初めて1回で0.75%の大幅利上げを全会一致で決めた。この背景にはエネルギー価格の上昇によるインフレに加えて、1ユーロ=1ドルとなるパリティ(等価)を割り込んでユーロ安・ドル高が進行したことがある。
日経平均の日足チャートを見ると、昨日、下向きの10日移動平均線を上抜けし、本日は続伸してほぼ水平となっている25日移動平均線をもう少しで上抜けできるところまで反発してきた。ここで上値抵抗線として意識されるのが6月9日の戻り高値@28,389円である。この水準を一気に突破できるか、或いはまた下に弾き返されるかに注目している。
33業種中26業種が上げた。上昇率トップ5は、海運(1位)、電気・ガス(2位)、不動産(3位)、鉱業(4位)、サービス(5位)となった。