TOPIX -35 @1,944
日経平均 -762円 @27,879円
米カンザスシティ連銀主催の経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)における講演で米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、高インフレ抑制について「やり遂げるまでやり続けなければならない」と述べ、市場の期待に反して高金利政策がまだ当分の間は続くことを強く示した。これを嫌気して米ダウ工業株30種平均は1,000ドルを超える大幅下落となり、その流れを受けて本日の日本株全般も大きく下げた。金利上昇時のインパクトが理論的に大きい成長株を中心に値を下げて、日経平均の下げ幅は一時850円を超えた。値がさ成長株を中心に売られたが、反対にフジクラやNTNなどバリュー株の一角は買い優勢で上げる銘柄もあった。今回の米国の高インフレの原因は、ニューヨーク連銀の分析によれば、需要超過が6割、供給制約が4割とされる。需要の過熱は金融政策で押さることはできるが、供給制約に関しては金融政策はほとんど無力である。9月からはFRBの保有資産を減らす量的引き締め(QT)の削減上限が月950億円へと倍増することになっている。高金利政策の長期化に加えてQTの強化となり、市場は金融引き締め政策による過剰な引き締め、つまりオーバーキリングを懸念している。
日経平均の日足チャートを見ると、25日移動平均線をギャップダウンした後さらに下げ、長大陰線で大きく割り込んだ。本日は、下向きからほぼ水平となってきた260日移動平均線手前でなんとか踏みとどまった形である。今後どうなるかは、米FRBの金融政策の変化をそれに対する市場の解釈および反応次第だろう。足元の急激な下げは早晩止まるはずであり、自律反発狙いの買いの増加により短期的には戻り基調となる可能性は高い。ただ、持続的な上昇基調になるのはまだ当分先だろう。
33業種中31業種が下げた。下落率トップ5は、精密機器(1位)、機械(2位)、サービス(3位)、電気機器(4位)、ガラス・土石(5位)となった。